1984年にアメリカンコミックに登場して以来、映画やアニメ、ゲーム化されてきた「ミュータント・タートルズ」(ジョナサン・リーベスマン監督)が、米女優ミーガン・フォックスさん主演で映画化され、7日から全国で公開された。作品のPRのために来日したフォックスさんと共演のウィル・アーネットさんに話を聞いた。
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このインタビューの前日に開かれたジャパンプレミアに、露出度の高いロングドレス姿で登場し、あまりの寒さに途中退場したフォックスさん。もしや、翌朝早めのこのインタビュー場所に体調不良で現れないのでは?と心配したが、当のフォックスさんは、開始の5分前にアーネットさんより一足早く部屋に現れ、メークをチェック。準備万端に整え、「ナイス・トゥ・ミーツ・ユー(お会いできて光栄です)」とにこやかにあいさつし席に着いた。
映画は、米ニューヨークを舞台に、化学物質で突然変異した4“人”のカメが、邪悪なフット軍団と戦うというアクションエンターテインメントだ。フォックスさんが演じるのは、4人のカメ、つまり“タートルズ”の姿をたまたま目撃するチャンネル6のテレビリポーター、エイプリル・オニールだ。
今回の撮影時、妊娠約2カ月だったというフォックスさんだが、「十分長く感じたけれど、実際は5分くらいだったと思う」という、「ちょっとでもミスをしたら顔にパンチやけりを食らうような危険」を伴う敵とのバトルアクションにも果敢に挑んだ。一緒に戦うアーネットさんも「ものすごく大変だった。でも僕ら2人、(アクションは)カッコよかったんだよ」と胸を張るが、そのカッコよさがあだとなり、アーネットさんいわく、「戦い慣れた2人に見えたみたい(笑い)」であえなくカット。日本でDVD化されるときは「ぜひその場面を特典映像として入れてほしい」と要望を出していた。
フォックスさんには、今作で製作を務めたマイケル・ベイさんの監督作「トランスフォーマー」(2007年)でブレークして以来、“アクションもこなせるセクシー女優”というイメージがある。しかし今作で演じるエイプリルは、知的で仕事への情熱があり、これまで演じてきたキャラクターとは違うニュアンスを持っている。そういう指摘に、フォックスさんは「エイプリルは、ものすごく知的で精神力も強く、タフな女性です。でも、周囲の人たちは彼女のキャリアを正当に評価してこなかったのです」とエイプリルが置かれている立場を説明。その上で「私自身の実生活と女優業としてのキャリアと重なる部分がありました」と共感を覚えたことを明かす。
一方、アーネットさんが演じるヴァーン・フェンウィックは、エイプリルに気があるばかりに騒動に巻き込まれてしまう同僚カメラマンだ。脇役だが難しい位置にいる。というのは、今作のコミカルな部分はタートルズのメンバーが、シリアスな部分はエイプリルが担っており、その間に立つのがヴァーンだからだ。アーネットさんは、自身の役について「僕の役は本当に難しかった」と感想をもらし、「本当に、みんなが取っていったあとの“残りかす”を拾い集めるような役だったんだからね。ちょうど、ミュージカルの『オリバー!』に登場する(くず拾いの)孤児のようなものさ」と笑いを交えて解説。
すると、それを聞いていたフォックスさんがすかさず、「でも、すごくチャーミングな役よ。だけど、あまり面白過ぎてもいけないのよね。それはタートルズの担当だから」と言葉をはさむと、アーネットさんが「そうなんだ。そこでどうすればいいのかということだけど、たぶん僕の役は、彼らと観客の隙間(すきま)を埋めるようなものなんだ。つまり、最初にエイプリルがタートルズと出会うことで、観客は彼らの中に入り込み、そのあと僕が演じるヴァーンが窓のような存在となることで、(観客は)そこから(物語を)のぞき込むことができるというわけだ」と自身の役を分析した。
全世界で大ヒットし、世界興行収入4億7700万ドル(約566億8000万円。2月5日BOX OFFICE調べ)を稼ぎ出している今作。ヒットの予感は「マイケル・ベイがからんでいるから、手堅いとは思っていた」とフォックスさんもアーネットさんも口をそろえる。その2人に、改めてタートルズの魅力を尋ねると、アーネットさんは「とにかく、キャラクターそれぞれに特徴があるから、誰かに感情移入できる。リーダーもいれば、アウトサイダーもいる。頭脳派、チャーミングで面白いヤツもいる。そんな彼らが団結することで、『家族』というテーマが生まれる」と話す。フォックスさんもあとに続けて、「それに、自分が周囲とどんなに違ってもいいんだということ、相手の相違点を理解して受け入れるということ、そういったとても深いいろんなテーマが込められているのよ」と賛同する。
とはいえ、タートルズはカメ。は虫類が出てくる映画だからと尻込みする人がいるかもしれない。するとフォックスさんは「(タートルズは)本当に、は虫類だということを忘れるぐらい魅力的で、ものすごく好きになるはずよ。彼らは、自分の父親とか兄、ボーイフレンドとか、そうした誰かを想像させるような人間的な要素を持っているし、4人はギリシャで古くからいわれている四つの感情を表しているのよ」とタートルズと古代ギリシャの“四大元素”のつながりを指摘。「でも、考えてみると、昔からメッセンジャー(使者)は、中国では龍だったり、エデンの園では蛇だったりするわよね。マヤ文明では神が蛇だったし……。つまり、は虫類というのはメッセンジャーなのよ。だから、は虫類は嫌いという考え自体を変えていただきたいわ」と静かに語った。日ごろ、問題発言ばかりがクローズアップされがちのフォックスさんだが、その知性ある言葉は、これまでのイメージを覆すものだった。
そのフォックスさんの言葉を受け、「補足することはないですか」とアーネットさんに尋ねると、不意をつかれたのか、「日本の女性に向けてのメッセージ?」と一瞬慌てながらも自分を指さし、「僕さ」と言い、笑いをとっていた。映画は7日から全国で公開。
<ミーガン・フォックスさんのプロフィル>
1986年、米テネシー州生まれ。5歳からダンスレッスンを始め、15歳で映画、テレビに出演。2007年「トランスフォーマー」のヒロイン役でブレーク。主な出演作に「トランスフォーマー/リベンジ」(09年)、「ジェニファーズ・ボディ」(09年)、「ジョナ・ヘックス」(10年・日本未公開)、「パッション・プレイ」(10年・日本未公開)、「40歳からの家族ケーカク」(12年・日本未公開)がある。
<ウィル・アーネットさんのプロフィル>
1970年、カナダ・オンタリオ州生まれ。「SEX AND THE CITY」シーズン2(99年)をはじめ、「サード・ウォッチ」第1シーズン(2000年)、「ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア」第4シーズン(02年)など数々の人気テレビシリーズにゲスト出演。「ブル~ス一家は大暴走!」では3シーズン(03~06年)にレギュラー出演した。映画出演作に「俺たちフィギュアスケーター」(07年)、「俺たちダンクシューター」(08年)、「スパイアニマル Gフォース」(09年)などがある。また、「ホートン ふしぎな世界のダレダーレ」(08年)、「モンスターVSエイリアン」(09年)、「LEGOムービー」(14年)では声を担当した。
(インタビュー、文、撮影:りんたいこ)
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