マッサン:好調の理由は? 堤真一の存在感やキャスティングの妙

「マッサン」で鴨居欣次郎を演じる堤真一さん
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「マッサン」で鴨居欣次郎を演じる堤真一さん

 俳優の玉山鉄二さんが主演し、米女優のシャーロット・ケイト・フォックスさんがヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「マッサン」が、4週連続で週間平均視聴率が20%を超えるなど好調だ。立身出世や夫婦の愛などベタなテーマを描き、朝ドラ初の海外からのヒロインのフォックスさんの演技や泉ピン子さんの“嫁いびり”なども話題だが、メディア文化論が専門の稲増龍夫・法政大学社会学部教授が「堤真一さんが光っている」と語るように、脇を固めるキャストの存在感も魅力の一つになっているようだ。「マッサン」の好調の理由を探った。

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 ◇人情にあふれ破天荒な鴨居社長=堤真一

 ドラマは、“日本のウイスキーの父”と呼ばれる竹鶴政孝とそのスコットランド人妻・リタをモデルにした亀山政春とエリー夫婦を、玉山さんとフォックスさんが演じている。NHK総合で毎週月~土曜午前8時に放送。全150回。初週の週間平均視聴率は21.3%(関東地区、ビデオリサーチ調べから算出・以下同)と好スタートを切り、第2週は20.6%、第3週は20.6%、第4週は20.9%を記録した。

 社会現象になった2013年放送の「あまちゃん」を皮切りに「ごちそうさん」「花子とアン」と、このところの朝ドラは期間平均視聴率が20%を超えてきた。稲増教授は、「マッサン」が好調な理由の一つを「『あまちゃん』からこれまで朝ドラを見ていなかった若い世代の視聴習慣が確立したということが大前提」と分析する。

 初週(9月29日~10月4日放送)は、広島・竹原が舞台で、泉さんが演じる政春の母・早苗の“エリーいびり”も話題になった。あまりにベタな展開に、稲増教授は「泉ピン子さんが初週に出演したときは、これで若い世代の視聴者は離れてしまうかもしれない……と思った」と話すが、舞台を大阪に移した第2週(10月6~11日)以降は「西川きよしさんら人情もの、“関西ノリ”で面白くなってきた」という。

 第2週以降、ベタな関西ノリが展開され、西川さんのほか、食堂・こひのぼりの店主役の及川いぞうさん、住吉酒造の好子役の江口のりこさん、池田役の前野朋哉さんら個性的な脇役が続々と登場しており、稲増教授は「中でも堤真一さんが光っている」と堤さんを絶賛する。

 堤さんが演じる鴨居欣次郎(きんじろう)は、国産初のウイスキーづくりを実現する鴨居商店の社長。器が大きく、部下や周囲の人から信頼され、柔軟かつ独創的なアイデアで、時代を切り開いていこうとする。まじめで愚直にも見える政春とは対照的で、稲増教授は「人情、夢を追いかける人生、それに加えて新しいものをどんどん取り入れる破天荒なキャラクターが魅力的」と説明する。

 ◇ヒロインはダイアナ妃のような日本人好み

 夫を支えるために奮闘するエリーを演じるフォックスさんも話題で、稲増教授はその魅力を「英国のダイアナ妃のような日本人の好きな外国人のルックス」と説明。「ごちそうさん」では杏さん、「花子とアン」では吉高由里子さんと、朝ドラはここのところ人気女優をヒロインとして起用してきたことから、放送前は、未知数のフォックスさんの演技が注目されてきたが、稲増教授が「キャスティングの妙でうまくキャラクターにはまったという印象」と語るように好評のようだ。

 また、稲増教授が「玉山鉄二さんはメークと雰囲気があんなにドラマにはまると思わなかった。サスペンダーとか帽子、髪形などでこれまでにない朴訥(ぼくとつ)とした雰囲気を出していてすごく成功していると思う」と話すように、玉山さんの奮闘ぶりも注目を集めている。

 ドラマの撮影は、理想のウイスキー作りを目指して政春が独立を決意し、北海道で再出発する北海道編に入った。稲増教授が「今後、北海道に舞台を移してまたどんな魅力的な脇役キャラクターが現れるか、楽しみ」と期待を寄せるように、今後の展開からも目が離せない。

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