注目映画紹介:「悼む人」 天童荒太の原作を堤幸彦が映画化 キャストの渾身の演技に心震える

(C)2015「悼む人」製作委員会/天童荒太
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(C)2015「悼む人」製作委員会/天童荒太

 俳優の高良健吾さんの主演映画「悼む人」(堤幸彦監督)が14日に公開される。第140回直木賞を受賞した天童荒太さんの同名小説が原作で、死者を「悼む」ために全国を放浪する男性を主人公に、自身と関わりを持った人々との人間模様が描かれる。主人公の坂築静人を高良さん、夫を殺害した過去を持つヒロイン・奈義倖世を石田ゆり子さんが演じ、同作の舞台公演で演出を担当していた堤監督がメガホンをとった。重厚なドラマが展開し、誰しもが直面する死のあり方についてスクリーンから問いかけてくる。

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 不慮の死を遂げた人々を悼むため、坂築静人(高良さん)は全国を放浪している。静人はとある事故現場で週刊誌記者の蒔野抗太郎(椎名桔平さん)と出会う。ゴシップ記事を書き続け“エグノ”と陰で呼ばれる蒔野は、静人の行動に疑問を感じ身辺を調べ始める。一方、夫の甲水朔也(井浦新さん)を殺害した倖世(石田さん)は刑期を終え出所。夫の亡霊に悩まされる倖世は静人と出会い、過去を隠したまま行動を共にするが……というストーリー。

 天童さんの小説が原作なだけに、生と死、愛と憎しみ、罪と許しなど重めのエピソードが目白押し。見る側はかなりの体力を必要とするが、見終わるとそこはかとなくすがすがしさを感じるなど未知の感動があふれてくる。誠実に役に向き合う高良さんやヒロインの石田さんはじめキャストの渾身(こんしん)の演技が心にしみわたり、特に最近はコメディータッチな役が多かった椎名さんの迫力あふれる演技に思わず身を乗り出してしまう。テーマがテーマなだけに共感できる部分もあればそうでない部分もあり、見る人の立場や心情でとらえ方が大きく変わるだろう。理解しようとはせず、素直に感じ何かを考えさせられる作品。しばらくしてから今作をもう一度見て、再び自分と向き合ってみたい。14日から丸の内TOEI(東京都中央区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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