ピーピング・ライフ:話題の脱力系ショートアニメ 森りょういち監督に聞く人気の秘密

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 脱力系ショートアニメ「Peeping Life(ピーピング・ライフ)」の第7弾DVD「ピーピング・ライフ 手塚プロ・タツノコプロワンダーランド」が6月25日に発売された。カップルの会話や父と娘のやりとりなど、日常生活のワンシーンを描き、シリーズの総セールスが45万枚を突破した人気作。アニメプロダクションの「手塚プロダクション」「タツノコプロ」とコラボを行った第7弾は、鉄腕アトムやブラック・ジャック、ハクション大魔王が登場する。今作の見どころを「楽しいよとしか言えない」と話す森りょういち監督に、作品の撮り方やシリーズ人気について聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 「ピーピング・ライフ」は、「人間をさぼろう。」がキャッチコピー。即興芝居とCGアニメを融合させ、人々の日常生活で偶然に生まれる間や意味のないしぐさを描いたショートコメディーで、「半笑い脱力系」とされている。08年にBS朝日の「ブロスタ.TV」内コーナーで発表され、09年にDVD第1弾をリリース後、「遊べる本屋」として雑貨なども扱う書店「ヴィレッジヴァンガード」(ヴィレヴァン)で紹介されたことも手伝い、話題となった。現在は、CS放送の「キッズステーション」で放送されているほか、動画サイト「YouTube(ユーチューブ)」発のオリジナルアニメチャンネル「アニメバンチョー」などで配信している。

 ◇セリフは役者のアドリブ!

 出かける前に彼女のファッションをめぐって思わずケンカをしてしまう「バカップル」や、年ごろの娘の携帯電話の中身が気になる父親、合コンでファッションがかぶってしまった女性同士の会話など、思わずクスッとしてしまうやりとりが描かれる。魅力的なセリフはどのように考えているのか?と尋ねると、森さんは「セリフはいっさい考えていない」と笑いながら明かす。

 登場するキャラクターと作品ごとの設定はしっかりと作り込むが、やりとりについてはすべて役者の即興芝居だといい、アニメーションもある程度、役者の動きを元に作られるという。撮影した映像をアニメにする「ロトスコープ」に近いが、アニメ特有の誇張した表現やちょっとしたしぐさなどはアニメーターが付け加える。

 「基本的にアドリブ」の芝居は、ベテランの俳優が演じているのかと思いきや、「メンバーは7人ぐらいで、全員一般の方」という。森さんが大学時代、イッセー尾形さんの一人芝居を見たことがきっかけで参加した演劇のワークショップで出会ったメンバーたちだといい、森さん自身もオタクのキャラクター「オタクくん」として出演している。

 ◇きっかけはヴィレヴァン

 作品を見るきっかけが「ヴィレヴァンさんで映像を見てという方が結構多いです」と明かす森さん。店頭で同シリーズをプッシュしている下北沢店(東京都世田谷区)でCD・DVDを担当する中野雄介さんは、「ひたすらくだらない日常の一部を描いていて、店のテイストに近い。にぎやかでおもしろい」と魅力を話す。また、若い世代をはじめ、40~50代も含めて売れ続けているシリーズだといい、中野さんは「ターゲットの幅が広いことがロングランの理由だと思う」と分析した。

 ◇めざすのは「サザエさん」

 こうした人気の一方で、森さんは「何がうけるかいまだにわからない」と話したが、「一般の人たちの普通の生活の中にあるドラマが、一番エキサイティング。非常に興味がある」と力を込める。即興芝居だからこそ、「無駄なものがバンバン入っていて、何度も見たり聞いたりして発見する楽しさがある」といい、さらに「3Dでキャラクターがあれだけワンカメで動いてるってまねできない」と作品への自信を見せた。今後は「サザエさん」のような作品にしたいといい、「かめばかむほど味が出る、するめいかのような感じでいたい。もういいっていうくらい続けていきたい」と話し、「たぐいない楽しさがそこにあるので、その目撃者になってほしい」とアピールした。

 ◇プロフィル

 もり・りょういち。「FOREST Hunting One」代表。福岡県出身。中学3年の頃から、趣味で3DCGを勉強し始める。その後、九州産業大学に進学、多くのCGアニメーションを制作しながら、フリーとして、CMや商業映像作品の制作に携わる。08年に「Peeping Life」を発表。同シリーズのDVDを続々と発表している。第7弾のDVD「ピーピング・ライフ 手塚プロ・タツノコプロワンダーランド」は1575円。

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