ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は「宇宙戦艦ヤマト2199」です。Production I.G(プロダクション・アイジー)の郡司幹雄さんに作品の魅力を語ってもらいました。
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−−作品の概要と魅力は?
「宇宙戦艦ヤマト2199」は1974年に放送された「宇宙戦艦ヤマト」のリメーク作品です。実は「宇宙戦艦ヤマト」という作品は普遍的なロードムービーなんです。ある目的を持って旅に出た仲間たちが、旅の途中でさまざまな人々と出会い、困難に直面し、それを知恵と勇気で解決していく。その中で描かれる異文化との出会い、友情や恋愛といったものが魅力なのだと思います。宇宙を旅しているのは「宇宙戦艦」であり、メカオンリーの作品と一瞬思ってしまいますが、描かれているのは人間ドラマなんですね。
−−アニメにするときに心がけたことは?
総監督の出渕裕さん、チーフメカニカルディレクターの西井正典さんなど関わったスタッフにお聞きすると「旧作のヤマトファンが喜ぶだけでなく、新しいヤマトファンの開拓」を心がけたそうです。実は過去の名作のリメークってあまり成功例がないんですよ。完全に新しいものにしてしまうと旧作のファンはまったく見向きもせず、逆に旧作のファンだけをターゲットにしようとすると、新規のファンはつかめない。「宇宙戦艦ヤマト2199」は、旧作のファンが見てもひきつけられ、新たなファンも獲得している。新旧が絶妙なバランスを保ってできている作品だと思います。
リメーク作品なので、ある一定のストーリーはなぞる必要があります。つまりある一定の“制約”のもとに生まれている作品ですが、非常にうまくアレンジされていると考えております。完全に旧作のままのヤマトではなく、独自の解釈を加えられて、現代によみがえっていることが最大の魅力となっている作品ですね。現在、視聴率の分析をいたしますと、旧作ヤマトをまったくご存じないお子さん層がかなりご覧になってくれています。プラモデルなども放送開始したゴールデンウイークくらいから、それまでの10倍以上に売り上げが増加しているそうで、やはり新規のファンが増加してきているのを感じています。
ちなみにテレビ放送版はMBS様とも相談して、初めてご覧になる方のために冒頭に「アバン(プロローグ)」を付け、本編中に人物紹介のテロップを加えて放送しています。
−−作品を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったことは?
やはり視聴率が取れて“ヤマトビジネス”が拡大してくれているのがうれしいですね。旧作ヤマトが放送された時代には、ナショナルクライアントがアニメのスポンサーになってくれていましたが、今はアニメビジネスに関わる会社だけで放送枠を資金的に支えないといけない。これはどういうことかといいますと、アニメをテレビで放送するだけでスポンサーは多大なリスクを負うわけです。関連ビジネスが成功しないと、その資金は回収できないのです。「ヤマト2199」はビジネス展開が拡大し続けており、この作品に懸けていただいた皆さまにご恩返しができたのではと考えています。
先ほど「子供が見てくれている」と話しましたが、以前、このコーナーでインタビューを受けられていた「進撃の巨人」のポニーキャニオンの木下哲哉プロデューサーが「ヤマト2199」のチラシを集めていたそうなんです。なぜかとお聞きしたところ「5歳の息子が夢中で見ていて」というお話なんです。「波動砲 てぃ!」とか言っているらしいですよ(笑い)。私の部下の娘(4歳)もヤマトに夢中でして、保育園で「ママがヤマトのお仕事している」と、友達に自慢げに話しているようです(笑い)。子供のこういった反応は本当にうれしいですね。
−−今後の見どころを教えてください。
劇場では最終章の第7章が8月24日から上映されています。テレビ放送も9月4日が18話と19話を一挙放送する1時間スペシャルで、同月18日には旧作でも最大の見せ場と言われた「7色星団海戦」を描きました。テレビ放送と劇場上映がオーバーラップしてフィナーレへと流れ込んでいきます。私は特に古代進のキャラクターの変化に注目していただきたいですね。古代というキャラクターが全26話の中でどう変化していくか、特に森雪という愛する対象を見いだしたときにどう行動するか。群像劇の中で描かれる最大の注目ポイントな気がします。
最終話である26話のアフレコが終わり、帰り際に古代役の小野大輔さんが「あ~楽しかった!」といいながら帰っていったのが印象的でした。キャストさんも相当のって演技している印象がしているのが「ヤマト2199」だと思います。
−−ファンへ一言お願いします。
全国ネットで放送していますので、ぜひ日曜日の午後5時にはテレビでご覧いただきたいですね。とにかく“テレビをつければ見られる”というのがテレビ放送の最大の魅力だと思います。もう現場は本当に大変なのですが、たくさんの人に見ていただけることが最大の励みになると思います。ぜひよろしくお願いします。
プロダクション・アイジー 企画室 執行役員 郡司幹雄
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