注目映画紹介：「ジョーカー・ゲーム」　亀梨の華麗なスパイぶりにほれぼれ

　柳広司さんのスパイ小説を基に、人気グループ「KAT−TUN」の亀梨和也さん主演で映画化した「ジョーカー・ゲーム」（入江悠監督）が31日に公開される。シリーズ累計発行部数100万部を超える柳さんの同名小説の第1巻から人気エピソードを厳選してストーリーを再構築。架空の第二次世界大戦前夜、陸軍内に極秘に設立されたスパイ養成機関「D機関」を舞台に、人類の歴史を変えかねない発明が記された機密文書をめぐり、日本や英国など各国のスパイたちの頭脳を駆使した争奪戦が繰り広げられる。天才スパイ・嘉藤を演じる亀梨さんが挑む難易度高めのアクションや、伊勢谷友介さんや深田恭子さんら豪華な顔ぶれ、異国情緒あふれるスケールの大きな映像など見どころ満載だ。

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　上官の命に背き極刑を言い渡された青年（亀梨さん）は、刑の執行直前に、謎の男・結城（伊勢谷さん）から秘密組織「D機関」の一員としてスパイになることを条件に、救いの手を差し伸べられる。過酷で奇妙な訓練を受ける中、青年は“嘉藤”という偽名を与えられ、世界を揺るがす機密文書「ブラックノート」の奪取を命じられる。文書を求め国際都市「魔の都」に仲間とともに潜入した嘉藤らは、文書を持つ米国大使のグラハムに接近していくが……というストーリー。

　スパイアクションというと邦画ではあまりなじみのないジャンルだが、想像をはるかに上回るスリルとサスペンスで楽しませてくれる。原作のよさはもちろんだが、映画「SR サイタマノラッパー」シリーズの入江監督がメガホンをとり、シンガポールやインドネシアのバタム島などで行われたというロケ撮影が効果絶大。エキゾチックな街並みが架空の国際都市を大胆に演出し、舞台が架空ながら第二次世界大戦前夜という時代の空気感や雰囲気がひしひしと伝わってくる。また、ここ最近、影のある男役が板に付いてきた亀梨さんの演技がスパイという設定に見事にはまり、物憂げな表情や孤独な姿がとても似合う。敵国のスパイたちとのチェースシーンは爽快で、早着替えに銃の解体、ダイナミックなアクションなど、亀梨さんの華麗な身のこなしは文句なしにカッコいい。ワクワクやドキドキ、逆転のカタルシスなどが詰め込まれた日本ならではのスパイ映画。極上の娯楽エンターテインメント作品に仕上がっている。31日からTOHOシネマズ 日劇（東京都千代田区）ほか全国で公開。（遠藤政樹／フリーライター）

　＜プロフィル＞

　えんどう・まさき＝アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。