注目映画紹介:「銀の匙 Silver Spoon」セクゾ中島主演 農業高校を舞台に命と向き合う青春映

(C)2014 映画「銀の匙 Silver Spoon」製作委員会
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(C)2014 映画「銀の匙 Silver Spoon」製作委員会

 「マンガ大賞2012」に輝き、テレビアニメ化もされた荒川弘さんの人気マンガの映画化「銀の匙 Silver Spoon」が全国で公開中だ。「麦子さんと」(2013年)の吉田恵輔監督が映画化。北海道の大自然に囲まれた農業高校を舞台に、恋と友情、進路、酪農の現場を描く青春ストーリー。命に向き合う真面目なテーマを、笑いと涙で彩る。主人公をSexy Zoneの中島健人さん、ヒロインを女優の広瀬アリスさんが演じている。

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 進学校で挫折を味わった八軒勇吾(中島さん)は、寮があるという理由で、逃げるようにして大蝦夷農業高校の酪農科学科に入学した。同級生は、将来の目標や夢でいっぱいだが、八軒は何の目標も持てずにいた。アキ(広瀬さん)に誘われて馬術部に入部したものの、起きるのは早朝4時、体育の校内マラソンでは敷地1周20キロを走らされて、高校生活がほとほと嫌になる。八軒は、一番小さい子ブタに名前をつけて可愛がるが、酪農家の息子・駒場(市川知宏さん)たち同級生に「経済動物はペットじゃない」といわれてしまう。サラリーマン家庭で育った八軒は、駒場たちのことを「農家を継ぐだけで進路に悩まなくていい」とうらやましく思うが、同級生たちの姿を通して農家の本当の厳しさを知り、変わっていく……という展開。

 10代で自分とは異なるタイプの人々に出会うのは、とても重要なことだ。違う自分が発見できるからだ。八軒の場合もそうだった。アキの可愛さに引かれるうちに、農家に対する理解を深めていく八軒。水と油だった同級生の駒場と並んで牛乳を飲む姿は、とても印象に残るシーンだ。北海道の大自然は見ているだけで気持ちがいいが、困窮する酪農の現実も描かれて、ただ癒やされる映画とは一線を画している。食肉解体作業や子牛が生まれたシーンは、実際の授業や酪農の現場でロケを行ったという。本物の映像のお陰で「命をいただく」ことに真剣に思いを巡らせられる。ばん馬レースも迫力たっぷりで、八軒の視線で描かれる場面は、映画を見る側も一緒になって新鮮な体験が共有できる。広瀬さんや黒木華さんの熱演に目を奪われ、また脇役のクラスメートにもいろんな人がいて、高校生活をリアルに描いている。吉田監督らしい、クスッと笑える場面がいっぱいちりばめられて楽しい映画だ。そして観賞後には無性にベーコンが食べたくなる。7日から全国で公開中。(キョーコ/フリーライター)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して、映画生活に突入。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。

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