人形劇「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀(サンダーボルト・ファンタジー・とうりけんゆうき)」の原案、脚本、総監修を務める「ニトロプラス」の虚淵玄(うろぶち・げん)さんが、8日放送のアニメやゲームなどの情報番組「アニゲー☆イレブン!」(BS11)にゲストとして登場する。このほど東京都内で行われた番組の収録後、アニメファンを中心に「斬新!」「こんな世界があったのか!」などと話題になっている同作について、虚淵さんに話を聞いた。
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「サンダーボルト・ファンタジー」は、アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」や特撮ドラマ「仮面ライダー鎧武」などを手がけたきた虚淵さんが、台湾で人気の人形劇・布袋劇(ほていげき)の映像にほれ込み、布袋劇を制作する台湾の「霹靂社」とコラボした日台合同企画。かつて魔界の軍勢と人間界が争った戦で、人間たちによって鍛造され、無双の力を発揮した数々の武器“神誨魔械(しんかいまかい)”をめぐる物語が展開されている。
布袋劇は、美しい造形の人形が剣を振り回すなど派手なアクションを繰り広げる。伝統的な人形劇とCGによる演出が融合しており、日本のアニメのバトルシーンのような派手な映像表現も見ることができる。虚淵さんが布袋劇に出会ったのは2014年の初めで、小説「Fate/Zero」のサイン会のために台湾を訪れた際に、布袋劇の人気作「霹靂布袋戲」の展覧会を見て、衝撃を受けたという。
虚淵さんは「過去から現代の作品を集めた展覧会で、歴史の中で進化を遂げてきた思い切りのよさ、作り込みの細かさ、アクションの壮絶さ、そしてゴージャスさに度肝を抜かれた。『何で知らなかったんだ!』という悔しさもあった。世界的に見ても似ているものもない」と当時の驚きを振り返る。
布袋劇は17世紀ごろから続く伝統芸能だが、時代とともに進化してきた。虚淵さんは「伝統はあるが、エンタメを意識してSFX、CGを取り入れるなどフットワークが軽く、大衆芸能に近い。一方で、職人技で見せていくところからは外れない。伝統もあるんです。日本と台湾では人形劇に対して認識の差があるのかもしれません。(NHKで放送された)『人形劇 三国志』のような“みやび”な方向の人形劇とは、根幹から違って、布袋劇はアクションなんです」と説明する。
布袋劇の「霹靂布袋戲」に衝撃を受けた虚淵さんは「日本でも紹介したい!」と考えた。だが、一方で「海外では展開しにくいかもしれない」とも感じたという。同シリーズは30年以上にもおよぶ歴史があり、「長く続いているため、昔の映像が入り口になってしまう。その辺りの取っつきにくさがあるので、工夫しないと紹介するのは難しいと感じた。例えば、アメコミの場合、歴史はあるが、新規層を取り込むための工夫をしている。作品に関する前提を認識していれば、歴史を知らなくても作品を楽しめる。布袋劇も日本人にも分かりやすい脚本があれば、分かってもらえるかもしれない」と考えた。
そして、生まれたのが「サンダーボルト・ファンタジー」だ。「まず、人形の動きやノリを伝えたかった。『こんな映像コンテンツがあるんだ!』と分かってもらうことが課題。武侠(ぶきょう)ものの基本文脈を抑えつつ、どこの国でもあるような物語にしようとした。日本では、剣と魔法のファンタジーと言えばゲームが強い。『指輪物語』を読むより先に『ドラゴンクエスト』をやっている人も多く、クエストが課されて、パーティー組む……というストーリーが分かりやすい」と“ローカライズ”していった。
「サンダーボルト・ファンタジー」は、虚淵さんが原案、脚本などを手がけ、台湾の霹靂社が映像を制作した。虚淵さんは、映像の制作について「基本的にお任せです。何カ所かは意思の疎通のために、コンテをいただきましたが、ほかはコンテもなく、現場で決めています。翻訳の段階で意味が少し変わっていると感じたところは修正してもらったところもありますが」と説明する。
「システマチックで、サーカスの芸のようにすごい勢いで撮っている」という撮影を経て、「サンダーボルト・ファンタジー」は完成した。虚淵さんは「期待をはるかに上回ったものになり、感無量です。日本だけでなく、ヨーロッパやアメリカでも見られるためのサンプルにもなれば」と完成を喜ぶ。気になる今後の活動については「新しいことをどんどんやっていきたい。海外の市場にチャレンジするのも刺激的ですよね」と意気込んでいた。
「サンダーボルト・ファンタジー」はTOKYO MX、BS11ほかで放送中。BS11で8日午後11時半から放送される「アニゲー☆イレブン!」は、虚淵さんとニトロプラスのでじたろうさんがゲストとして登場し、「サンダーボルト・ファンタジー」などについて語る。
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