ファンキー加藤:映画主演に音楽も…「背負うもの大きい」

取材に応じたファンキー加藤さん
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取材に応じたファンキー加藤さん

 ミュージシャンのファンキー加藤さんがこのほど、東海・北陸地方で放送中の音楽番組「Uta-Tube(ウタチューブ)」(NHK名古屋放送局)の収録前に取材に応じた。11日に初主演した映画「サブイボマスク」(門馬直人監督)が公開される加藤さんは、演技に本格的に挑戦するのが初めてでありながら、同作で主演のほか、主題歌と劇中歌2曲の計3曲を手がけるという大活躍。人気音楽グループ「FUNKY MONKEY BABYS(ファンキーモンキーベイビーズ)」の時代から「応援ソングを歌ってきた」といい、今回の映画を「形を変えた応援ソングという側面もありますね」と語る加藤さんに、作品について聞いた。

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 ◇大役も「逃げるわけにはいかない」 監督と脚本家の熱意で決心

 映画は、シャッター商店街に笑顔を取り戻そうと、熱血青年団員の春雄(加藤さん)が謎のシンガー「サブイボマスク」にふんして、アツく、真っすぐに歌を歌い奮闘していく物語。

 「小学生ぐらいのときから演じることに興味があった」という加藤さん。ファンキーモンキーベイビーズを2013年に解散し、14年にソロ活動をスタートした頃、オファーがあれば俳優業にも挑戦しようと考えていた矢先、今回の映画主演の話が舞い込んだ。

 当時を「正直、びっくりしましたし、荷が重いと思って尻込みしましたね。主演で、主題歌で、劇中歌もだったので、背負うものが大きいなって……。音楽が100%の割合(のオファー)だったら、二つ返事で挑んでいくんですけど、なにしろ映画というものが未知の世界だったので、最初は一度、お断りしました」と振り返る。

 その気持ちを変化させたのは、門馬監督と脚本を手がけた一雫(ひとしずく)ライオンさんの熱意。2人は加藤さんのライブを見た後、脚本を大幅に変更した。加藤さんは「『加藤さんがミカン箱の上に立って、人けのない商店街でこぶしを掲げている姿が、想像できた』と言ってもらい、(脚本上の)主人公とファンキー加藤というキャラクターが歩み寄っていった」と2人の熱意を目の当たりにし、「逃げるわけにはいかない」と心を動かされた。

 また所属事務所の社長から「誰かに必要とされるのは、すごく幸せなことだ」と助言されたこともあり決心。「やるんだったら、とことん」という気持ちで作品に臨んだ。

 しかし春雄は、叫んだり、歌ったり、走ったり……と「カロリー消費の高い男」。撮影のため事前に体重を5キロ減らした加藤さんが、さらに意図せず「2~3キロやせてしまった」というほど、肉体的にハードな撮影だった。それでも、当初、感じていたプレッシャーは「なくなっていった」といい、「自分が春雄というキャラクターを理解しはじめたぐらいから、春雄が“歩み寄って”きてくれた。それからは、撮影が楽しかったですね」と新境地でも手応えを感じたようだ。

 ◇主題歌「ブラザー」は「兄弟愛」がテーマ 特典DVDで夢のプロレス入門も

 主題歌の「ブラザー」は8日に発売されたばかり。3人兄弟の次男という自身の体験を基に、家族との思い出や、その大切さを想起させる歌に仕上がっている。映画の撮影終了後、春雄と、小池徹平さんが演じる春雄の幼なじみの権助の関係性から、「ファンキーモンキーベイビーズ時代にもタッチしたことがない」という「兄弟愛」をテーマに書き上げた曲で、「プレッシャーはありましたね。チーム一丸となって、いい作品を作ろうという熱量を間近で体験したので、へたな歌は作れないなって」と明かした。

 同曲の初回生産限定版にはDVDが付き、同曲のビデオクリップとメーキング映像、加藤さんが苦手なものや過酷なものに挑戦する企画「漢(おとこ)への道 番外編~プロレス編~」を収録。「漢への道」は、子供の頃に夢見た将来が「プロレスラーかミュージシャンか二択だった」という加藤さんが、サブイボマスクの姿で、プロレスラーの武藤敬司さん率いるプロレス団体「WRESTLE-1(レッスル・ワン)」の道場を訪れ、「プロレス一日入門」を果たした映像だ。

 長年の夢をかなえた加藤さんは「本当にうれしかったですね」と満面の笑みを見せる一方、「本当に地獄でした」と苦笑い。一日入門の様子を「レスラーの方には基礎運動なんですけど」と前置きしながら、「いきなりジャンピングスクワット100回が始まるんですよ。身をもって体験したんですけど、素人が100回やると、次の日、歩けなくなるんです。筋肉痛というレベルを超えて、軽いケガだなって思うぐらい。階段の上り下りができなかった」と振り返った。

 「ミュージシャンを選んでよかった。プロレスラーの道だったら、たぶん断念していたなって思うぐらい、しんどかったです」とジョーク交じりに語り、「やっぱりプロレスラーってすごいなと、今まで以上にプロレスへのリスペクトが高まりました」と子供のような笑顔を見せる。

 今後の俳優活動について聞くと「オファーをいただけて、タイミングさえ合えば、なんでもやらせていただこうという気持ち」と前向き。「サブイボマスクは、ファンキー加藤(というキャラクター)を1.5倍にしたような男だったので、今度は別人格をやってみたいですね。明るくて元気で応援歌というイメージと逆の感じ。そういうのをやってみたい」と新たな挑戦を思い描いていた。

 <プロフィル>

 ファンキー・かとう。1978年12月18日、東京都八王子市生まれ。2004年1月に「FUNKY MONKEY BABYS」を結成し、リーダーを務める。06年1月にメジャーデビューし、13年6月に解散。14年2月にソロデビューした。今年、映画「サブイボマスク」のキャラクター、サブイボマスクとして劇中歌「春雄の唄」「かけがえのない人」を発売。6月8日に主題歌「ブラザー」を発売した。東海・北陸地方で放送中の音楽番組「Uta-Tube(ウタチューブ)」(NHK名古屋放送局)の11日の放送回に出演し、スタジオライブなどが放送される。

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