「リリイ・シュシュのすべて」(2001年)や「花とアリス」(04年)などの作品で知られる岩井俊二監督が、「ヴァンパイア」(11年)以来5年ぶりに手掛けた劇場長編映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」が26日に公開される。黒木華さんを主演に想定して物語を書き起こしたという今作は、黒木さん演じるヒロインが、事件や不条理に遭遇しながら成長していく姿を描いている。ヒロインと絡む“なんでも屋”の男に綾野剛さんが扮(ふん)しているほか、シンガー・ソングライターのCoccoさんがヒロインに影響を与える女性役で出演している。
あなたにオススメ
朝ドラ:来年度後期は「ブラッサム」 主演は石橋静河 モデルは…
生徒に軽んじられながら派遣教員として働く皆川七海(黒木さん)は、SNSで知り合った鶴岡鉄也(地曵豪さん)と結婚することになる。ところが、七海側の来賓客があまりに少なかったことから、“なんでも屋”の安室行舛(綾野さん)に、代理出席をしてくれる人を集めてもらうことにする。それが縁で、ことあるごとに安室に助けてもらうようになる七海。やがて、七海自身が結婚式の代理出席のアルバイトをすることになり、そこで彼女は、里中真白(Coccoさん)という風変わりな女性と出会う……というストーリー。
ミステリアスでファンタジック。作品全体に浮遊感が漂っている。とはいえ、映画の前半部分を覆うのは、底知れぬ違和感だ。表層は美しいのに、その底にはどす黒い水が流れている感覚。生徒にばかにされ、周囲に流されて生きてきた七海が、その濁った水に翻弄されながら、やがて人間の本質に近づき、彼女自身も強くなっていく。同時に、奇妙な女性、真白との共同生活を通じて、この世界の優しさに気づいていく。SNS、ひきこもり、いじめをほのめかす描写など、今の社会が抱える問題を潜ませながら、一人の人間の成長と、女同士の友情を描いていく。
真白役のCoccoさんの、伸びやかかつ型にはまらない演技が素晴らしい。それによって、黒木さんの可憐(かれん)さや純粋さが引き立つという絶妙さ。2人が、森田童子さんの「ぼくたちの失敗」と荒井由実さんの「何もなかったように」を歌う場面は、今作の名シーンの一つだ。岩井監督はこの話を、3.11直後から書き始めたという。人間の優しさ、世界の優しさに気づかせてくれる話だ。今作のチラシに、「噓と希望と愛の物語」とあり、「噓」は「ゆめ」と読ませる。そこに、この物語の伝えたかったことが含まれているように感じる。26日より新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
俳優の吉沢亮さんが12月31日、歌舞伎座 (東京都中央区)で行われた主演映画「国宝」(李相日監督)の「歌舞伎座大晦日特別上映会」の舞台あいさつに登場した。実写ナンバーワンの作品と…
映画「シン・ゴジラ」のソフトビニール製フィギュア「Gザウルス ゴジラ(2016)覚醒熱線放射Ver.」(プレックス)が発売される。2万7280円。
12月29日に発表された26~28日の映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)によると、ディズニー・アニメーション「ズートピア2」(ジャレド・ブッシュ監督・バイロン・ハワード監督…
映画「ゴジラ」とアニメやゲームなどが人気の「デジモン」がコラボしたフィギュア「東宝大怪獣 ウォーグレイモン:“G”侵食モード」(プレックス)が発売される。3万7400円。
俳優の中村雅俊さんが12月15日、都内で開かれた映画「五十年目の俺たちの旅」の原作本「噴水 五十年目の俺たちの旅」の出版を記念したトークショーイベントに登場。映画の 原作・脚本を…