人気アイドルグループ「AKB48」の島崎遥香さんの主演映画「劇場霊」(中田秀夫監督)が21日に公開される。劇場を舞台に、さまざまな怪奇現象や恐怖が描かれる今作は、「リング」シリーズや「クロユリ団地」(2013年)など数々のホラー映画を手がけてきた中田監督が、忍び寄るような恐怖ではなく、次々と襲いかかるように迫りくる演出で恐怖心をかき立てる。グループの全メンバーを対象にしたオーディションで主人公に選ばれた島崎さんが単独で映画初主演を務めるほか、足立梨花さんや高田里穂さん、劇団EXILEの町田啓太さんらが共演している。
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若手女優の水樹沙羅(島崎さん)は、気鋭の演出家・錦野豪太(小市慢太郎さん)の新作舞台に端役だが出演が決まる。主演の篠原葵(高田さん)、野村香織(足立さん)らは火花を散らしながらけいこに明け暮れていた。ある日、劇場内でスタッフの変死体が見つかったのをきっかけに、葵が転落事故に遭うなど不可解な事件が連続して起こる。葵の代役として沙羅は主演に抜てきされるが、舞台に置かれた小道具の人形が動き出すのを目撃。沙羅はスタッフの和泉(町田さん)と人形を制作した作家・児島(中村育二さん)を訪ねるが……というストーリー。
中田監督の作品といえば、じわじわとにじり寄るような怖さが特徴だが、この「劇場霊」はこれまでとはスタイルをガラリと変え、ハイスピードで迫り来る恐怖に身もだえさせられる。怨念がこもった人形が登場することで惨劇が始まるという“Jホラー”の定番ではあるものの、どこか西洋風の雰囲気も漂わせ、恐怖や気味の悪さ、不条理感などをいや応なく感じさせられる。グロテスクさやショックをあおるような直接的な表現を使わず、プリミティブに恐怖をあおる演出を多用することで、ここ一番というシーンの恐怖感や異様さが際立った。ホラー映画でありながら、女優たちの争いなど、舞台の裏側にある人間模様も興味深い。島崎さんの今まで見せたことがない多彩な表情を見せ、普段とのギャップも映画にマッチした。21日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。
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