テレビドラマ「夜のせんせい」(TBS系)などに出演している蓮佛美沙子さんがヒロインを務める映画「猫侍」(山口義高監督)が全国で公開中だ。BSフジなどで放送されて評判となった時代劇の映画版で、幕末の江戸を舞台に、暗殺するはずの猫・玉之丞を持ち帰って世話をする剣豪・斑目久太郎(北村一輝さん)が、犬派対猫派の抗争に巻き込まれる様子を描く。蓮佛さんは、猫派の相川家で働く女中・お梅を演じている。蓮佛さんに話を聞いた。
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−−役のお梅をどう捉えて演じていきましたか?
お梅は母親に身を売られて女中として働く女の子。けなげに生きています。前半では泣き虫ですが、斑目さんや猫の玉之丞との交流を通して少しずつ強くなっていきます。そして、いつもお梅をいじめる女中頭の白滝(洞口依子さん)にも「私にも守るものはあります」と言い返すようになる。玉之丞を守ることで母性本能が芽ばえて女性としての強さを得ていったのでしょう。その過程を大事に演じていきました。
−−お梅は斑目さんのことをどう思っているのでしょうか?
斑目さんは“まだら鬼”の異名を持つ100人斬りの剣豪。ちょっと眉間(みけん)にしわを寄せただけで、周囲の者は恐れてしまって一歩下がってしまうのですが、お梅は若くて世間知らずなので、ずうずうしく斑目さんの家に上がり込んでしまう。他人におそれがないんです。斑目さんのことを、寡黙だけど本質的にはいい人、根は優しいのだと潜在的に分かっていたんじゃないかなと思います。
−−斑目さんとのやりとりがコミカルで見どころですね。2人のやりとりでぜひ見てほしいシーンはどこですか?
斑目さんが玉之丞にえさをあげようとしてもなかなかうまくいかなかったのに、お梅はいとも簡単にえさをあげてしまう。それを見た斑目さんがちょっと衝撃を受けているシーンは私の好きなシーンです。ちぐはぐなコンビぶりが面白くて、演じていて楽しかったです。
−−玉之丞役の猫と演じてみていかがでしたか?
ふだん猫とはあまり接したことがなく、トレーナーの方に抱っこの仕方から教えていただきました。玉之丞役の猫はメインの猫のほか2匹いて、性格に合わせて出番を変えていました。猫がマイクをジッと見ていると、遊びたいのかなと思ったり、見ているだけで飽きませんでしたね。猫を抱っこしていると、自然に母性本能をくすぐられます。白滝がお梅をいじめるときに布団たたきをバンバンやるのですが、その大きな音に猫がびっくりしてしまったときは、抱きながら「大丈夫だよ」と声をかけて安心させようと必死で、本当に守ってあげたい気持ちでいっぱいでした。
−−物語は猫派と犬派の抗争へと発展しますが、蓮佛さんはどちら派なのでしょうか?
実家でトイプードルを飼っているので、犬派だったのですが、猫とずっと一緒に撮影しているうちに、今、グラついています(笑い)。飼うなら犬と思っていましたが、猫もいいなあと思い始めています。
−−猫の玉之丞に癒やされて、独特のゆるさが作品を個性的なものにしています。蓮佛さんが考える見どころを教えてください。
時代劇なのだけど、ファンタジー要素たっぷりの作品です。「侍」と「猫」という組み合わせも面白い。寡黙でいることで心を閉ざしていた斑目さんが、猫をきっかけに変わっていく姿が見どころです。猫を中心に、お梅も含めて周りの人も変わっていきます。白い猫は幸運を呼ぶといいますが、玉之丞もそんな猫ですね。猫には人の心を癒やす何かがある。見終わったら、ほっこりする映画だと思います。
−−最後にこれからどんな役に挑戦してみたいですか?
自分が追い込まれるような大変な芝居に挑戦してみたいです。過酷な現場に身を置いて、鍛えられたいです!
<プロフィル>
れんぶつ・みさこ。1991年2月27日生まれ。鳥取県出身。2006年、「犬神家の一族」で女優デビュー。同年、「転校生 さよなら あなた」で映画初主演。「バッテリー」(07年)、「ハナミズキ」(10年)、「君に届け」(10年)、「源氏物語 千年の謎」(11年)、主演作「RIVER」(12年)、「エイトレンジャー∞」(12年)などに出演。「子どものころ好きだったアニメーションは『セーラームーン』。セーラームーンになりたくて髪をロングにしてツインテールにしていました」と話した。
(インタビュー・文・撮影:上村恭子)
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