女優の麻生久美子さん(37)が出演し、長谷川博己さんが主演する映画「ラブ&ピース」(園子温監督)がこのほど、公開された。麻生さんは、長谷川さん演じるうだつの上がらないサラリーマンの鈴木良一に思いを寄せられる寺島裕子を演じている。麻生さんに役作りや園監督、作品について聞いた。
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映画は、うだつの上がらないサラリーマンの鈴木が、ある日、デパートの屋上で一匹のミドリガメと出会って運命を感じ、人生を変えていく……という物語。裕子は鈴木の同僚で、鈴木は裕子に思いを寄せているが、まともに話もできずにいる。謎の老人として西田敏行さんが出演し、言葉を話すおもちゃも登場する。園監督が25年前に書いた脚本を基にしており、園監督が脚本と監督を手がけた。
麻生さんは脚本を読んだ際の、自身の役どころの印象を「地味な人だけど印象に残る、ある意味、個性的なんだろうなと感じました」と振り返る。「全体的にせりふはほとんどない」ものの、独特のビジュアルや麻生さんの演技によって印象的なキャラクターに仕上げられている。
園監督から「色気ゼロで麻生久美子と分からない感じにダサく」という指示があり、眼鏡をかけ、白髪交じりの髪を下ろし、ロックTシャツなどを着用。長谷川さんが演じる鈴木に思いを寄せられるため、キャラクターは「(鈴木と)どことなく雰囲気が似ていたらいいなと。似ている裕子になんとなく安心して好きになるのかなと解釈していたから」と、どことなく変わった鈴木に合わせて「ちょっと変わった人にしたかった」という。
姿勢やせりふ回しに気を配り、「せりふの言い方も私っぽくならないようにと、園監督から指示があって、できるだけ(自分と)離したいと思って、早口や相手とあまり呼吸を合わせないという気持ちで演じました」と撮影を振り返った。
麻生さんが同作への出演を決めた理由は「園監督の作品だから」だという。園監督が手がける作品に出演するのは2006、07年に放送されたテレビドラマ「時効警察」シリーズ以来だ。
麻生さんは「ラブ&ピース」について「丸ごと(園監督)だと思いました。園さんらしさはそのままで、今までにないタイプの作品」といい、「いろんな要素が入っているんです。怪獣も出てくるんですけど、特撮かといわれるとそれだけでもないし、全体的には愛や夢の話。(それ以外にも)いろんなテーマが濃縮されている」と説明する。
園監督の作品にはバイオレンスな要素の強い作品もあることから、当初は「ファンタジーっぽいけれど、実際に撮影したら(バイオレンスふうに)変わるのかな」と思ったという。しかし、出来上がった作品はバイオレンスとはほど遠く、ファンタジー色の強い作品となった。
麻生さんは、撮影での園監督の様子を「本当に目をキラキラさせていました。あんなに楽しそうに撮っている姿は初めて見たぐらいですね」と明かし、「とにかくパワフルな映画。でも見るのに構えなくてもいい。単純に楽しんでもらうための映画でもあります」とアピールした。
次回は麻生さんの生き方などについて聞く。
<プロフィル>
あそう・くみこ。1978年6月17日生まれ。千葉県出身。1995年の映画「BAD GUY BEACH」(あいかわ翔監督)で映画デビュー。98年の「カンゾー先生」(今村昌平監督)で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞、新人俳優賞をはじめ、数々の映画賞を受賞した。7月19日から連続ドラマ「ナポレオンの村」(TBS系、日曜午後9時)に出演する。
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