大ヒットゲームが原作の劇場版アニメシリーズとして毎年夏に公開され、累計観客動員が7200万人を超える「劇場版ポケットモンスター」の第19作「ボルケニオンと機巧のマギアナ」(湯山邦彦監督)が16日に公開される。人間嫌いのポケモン、ボルケニオンや人造ポケモン、マギアナとサトシの友情や絆が描かれた大作だ。
ウナギノボリ
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ポケモンマスターを目指し旅を続けるサトシとピカチュウたちの前に、ある日空から幻のポケモン、ボルケニオンが降ってくる。人間嫌いのボルケニオンは、すぐにサトシたちの前から立ち去ろうとするが、ひょんなことから電磁パルスを発生する巨大なリングがボルケニオンとサトシに装着されてしまい、2人は離れられなくなってしまう。とらわれてしまったマギアナを救い出そうとひた走るボルケニオンに引きずられる形で、サトシたちはカラクリ都市「アゾット王国」へ乗り込むのだった……。
2011年の「ビクティニと黒き英雄 ゼクロム/白き英雄 レシラム」以来5年ぶりに短編作品が廃止され、その分、本編の上映時間が約20分拡大された。その結果として、これまでよりドラマが濃密に描かれている印象だ。特に人間嫌いのボルケニオンとサトシが友情を育んでいく様子が丁寧に描かれている。電磁パルスによって離れたくても離れられない(物理的に)というギミックも効果的で、2人の絆が徐々に育まれていくさまは近年の作品にはなかったものだ。
恒例のゲスト声優だが、何といってもボルケニオン役の市川染五郎さんの演技が秀逸。がんこでちょっとべらんめえ口調も混じった難しいキャラクターを見事に演じ切った。アニメ声優初挑戦とは思えない名演で、「デスノート」のリュークなどさまざまな作品で声優を務めた中村獅童さんもそうだが、名のある歌舞伎俳優は声優としても素晴らしいということだろう。アゾット王国の王女、キミア役の松岡茉優さんも、サトシ役の松本梨香さんらレギュラー陣や、山寺宏一さん、中川翔子さんといった劇場版おなじみの面々を相手に好演していた。
個人的にはポケモンの死と自己犠牲を強く描いている点に注目。「泣けるポケモン映画」のうたい文句に偽りはなく、子供向けの短編を廃したことも手伝って、これまでよりも対象年齢が上がり、見応えのある作品に仕上がったといえるだろう。
おなじみのポケモンプレゼントは、先日開催された「ポケモン総選挙720」で1位に輝いたゲッコウガ。劇場入場者プレゼントとしてアーケードゲーム「ポケモンガオーレ」で遊べるマギアナのスペシャルディスクがもらえるが、さらに11月発売予定の3DS向け新作ゲーム「ポケットモンスター サン・ムーン」でもマギアナを仲間にできる。今作の“名優”ボルケニオンは特別前売り券の特典だが、「ほのお・みず」というこれまでにない組み合わせのタイプなので、ファンならゲットしておきたい。(立山夏行/MANTAN)
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