アジア最大級の映画祭「第26回東京国際映画祭(TIFF)」が25日閉幕し、六本木ヒルズ(東京都港区)でクロージングセレモニーが行われた。15作品が出品されたコンペティション部門から最高賞の「東京サクラグランプリ」に輝いたのは、スウェーデン映画「ウィ・アー・ザ・ベスト!」(ルーカス・ムーディソン監督)、最優秀監督賞は、アイスランドの映画「馬々と人間たち」のベネディクト・エルリングソン監督が受賞した。
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「ウィ・アー・ザ・ベスト!」は、80年代初頭を舞台に、思春期の衝動に駆られてパンクバンドを始める女子中学生の弾けるような日々を描いた青春映画。受賞に驚きながらも家族と共に笑顔でステージに上がったムーディソン監督は「みなさんありがとうございます。本当に予想していませんでした。私の映画が賞を取るなんて、ありがとう以外何を言っていいのか分からない」と喜んだ。映画は「マンガ家の妻が原作を描いております。彼女の子供時代を描いていますので、彼女の青春にも感謝したい」と語った。
最優秀監督賞を受賞したエルリングソン監督は「センキュー、センキュー、センキュー、とっても大事な賞です。スタッフのみんな、仲間たち、もちろん(出演した)馬たちのものでもある。馬たちに言いたいのは、訳せるかな?」と、馬の鳴き真似を披露して会場を沸かせた。コンペティション部門で一般客から最も多くの支持を得た「観客賞」には、韓国映画「レッド・ファミリー」が選ばれ、イ・ジュヒョン監督は「本当にすばらしい価値のある賞をいただいて、ぐっときています」とガッツポーズ。「すばらしいスタッフと俳優の力が合わさって大きな力が生まれた。必ずや観客に伝わるだろうと思った」と、何度もトロフィーを掲げて語った。
一方、「日本映画・ある視点」部門の精神を引き継いだ「日本映画スプラッシュ」部門の作品賞は、塚本晋也監督の作品に数多く参加している実力派、坂本あゆみ監督の「FORMA」が受賞。トロフィーを受け取った坂本監督は「胸がいっぱいで言葉もでません」と涙し、「体調を壊したこともあって、6年かかって作った作品が、形で認められた」と喜びを語った。
映画祭は、上映作品全97本、上映回数303回で約3万5000人を動員して閉幕。国際審査委員長を務めた中国のチェン・カイコー監督は「審査員全員が頑張ってきました。そして結果にみんな大満足しています。東京国際映画祭は、すばらしく組織されている。観客も情熱がある」と、映画祭の成功に自信を見せ、「この映画祭はフィルムメーカーの注目をもっと集めていい。将来的にもっと優れた作品が集まるようになる。来年度に向かって、覚えた日本語をここで言いたい。『倍返しだ!』」と叫んで、会場を盛り上げていた。
<コンペティション部門>
■東京サクラグランプリ/「ウィ・アー・ザ・ベスト!」
■審査員特別賞/「ルールを曲げろ」
■最優秀監督賞/ベネディクト・エルリングソン 「馬々と人間たち」
■最優秀女優賞/ユージン・ドミンゴ 「ある理髪師の物語」
■最優秀男優賞/ワン・ジンチュン 「オルドス警察日記」
■最優秀芸術貢献賞/「エンプティ・アワーズ」
■観客賞/「レッド・ファミリー」
<アジアの未来部門>
■作品賞/「今日から明日へ」
■スペシャル・メンション/「祖谷物語ーおくのひとー」
<日本映画スプラッシュ部門>
■作品賞/「FORMA」
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