人気アイドルグループ「ももいろクローバーZ」(ももクロ)の主演映画「幕が上がる」(本広克行監督)が28日に公開される。劇作家の平田オリザさんの青春小説が原作で、地方都市の県立富士ケ丘高等学校を舞台に、演劇部員の女子らが元学生演劇の女王だった新任教師と出会い、全国大会を目指して奮闘する姿を描いている。希望と不安が入り交じる思春期の少女たちを演じるももクロだが、メガホンをとった本広監督が「登場人物がメンバーと驚くほど似ている」と評すほどで、その熱演ぶりと役へのはまり方は必見だ。
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部長として高校の演劇部をまとめることになった高橋さおり(百田夏菜子さん)は、年に一度の大会で地区予選突破を目標に掲げるも、自身はさまざまなことに悩む日々を送っていた。ある日、美術教師として吉岡(黒木華さん)が赴任してくる。さおりらは吉岡が元学生演劇の女王だったということを知り、演劇部の顧問になってほしいと頼む。やがて地区大会すら勝ち抜けたことのない弱小演劇部員たちは、吉岡に後押しされ全国大会出場を目指すことになり……というストーリー。
世代にもよるのだろうが、学生時代に理由もなくもやもやしていたことや、何かにひたむきに打ち込んでいたことなど、“青春”を思い出させてくれる。原作の良さを見事なまでに凝縮させた脚本も素晴らしく、とにかくももクロの演技には驚かされる。中でも百田さんの演技は圧巻で、まさにさおりがそこにいるかのような迫真の演技には目を見張るばかり。もちろん、ほかのメンバーたちも含め、初々しくみずみずしい演技が物語に熱量を与えている。恋や友情といった分かりやすいものではない部分での青春が描かれており、ジワジワと心にしみてすがすがしい感動を覚える。できることなら「ももクロが主演」という先入観を持たずに映画を楽しんほしい。純粋で真っすぐな青春映画を見終わったあと、心から拍手を送りたくなるはずだ。新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。
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