名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに100万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第115回は楠山正雄の「一本のわら」だ。
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皆さんこんにちは、乙葉しおりです。
4月はどこか不安定な陽気が続き、気が付けばゴールデンウイークも目前、最近ようやく安定してきたように感じられますが、皆さんがお住まいの地域ではどうでしたか? 過ごしやすくなった半面、そのほんわかした気候の影響で、いくら寝ても眠くなってしまう……なんてことはないでしょうか?
「春眠不覚暁」(春眠暁を覚えず)。今から1300年ほど前に中国唐の時代の詩人・孟浩然(もう・こうねん)さんが詠んだ五言詩ですが、先日この詩の意味通り寝坊してしまって、待ち合わせをしていた朗読倶楽部メンバーにジュースをおごることになってしまいました(>_<)。皆さんも目覚ましのかけ忘れにはご注意くださいね。
それではここで、お誕生日のご紹介です。まず4月21日は、シャーロット・ブロンテさん(1816年生まれ・イギリス)。以前ご紹介したアンさん、エミリーさんに並ぶ小説家の3姉妹「ブロンテ姉妹」の長女で、「ジェーン・エア」を発表しました。
続いて4月22日は、ウラジーミル・ナボコフさん(1899年生まれ・アメリカ)。日本では「ロリータ・コンプレックス」の語源となった小説「ロリータ」の作者としてその名を知られています。
4月28日は、原ゆたかさん(1953年生まれ)。いたずら修行の旅ギツネ「かいけつゾロリ」シリーズの生みの親として、現在も精力的に新作を発表し続けています。
最後に4月29日は、中原中也さん(1907年生まれ)。詩集「山羊の歌」「在りし日の歌」で知られています。「朝の歌」や「汚れつちまつた悲しみに……」は、教科書などで目にされた方も多いのではないでしょうか。
では続いて、朗読倶楽部のお話……朗読倶楽部顧問・癸生川新先生のこと・最終回です。
初めは乗り気でなかった朗読倶楽部の顧問も、今は悪くないと思えるようになったという先生。
「何かを続けるってのは結構な根気が必要だが、くよくよし続けるのも例外じゃなかったらしい。自分にしては続いたほうだがな」
重い過去を語らせてしまったのに、ディレクターさんも、そして先生も、どこにも沈んだ様子はありません。先生は、過去を乗り越えたのでしょうか……まだまだ子供の私には、よくわかりませんでした。
すると、今まで黙っていた部長さんが、「それなら、もっと生き生きした表情に戻ってもよさそうなのに」と冗談まじりに突っ込みを入れると、「一度曲がった性格は、そうそう簡単には直らないってことよ」……と、こちらはディレクターさん。からかわれて頬を膨らませた先生の顔はどこか照れくさそうで、決して枯れてなんていないと思えたのです。
ちなみにスタジオ収録によるお仕事の成果ですが、商店街の方々にはとても喜んでいただけて、短期間の放送予定だったのに、今も商店街に流れ続けていたりします。とってもうれしいことなんですけれど、ちょっと恥ずかしいような……と、いうところで、このお話はここまで。次回からはまた新しいお話になりますので、よろしくお願いしますね(*^^*)
■しおりの本の小道 楠山正雄「一本のわら」
こんにちは、今回ご紹介するお話は、楠山正雄さんによる再話文学「一本のわら」です。題名に覚えがないと言う方も、あの物々交換のお話「わらしべ長者」と言えば、ご存じなのではないでしょうか? 古くは、平安時代末期に成立したと言われる「今昔物語集」のほか、鎌倉時代の説話集「宇治拾遺物語」などに収録されており、最低でも900年以上の歴史がある由緒正しい昔話の一つなんですよ。
むかしむかし大和の国(奈良県)に、とても貧しい若者がいました。身よりがなく仕事はなく、おまけに運までも悪い彼は、いよいよ行き場をなくしてお寺にこもり、観音様に助けを求めました。
すると夢の中で老人が現れ、「お前の不遇は全て前世の行いによる報いであるから、観音様を頼るのは間違っている」と、一度はむげにあしらわれてしまうのですが、観音様のおぼし召しから、「お寺を出て最初に手に取ったものを大事に持っていれば、いずれ運が開ける」とのお告げを受けます。
夢から覚めた若者は、お告げに従ってお寺を出たのですが、表門をくぐった途端につまずいて転んでしまい……、気が付くと、道に落ちた「一本のわら」を手につかんでいたのです……。
この「わらしべ長者」は、他の昔話の例に漏れず多くの類話が存在していますが、中でも有名なのは今回ご紹介した「観音祈願型」と、もうひとつ「三年味噌型」の二つです。
お金持ちの庄屋さんが、自慢の娘に婿をとるにあたって出した条件、それは「わら3本を千両にできる者」だった……というお話なのですが、この二つの「わらしべ長者」、どちらが先に生まれたのかは、よくわかっていないようです。両作品を読み比べてみて、どちらが「元祖」なのか、考察してみるのも楽しいかもしれませんね。
最後に余談ですが、このお話で登場したお寺の名は「長谷寺」といって、奈良時代に建立された実在するお寺です。「源氏物語」など他の歴史ある物語でも登場しているので、文学作品の聖地巡礼スポットとして、一度足を運んでみてはいかがでしょうか?
※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。
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