「男はつらいよ」シリーズなどで知られる山田洋次監督が、監督生活50周年を記念し、故・小津安二郎監督の「東京物語」(1953年公開)をモチーフにして製作した「東京家族」が公開中だ。見終わったあとに「親子の関係を考えさせられる」と親世代の中高年を中心に話題を集めているが、公開前に行った大学生対象の試写会では、自身の親との関係について思い直し、「親に会いたくなった」「親孝行をしたくなった」という声が上がった。
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「東京家族」は、瀬戸内海の小島で暮らす平山周吉ととみこ夫妻が、子供たちに会うために上京し、開業医の長男、美容院経営の長女、舞台美術の仕事をしている次男とその家族らのやりとりが、12年の現代を舞台に描かれている。周吉を演じるのは橋爪功さん、とみこに吉行和子さん。長男・幸一に西村雅彦さん、長女・滋子に中嶋朋子さん、次男・昌次に妻夫木聡さん。そのほか夏川結衣さん、林家正蔵さん、蒼井優さんらが出演している。
調査は、1月に行った大学生対象の試写会後に記述式でアンケートを実施。試写会には男性33人、女性14人のほか英国人1人、米国人2人の男性の外国人留学生を含む50人が参加した。日本人の意見としては「(劇中の吉行さんが)自分の母親の姿に似ていて泣いた」(18歳 男性)、「胸がしめつけられて、兄や妹と親に会いにいきたいと思った」(22歳、女性)など、妻夫木さん演じる昌次や蒼井さん演じるその交際相手の紀子に自分の境遇や姿が重なり、共感できたという声が多数を占めた。
「映画を見てどう感じたか」という問いには大多数が「両親に会いたくなった」「親孝行をしたくなった」と答え、今作を他の人に薦めたいと答えた人は全体の90%を占め、薦めたい相手は、両親よりも兄弟・姉妹、同世代の友人に見てもらい、親孝行について考えてもらいたいという意見が多かった。
外国人留学生の感想は、日本人と同じく「母親とはなんでも話しやすいけれど、父親とは本音の話がしにくい」という場面が描かれていることに共感した様子。洋画に比べてカメラワークや音楽が大げさではない点にも言及し、「静かなカメラワーク、音楽で、登場人物の心の動きを強く感じられたことに驚いた」という声もあった。また、「家族、恋人同士であってもハグをしたり、キスをしたりしなくても人間関係を描けている」ことにみな驚き、そこに自国の文化との違いや日本の家族のよさを感じている様子で、日本の家族や日本人の内面を描く山田監督の作品をもっと見たいという声が留学生の間から上がった。
映画は丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(毎日新聞デジタル)
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