人気ゲーム「サクラ大戦」の真宮寺さくら役などで知られ、90年代の声優ブームの一翼を担った横山智佐さん(43)。横山さんは現在、日本テレビ系で放送中のアニメ「HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)」で主人公たちを導くビスケ役を務めており、役柄同様、自らの姿を見て育った若い共演者たちを「可愛い子どもたち」と語り、現場を引っ張っている。そんな横山さんに当時の思い出や役への考えを聞いた。(立山夏行/毎日新聞デジタル)
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横山さんは、アニメ「ブラックマジック M−66」で87年に声優デビュー。「サクラ大戦」の真宮寺さくら役や「魔法少女プリティサミー」の河合砂沙美役、「新機動戦記ガンダムW」のルクレツィア・ノイン役など数々のヒット作に出演して人気を集め、当時のアイドル声優の一角を占めた。
20代で数々のヒット作に恵まれた横山さんだが、最も多忙な時期には、毎週アニメやラジオの収録を10本以上務め、週末にはイベントにも出演するというハードスケジュールで、生まれて初めてのどがつぶれてしまったほどだったという。ところが、横山さん自身は「最初は何をするのも難しく感じてしまい、自信もなくてマイクの前にいるのが苦手だった」と当時の心境を明かす。
そんな中、90年代半ばに一念発起してオーストラリアへ短期留学。一度仕事から離れたことで、「緊張した状態で収録したせりふを聞いても楽しんでもらえないのでは。もっと気楽に臨んでもいいんじゃないか」と感じ、帰国してからは「スタジオでも落ち着いていられるようになった」という。
現在、出演中のアニメ「HUNTER×HUNTER」は、コミックス累計6300万部以上を発行している冨樫義博さんのマンガが原作。横山さんが声を務めるビスケが登場する「グリードアイランド編」は、主人公・ゴンの父、ジンの手がかりとなる特殊なゲームソフト「グリードアイランド」の世界を舞台に、ゴンと親友のキルアがゲームのルールを利用したシビアな心理戦や謎の殺人鬼との戦いなどをくぐり抜けながらゲームのクリアを目指すというストーリーだ。
横山さんが演じるビスケは、ゴンとキルアに「念能力」を教えたウイングの師匠にあたり、ゴンとキルアに厳しい特訓を課してパワーアップを手助けするという役どころ。普段は小柄で可愛い少女のような外見をしているが、実年齢は57歳で、大柄でたくましい真の姿を隠しており、原作でも人気のキャラクターだ。
ビスケは可愛い少女と筋骨隆々の武人という二面性を持つため、ベテランから若手まで幅広く募った当初のオーディションでは配役が決定しなかったほどの難役。「面白い、とてもワクワクする役」と語る横山さんだが、「20代でこの役をいただいていたら、持て余してしまっていたと思う」とも語る。
かつて横山さんが出演した舞台を見ていたというゴン役の潘めぐみさんとキルア役の伊瀬茉莉也さんについては「可愛い子どもたち」と先輩として温かい目を向ける。「HUNTER×HUNTER」を担当する日本テレビの中谷敏夫プロデューサーも、横山さんについて「ゴン(潘さん)やキルア(伊瀬さん)を引っ張りながら、メーンを背負えるつやがある」と起用に太鼓判を押す。
「昔はとにかく(目の前の仕事を)こなしていく感じだったけれど、今は“いい結果”にしたい」と熱い思いを語り、今回のビスケ役についても「あわよくばもっとも愛されるキャラになるように、心を込めて演じたい」と意気込む横山さんだが、「夢は楽隠居」と笑顔をみせる。ジャズのライブやタップダンスの舞台などさまざまなことに挑戦しながらも「日々笑顔でマイペースに生きていければ」と何事も自然体で臨む横山さんの今後に注目だ。
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