15日に肺炎のため亡くなった大島渚監督の葬儀が22日、築地本願寺(東京都中央区)で営まれ、雨の中、映画関係者とファンら一般献花者約700人が参列した。音楽家の坂本龍一さんやジャーナリストの田原総一朗さんらが弔辞を述べ、エッセイストでタレントの阿川佐和子さんらゆかりのある人たちが続々と駆けつけ、大島監督に最後の別れを告げた。
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映画「戦場のメリークリスマス」(83年)に出演し、音楽も担当した坂本さんは、「(大島監督は)台本を持って僕に会いに来てくれました。『映画に出てください』とおっしゃって。大変驚きました」とエピソードを紹介。「無謀にも私に音楽をやらせてくださいと頼みましたら、『いいです』と即答してくれた。今日があるのはあなたのお陰です」と感謝の言葉を述べ、「あなたは私のヒーロー。偉大な映画監督、偉大な人間でした」と故人をしのんだ。
「朝まで生テレビ」で共演した田原さんは、「怒りの塊のような人物でした。タブーとしてきた課題に次々に取り組んだ。とても怖いけど、心強い兄貴のような存在だった」と振り返り、「寂しがっていたら、大島さんに殴られそうです」と続けた。
そのほか、松竹の大谷信義会長、作家の澤地久枝さん、篠田正浩監督、日本映画大学の佐藤忠男会長が弔辞を述べた。映画「御法度」(99年)に出演した松田龍平さんは、藤竜也さんの弔電を代読。松田さんは「大島さん、あなたは偉大です。僕のヒーローでした。ロケ地、(北海道の)紋別よりオマージュを込めて」と読み上げ、「大島さん、僕からも。ありがとうございました」と頭を下げた。また、ヴィム・ベンダース監督ら海外の映画関係者からも追悼のコメントが寄せられた。
生前には「朝まで生テレビ」などで「バカヤロー」と怒りをあらわにすることもあった大島さんらしく戒名は解放された大きな「喝」を意味する「大喝無量居士(だいかつむりょうこじ)」。祭壇に飾られた遺影は90年に自宅で倒れる前に撮影されたもので、喪主を務めた妻で女優の小山明子さんらが選んだ。
大島監督は京都市生まれ。京都大卒業後の54年、松竹大船撮影所に入所し、59年「愛と希望の街」で監督デビュー。83年に「戦場のメリークリスマス」で毎日映画コンクール日本映画大賞などを受賞。96年、新選組を題材にした「御法度」製作発表直後、出血性脳梗塞(こうそく)で倒れ入院し、後遺症は残ったが、99年に映画を完成させ、カンヌ国際映画祭に出品した。00年に紫綬褒章。テレビ番組のコメンテーターとしても活躍した。(毎日新聞デジタル)
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