週に約100本(再放送含む)のアニメを視聴し、アニメを使った町おこしのアドバイザーなども務める“オタレント”の小新井涼さんが、アニメにまつわるさまざまな事柄についてつづります。第5回は、埼玉県出身の小新井さんが同県とアニメの関係について語ります。
ウナギノボリ
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埼玉県がアニメを名物にしようと動いている。
“埼玉生まれ埼玉育ち埼玉在住のアニメオタク”な私としては運命を感じずにはいられない展開ですが、県の名物がアニメ? 具体的にどんな活動をしているの? と思う方も多いかもしれません。今回はそんな、小新井としても縁の深いアニメに懸ける埼玉県民の熱い思いを皆さんにご紹介したいと思います。
私も視聴時に大きくうなずいてしまったのですが、アニメ「ジュエルペットきら☆デコッ!」で埼玉出身の主人公・大宮ぴんくが埼玉の見どころをたずねられて「……すっごくいいところよ!」と苦笑いで応えるシーンがあります。
これが郷土愛とコンプレックスが混在する県民の心をズバリ代弁しているせりふでして……。埼玉とは「いいところはいっぱいある! はずなんだけどコレというのがとっさに出てこない!」県なのです。
一方で小さいころからオタクな埼玉県民として誇れることもありました。「クレヨンしんちゃん」のしんちゃん一家が住んでいたり、「ルパン三世 カリオストロの城」で銭形警部の乗るパトカーが埼玉県警のものだったりと、実は埼玉とゆかりのあるアニメがたくさんあるんです。
「トライブクルクル」の舞台でもあるさいたま市近郊の都市部から「ヤマノススメ」の飯能など自然あふれる県北まで、都内からのロケハンにアクセスがいいことや、「あの花」の舞台となった秩父が脚本の岡田麿里さんの出身地だったり「神様はじめました」の舞台に大地丙太郎監督の思い入れで川越が使われたりと制作者さんの愛着ある土地が多いこともあり、埼玉にゆかりのある作品が次々生まれています。
アニメをきっかけに地元を知ってもらえて、たくさんのファンも訪れてくれている。アニメ好きの一部県民はアニメで埼玉が活気づいていることに気づきました。その声はやがて県全体にまで伝わり、埼玉を「アニメが名物の県」として全国に知ってもらおうという活動につながったのです。
しかもその活動はアニメ好きの一部県民だけで行われているわけではありません。
聖地巡礼ブームの走りだった「らき☆すた」の聖地・鷲宮の住民の方々はアニメファンとの交流をきっかけに、今では自ら萌えフェスやオタ婚活などを主催していますし、県としても「アニメの聖地化プロジェクト会議」や「アニ玉祭」を自ら立ち上げたりと、もともとアニメに詳しくなかった人も「人々を引き寄せているアニメの魅力」を積極的に理解しようとしています。
県民としてもオタクとしてもうれしいことに、これらの試みは「アニメを利用して人を呼ぶ」のではなく「地元を使ってくれたアニメに敬意をもって作品を盛り上げる手伝いもしたい」という思いの元で行われています。
さんざん“ダサイタマ”とバカにされてきた私も「アニメの埼玉です(ドヤァ)」と言えるように! これからも県の会議やイベントなどを通して大好きなアニメで大好きな埼玉を盛り上げていきたいと考えています。
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