ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
11年4月からディズニー・チャンネルやTOKYO MXなどで放送されたディズニー制作の短編CGアニメ「ファイアボール チャーミング」(荒川航監督)がブルーレイ(BD)・DVD化され、22日に発売される。同作は、お嬢様ロボットのドロッセルと執事のゲデヒトニスの日常を描くコメディーで、2体のロボットのかみ合わないやり取りや先の読めない展開、“SFネタ”がちりばめられたギャグなどが人気を集めた。ドロッセル役の川庄美雪さんとゲデヒトニス役の大川透さんの2人の声優のインタビューを交えながら同作の魅力に迫る。
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◇ロボット貴族と執事のドタバタコメディー
作品の舞台となるのは、遠い未来のある惑星。「ハイペリオン」と呼ばれるロボットの貴族が世界を支配している。主人公・ドロッセルは、ウラノス国テンペスト領を統治するハイペリオンで、「テンペストの塔」と呼ばれる城に住む。惑星開墾用に開発された巨大ロボットで執事のゲデヒトニスは、ドロッセルの亡き父・ヴィントシュトレ卿が残した遺志に従い、ドロッセルを育成しようとするが、一向に成長しない……という一話2分、全13話のコメディー。08年に放送された「ファイアボール」の新シリーズで、基本的な設定は同じだが、ドロッセルとゲデヒトニスのデザインが変更され、謎の使用人「ツークツヴァンク」など新キャラクターも登場、新シリーズのデザインはアニメ「機動戦士ガンダム00」などで知られる柳瀬敬之さんが手がけている。
◇作品の設定は不明!? アフレコも手探り
「だまされたと思って見てほしい」とゲデヒトニス役の大川さんは、これから作品を見る人に呼びかける。同作の設定は不明な点が多い。例えば、2体のロボットの会話から、ロボットは“人類”と呼ばれる何かと対立していることが推測できるが、ストーリーはすべて「テンペストの塔」内で展開されるため、外の世界の様子はほとんど分からない。また、2体の会話は意味があるのか、それとも全く意味がないのか分からず、不条理なギャグが矢継ぎ早に繰り出される。一見、謎だらけだが、大川さんは「あんまり難しく考えない方がいい。ちょっとでいいから見てほしい。一話が短いから1分だけでもいい。だまされたと思って見てみたら、絶対最後まで見てしまうから」とその魅力を語る。
ストーリーは、細かい設定の説明がないまま、どんどん展開していく。川庄さんと大川さんは、設定を把握しているのかと思いきや「監督から説明がないまま、アフレコに入りました」と話すように、“謎だらけの”状態で作品に参加したという。2人は、第1期「ファイアボール」の収録がスタートした際、収録時に「ロボットなので感情的にならない」ことだけを要求され、荒川監督の指導の下、“ロボ声”の演技を固めていったのだ。川庄さんは「こんなの初めて。自分の中で演技が固まるまで時間がかかりましたね」、大川さんは「ゲデヒトニスにも感情はないけど、お嬢様(ドロッセル)とは違って、セリフにアクセントがある。ニュアンスの違いによって聞こえ方が変わる。意味が分からないセリフには戸惑いましたね。監督の指導が細かくて……」とスタート時の苦労を振り返る。
声優陣は、五里霧中で収録現場に入り、テークを重ねる中でキャラクター像を膨らませていったという。川庄さんは、ドロッセルについて「女子目線で見ると、丸みがあってお人形みたい。お嬢様らしくないことを口にすることもあるけど、基本は素直な子。君主として頑張ろうとしているのが分かります」と語る。大川さんは、ゲデヒトニスの特徴や性格を「頑固なくらいまじめな執事。見た目は重機なのに、目(モノアイ)の動きなど芝居が細かいんですよ」と説明する。
◇「お嬢様なのに扱いが雑?」
第1期「ファイアボール」はメルクール暦4万8650年、第2期の「チャーミング」は同4万8234年からストーリーがスタートすることから、「チャーミング」はプロローグであることが推測できる。さらに、第2期では、ドロッセルの頭部がツインテール風からポニーテール風に変更されるなどロボットのデザインが大幅に変更されている。川庄さんは“新”ドロッセルのバージョンアップを「さらに可愛くなりました。頭を使って感情を表現したり描写が細かくなっています」と喜ぶ一方、「お嬢様の扱いが第1期よりもひどい。頭の上に金ダライが落ちてきたり、バイクに乗ったら止まらなくなったり……お嬢様なのに何で?」と嘆く。大川さんは“新”ゲデヒトニスについて「ゴツさが増していますよね。第1期の方が体を動かしやすいのかな? もしかして(第1期では)自分の体を改造したのかも」と話しながら「まあ、監督の説明はないけど」と苦笑する。ほかにも、川庄さんが「第1期のドロッセルはゲデヒトニスに対して高圧的でしゃべり方がキツめだけど、第2期は距離がある。そこは監督から説明されました」と話すように2体のロボットの関係に微妙な変化があるという。
◇映画・SFネタが満載だがマニア以外も楽しめる
同作は、映画やSF小説などをモチーフにしたギャグが次々と繰り出されるところも魅力の一つ。例えば、「チャンピオンたちの食卓」「ブートストラップ連続体」「恐怖の頭脳会議」など、各エピソードのタイトルを見るだけでもSF小説やプログレッシブロックからインスピレーションを受けていることが想像できる。さらに、大川さんが「『スタートレック』がネタになっているシーンもある。スタッフの遊び心が満載です」、川庄さんが「映画ネタが多いですよね。『未知との遭遇』とか」とそれぞれ話すように、映像の隅々に“ネタ”がちりばめられている。大川さんは“ネタ”について「収録のときに何度も見ているのに、オンエアされると新たな発見がある。密度が濃いんです」とその魅力を語る。
さらに大川さんは、BD・DVD化を「BDで見ると、絶対、新しい発見があるよね」と喜び、川庄さんも「BDになったら映像の質感がキレイに見られるので楽しみ」と期待を寄せる。同作はマニアックな“ネタ”が連発されるが、“マニア向け”だったり“難解”な作品というわけではなく、川庄さんは「見た人はひたすら『面白いね』と言ってくれます。私の母は50代だけど『大好きよ』って喜んでいますし」と話すように“マニア”以外の反響も大きいという。大川さんは「だから、あんまり難しく考えない方がいいんです」と“ゆるく”楽しめることを強調する。“だまされたと思って”一度見てみれば、その魅力にとりつかれるはず。
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