巨大地震に見舞われた米カリフォルニア州を舞台にしたパニックアクション映画「カリフォルニア・ダウン」(ブラッド・ペイトン監督)が全国で公開中だ。地震で都市全体が崩壊していく中、妻と娘を救出しようと奮闘する主人公のレスキュー隊パイロット、レイの姿を描く。先に公開された世界57カ国では、オープニング1位を記録している。レイを演じるのは、「ヘラクレス」(2014年)や「ワイルド・スピード SKY MISSION」(15年)での雄姿が記憶に新しいザ・ロックこと米俳優のドウェイン・ジョンソンさんだ。日本公開についてジョンソンさんに電話で話を聞いた。
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完成した映画は、「家族と一緒に見た」というジョンソンさん。カリフォルニア州サンフランシスコで生まれ、マイアミの大学に通い、これまでハリケーンや地震を経験していることから、「もともと自然に対して敬意を抱いていたし、地震というものを分かっているつもりだった」。しかし、映画を見終えたとき、改めて被災した際の避難経路や安全確保の方法、離れ離れになったときどこで落ち合うかなどを家族と確認し合ったという。今は「たくさんの防災グッズを準備している」と明かす。
ジョンソンさんがレイに引かれるのは「彼が持つ二面性」ゆえだ。「レイは、本当に優秀なレスキュー隊員だ。レスキュー隊という仕事も独特だ。みんなが逃げ回る中、一人で災害現場に飛び込んでいくんだからね。そんなキャラクターを演じられてとても光栄だった。それに、世界にこういう人たちがいるということを主人公を通じて広く知ってもらえるのはうれしいことだ」と話す。
その一方で、レイは心に大きな痛みを抱えている。「妻とは離婚の危機にあるし、娘との関係にも葛藤があって、いい関係を保とうと必死になっている。2人とは別居中だから、家に帰っても一人だ。そういうところがすごく心に響いた」とレイのもう一つの側面を説明する。その思いの裏には、多分に自身の経験がある。「僕自身、離婚を経験しているから、離婚後、自分が父親としてどうあるべきかをすごく考えたりした。だから脚本を読んだとき、レイにすごく共感できたんだ」と打ち明ける。
とはいえ、レイの内面や家族愛ばかりに焦点を当てた作品ではない。レスキュー隊員ならではのアクションシーンもある。「この映画での僕は、たくさんのおもちゃが与えられた小さな子供のようなものだ。もっとも、僕は普段から大きな子供みたいなものだけどね(笑い)」と前置きし、「軍用スピードボートをかっ飛ばしたり、パラシュートで飛行機から飛び降りたり。車輪のあるものや、翼があるもの、すべての乗り物に乗った気がする」と振り返る。
ジョンソンさんには「長年世話になっている優秀なスタントマンがいる」そうだが、今回はカメラの前で、しかもカットなしで演じるシーンが多かったため、「スタントの大半は自分でこなす必要があった」。ヘリコプターからの懸垂下降もジョンソンさん自らが行った。
そういった体験は、「めちゃめちゃ楽しく、めちゃめちゃクール」で、「もしかしたら、レイのように何もかもこなせる男を演じる機会はもう二度とないかもしれない」と残念がるが、「今回の作品がヒットしたことで続編の話がチラホラ出ている」らしく、「また彼を演じられるかもしれないな」との期待ものぞかせた。
映画を一観客として見たとき、一番印象に残ったのが、津波に襲われた娘を助けようと奮闘するシーンだという。「脚本を読んだときも、とても感情的になったけれど、実際に演じるとなると、違うレベルの感情が湧き出てきたんだ。あのシーンの撮影には数日かけたけれど、演じながら精神的に本当につらかった。でも、そのときのレイの気持ちが観客に届いているからこそ、この作品は多くの人たちに受け入れられているのだと思う」と推し量る。ちなみにジョンソンさんは、ヘリコプターに乗り、家族を助けに行く場面を思い返しながら「実際にそういう状況になったら、僕も、何に乗ってでも助けに行く」そうだ。
ともあれ、「まずは、この物語に共感してくれたり、何か心に響いてもらえるものがあったらうれしい」と話すジョンソンさん。とりわけ、「レイの家族が直面するさまざまな困難や、それに対して彼らがどんなふうにぶつかっていくのかを見てほしい」と力を込める。そして、「たぶん、日本の方々は分かってくれるはずだ。僕らも米西海岸に住んでいて、日本が大きな地震に見舞われたことをよく知っている。災害を扱うことにはデリケートな要素を含んでいる。だからこそ僕らも、そういう描写には細心の注意を払ったつもりだ。そういうことも含めて伝わるとうれしい」と語り、「何より、『家族を守るためなら何でもする』、そういうレイの気概が皆さんの心に響くことを願っている」と言葉をつないだ。映画は12日から全国で公開中。
<プロフィル>
1972年、米カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ、ハワイ育ち。高校時代からアメリカンフットボールの選手として活躍し、マイアミ大学に進学。卒業後プロレス団体WWE(当時はWWF)に入団。“ザ・ロック”のリングネームで人気を博す。2001年、映画「ハムナプトラ2/黄金のピラミッド」に出演。そのスピンオフ映画「スコーピオン・キング」(02年)で俳優としての地位を確立する。その後も「Be Cool/ビー・クール」(05年)、「ゲットスマート」(08年)、「ウィッチマウンテン/地図から消された山」(09年)などコンスタントに出演。ほかの作品に「センター・オブ・ジ・アース2/神秘の島」(12年)、「G.I.ジョー バック2リベンジ」(13年)「ワイルド・スピード」シリーズ(11年、13年、15年)、「ヘラクレス」(14年)などがある。
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