「8人の女たち」や「スイミング・プール」など日本でも人気の高いフランソワ・オゾン監督の最新作「危険なプロット」が19日から公開される。本国フランスでも大ヒットし、オゾン監督の最高傑作との呼び声も高い本作で、公開前から正統派美青年と話題となっているのが若手俳優のエルンスト・ウンハウワーさん(23)だ。6月に開催されたフランス映画祭で初来日し、日本の印象を「“笑顔のおもてなし”に驚いた」と話すウンハウワーさんに話を聞いた。(毎日新聞デジタル)
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「危険なプロット」はオゾン監督がスペイン人作家のフアン・マヨルガさんの戯曲に触発され、自ら脚本を手掛けたサスペンスをはらんだ人間ドラマ。文才にあふれた美少年・クロード(ウンハウワーさん)と彼の才能に魅せられた高校教師・ジェルマンの駆け引きと、クロードの創作がエスカレートし、現実とフィクションの境界が曖昧(あいまい)になっていく様をスリリングに描く。仏俳優のファブリス・ルキーニさん、エマニュエル・セニエさんらが出演する。
子供のときから役者を目指していたというウンハウワーさんは「舞台での演技を体験してこれをやりたいんだって7、8歳のときに強く思ったのを覚えている」と話す。オゾン監督の作品に抜てきされたときは「非常に混乱した」といい「何と言っていいか分からない。共演者を知らされ、脚本を渡されていろいろなことがいっぺんに襲いかかってきた」と戸惑いながらも「この映画を支える役を演じられるというのは誇らしかった」と振り返る。
そして「これほど重要な役柄を演じられるわけだから撮影はとっても楽しかった。役者という仕事に情熱をもっているので、自分のやりたいことを存分に演じられるという感覚があった」と力を込めた。役者という仕事の魅力を聞くと「自分から離れることを可能にしてくれることかな。いろいろな衣装を身にまとってほかの人物を演じるのは楽しいよね」と笑った。
「クレールの膝」(1970年)などエリック・ロメール監督作品の常連で、仏映画界の重鎮・ルキーニさんとの共演も果たした。「(劇中で)クロードとジェルマンが互いを発見していくと同時に僕もファブリスという役者を発見し、ファブリスも僕を発見していくという感じだったと思う。でもクロードとジェルマンほど“親密”ではなかったよ。あんなに親密だったら怪しいからね」とちゃめっ気たっぷりに話した。
貧しい家庭出身で、母親のいないクロードは、中産階級の友人の家に入り浸る。友人の家で見たことや感じたことを鋭い描写で描き、才能を開花させていくクロードのミステリアスな部分と同時に、クロードが抱える“孤独”もあらわになっていく。日本ではネガティブに語られることの多い“孤独”だが、ウンハウワーさんは「すべてのヒーローは孤独だと思う」とにやり。「僕はヒーローに比べれば、それほど“孤独”ではないと思うけれどね。でも孤独っていうのは自然なことなんじゃないかな」と話した。
映画のラストは原作の戯曲とは違う、オゾン監督ならではの展開が待っている。ウンハウワーさんに最後のシーンについて聞くと「このラストは必要であり、かつ意外性に富んだものだったと思う」と意味深な答えが。「その“心”は?」と思わず聞くと「このせりふはジェルマンがクロードに言った(小説を書く上での)アドバイスそのものなんだ」といたずらっぽい表情を見せた。
<プロフィル>
エルンスト・ウンハウワー 1989年生まれ。仏シェルブール出身。11年の短編映画「Le Cri」で初めての役を得る。ドミニク・モル監督の「マンク~破戒僧~」(11年)に出演。「危険なプロット」ではリュミエール賞の新人男優賞を受賞し、さらにセザール賞にノミネートされるなど、今後の活躍が期待される若手俳優の一人。
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