女優の八千草薫さんと俳優の仲村トオルさんがダブル主演する31日放送のスペシャルドラマ「母。わが子へ」(MBS、TBS系)の会見がこのほど行われた。仲村さんは初共演となる八千草さんについて「15、6歳のとき八千草さんが主演した『茜さんのお弁当』というドラマを拝見していたんですが、当時は僕は野球をあきらめ受験にも失敗し無力感を感じていた時期で、ドラマに出ている同世代の不良少年に対してあいつらには茜さんがいるんだなあとうらやましく思っていました」と明かし笑いを誘っていた。
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「母。わが子へ」は、違う道を歩んでいた兄弟が母の病気をきっかけに再会し、故郷・東北に向け最後の家族旅行を始めるという家族のつながりを真正面からとらえたヒューマンドラマ。住宅関連企業で働くサラリーマンの門間崇史(仲村さん)は出世もかなわず、妻子にも愛想をつかれてしまう。崇史の母・千勢(八千草さん)は東日本大震災で宮城の家を失い、抗がん剤の副作用に苦しみながら音信不通の次男・拓海(玉山鉄二さん)のことを案じていた。崇史は母の愛情を一身に受けてきた拓海には複雑な感情を抱いていて……というストーリー。ほかに紺野まひるさん、朝倉あきさんらが出演する。
仲村さんは台本を読んで「このドラマをやらなかったらバチが当たると思った」と話し、迷いなく出演を決めたという。一方、八千草さんも「台本を読みながら何度も泣いたけれど、出られることがうれしかった」と作品への思い入れを語った。仲村さんは八千草さんについて「力みがなく小さな表現で大きなことが伝わってくると同時に、せりふの圧力の高さを感じる。目力の熱量のすごさを感じた。パワフルなものを持っていらっしゃる方」と評し、八千草さんは仲村さんについて「細かいことに気を取られない方で、すっと伸びている方」と話し、「今まで何度か親子の芝居をやったことはあるけれど、こんなに密度の濃い親子のドラマというのは初めてでした」と撮影を振り返った。
同作はロードムービー仕立てのドラマで、東日本大震災の被災地・東北でも撮影が行われた。仲村さんは「震災が起こった当時、4月から連続ドラマを撮影する予定だったんですが、ドラマなんか撮っていていいのかなと思ったこともあった。しかしある日、テレビに出ていた女性が『テレビを見ているときはいやなことを忘れられる』と話しているのを聞いてテレビってすごいと思いましたし、自分たちが作らなければいけないのはそういうものだと思いました。(震災から)2年たってさまざまな心の状態の人がいると思いますが『このドラマを見てよかったなあ』と思ってくれればうれしいです」と話し、八千草さんも「このドラマを見てくださったらきっと『頑張っていこう』と新しい勇気につながっていくのではと思います」とドラマをアピールした。
スペシャルドラマ「母。わが子へ」は、31日午後9時からMBS、TBS系で放送。(毎日新聞デジタル)
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