女優の坂井真紀さんが12日、東京都内で行われた「映画 立川談志」初日舞台あいさつに登場し、落語家の故・立川談志さんの娘の松岡ゆみこさんとともに思い出を語った。談志さんのファンで、高座も聴きに行き、松岡さんとも親交があるにもかかわらず、談志さん本人に会うことはなかったという坂井さんは「“怖い”という思いがあった。談志さんは『最近のテレビやドラマはつまらないとよくおっしゃっていたので、そこに出ている自分としては談志さんにお会いするのが怖かった。ファンだったので、談志さんによく見られたいという思いもあって……」と明かした。
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「映画 立川談志」は、11年11月21日に亡くなった談志さんの一周忌に合わせて、DVD未収録の名高座「やかん」(05年10月12日・国立演芸場)と「芝浜」(06年12月2日・三鷹市公会堂)を映画化。俳優の柄本明さんのナレーションによる未公開のドキュメンタリー映像を盛り込み、「人間の業の肯定」や「イリュージョン」などの談志さんの落語哲学に迫る。
談志さんの高座に通うようになったきっかけを坂井さんは「30代に突入しようとしていたころ、行き詰まっていたんでしょうね。談志師匠の話を聞きたい。聞いたら何か変わるかもしれないと思っていた」と述懐。「談志さんは鋭く切っても優しさがあった」と語った。一方、松岡さんも「家族から見ると(談志さんは)ちょっとうざったい存在だった。でも今が一番(談志さんのことを)好き。これからもっと好きになるのかもしれない。偏屈な人だったから、嫌なことをいっぱいされたはずなのになぜか今はその嫌なことが思い出せない。パパはずるいねって思う」と話し、「晩年は声が出なくなっても、落語をしゃべっていた。『舞台の上で死にたい』なんていう女優を『ナンセンス』なんていっていたけれど、父も人生落語だったんだと思う」と、思い出話は尽きなかった。(毎日新聞デジタル)
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