女優の水野美紀さんが、9日にスタートするWOWOWの連続ドラマW「天の方舟」で主演を務めている。水野さんは、国際援助の世界を舞台に政府開発援助(ODA)の裏側に自ら足を踏み入れる主人公・七波役について「すぐ原作を読んだんですけれど、女性が多面的描かれていて、やりがいがありそうだなとうれしく感じました」と女優の顔を見せた。水野さんに話を聞いた。(毎日新聞デジタル)
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「天の方舟」は、国際援助の世界を舞台に、七波(水野さん)と宮里(伊原剛志さん)の愛や欲望、未来を描く社会派ラブサスペンス。直木賞候補作となった「龍の契り」で知られる服部真澄さんの経済小説が原作で、「ラストフレンズ」「ラブ ジェネレーション」(ともにフジテレビ系)の浅野妙子さんが脚本を手掛けた。
貧しい農家で育った七波(水野さん)は、大学に通いながらクラブで働いて実家に仕送りを続けていたが、羽振りのいい建設会社の若社長と宮里(伊原さん)に出会い、ODAに関係する仕事に携わっていることを知り、宮里に接近する。汚れた世界と知りながら自らその中に積極的に飛び込もうとする七波に興味を覚えた宮里は、彼女を自らの会社と関係の深い「五本木コンサルタンツ」へと導く……という展開。水野さん、伊原さんのほか、武田真治さんや戸田菜穂さん、堀部圭亮さん、森崎ウィンさん、佐野史郎さんらが出演する。
原作で聖女とも悪女とも評される主人公の七波について、水野さんは「普通の人だと思う……」と独自の見解を語った。「勇気もあるし大胆な行動を起こすんですけれど、その心の中には筋の通った理由がある。七波という人の心の動きは、原作を読んでも、とてもしっくりとくる描かれ方をしている」と分析。自身との共通点は「男性と肩を並べて仕事をしていこうという野心。私も芸能界でこれだけ長くやっているのは、野心があるからだと思う」と力を込めた。役については「自分で楽しめそうな要素が見つかったらどんな役でもやりたい。逆に清純派の役を今やるのは、血の通っていない人になる。そういう役の方が疲れるので、(今回のように)人間らしい方が楽しくやれますね」と語った。
女流作家の原作で、女性が脚本を手がけた同作について、水野さんは「女性ならではの深く考えなくても感覚で分かる感じもあって、共感できる。読み込まなくてもこんな感じ、とすんなり気持ちが入ってくる」といい、一方で「監督は男性だったので、ちょっと引っかかるのかもしれない。例えば、監督が(七波が)ぼうぜんとしていると思っていたシーンが、私にとっては怒りのシーンだったとか、それくらい感覚が違うときがあった」と苦労を語ったが、「そのときどきで採用される演技が違うので、結構面白い」と笑った。
9日に放送される第1話の見どころについて、水野さんは「かなり展開が早くて、サクセスストーリーとして楽しめると思います。大学生時代の回想シーンが入っていて、七波が20歳くらいのときにバイトをしているシーンとか、無茶なシーンも演じている」と苦笑しつつも、「監督が編集を終えてすごく興奮していたので、とてもいいものができたんじゃないかと思います」と手応えを見せていた。ドラマは、WOWOWプライムで9日から毎週日曜午後10時に放送。全5話で第1話は無料放送される。
<プロフィル>
みずの・みき 74年6月28日生まれ、三重県出身。女優として、「踊る大捜査線」シリーズ(フジテレビ系)など多くのドラマや舞台に出演。映画「恋の罪」(11年)では、初のヌードを披露するなど体当たりの演技を見せ話題を集めた。ドラマW「天の方舟」では、ODAの裏側の世界に自ら足を踏み入れる難役・七波を演じる。趣味は写真、特技はアクションと英語。
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