モンスター
#6 変わらないもの
11月18日(月)放送分
池井戸潤さんの小説を俳優の役所広司さん主演で実写化したTBS系の連続ドラマ「陸王」(日曜午後9時)。12日放送の第4話では、歌舞伎俳優の市川右團次さん演じる“信念のベテラン・シューフィッター”村野尊彦が、ライバル企業「アトランティス」を辞めたあと、ひょんなことから老舗足袋業者「こはぜ屋」の新シューズ「陸王」の開発チームに加わる姿が描かれた。ドラマを見る限りシューフィッターは、ランナーやアスリートにとって身近な存在に映るが、そもそもどんなことをしてくれる人たちなのだろうか……。
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「陸王」は、埼玉県行田市にあるこはぜ屋の4代目社長・宮沢紘一(役所さん)が、新規事業への参入を考え始め、足袋製造で培った技術を生かして“裸足感覚”を追求したランニングシューズを開発しようとする……というストーリー。
“ベテラン・シューフィッター”の村野(右團次さん)は、ランニングシューズ業界のカリスマ的存在で、多くの選手に慕われているシューズ調整のプロ。職人としてのプライドを高く持ちながら、選手のことを第一に考え仕事に臨む“信念の男”であり、右團次さんの熱演を通して、シューフィッターに興味を持った視聴者も多いはずだ。
シューフィッターとは簡単に言うと「靴合わせ(シューフィッティング)」の専門家で、シューフィッティングとは、足に合った靴を選び、履き心地をチェックすること。ドラマの公式ホームページでタイアップコンテンツ「足と靴の健康に関するエトセトラ」を展開しているシューフィッター養成認定機関「足と靴と健康協議会(FHA)」は、シューフィッターを「お客さまの健康管理の一翼を担うとの自覚に立って、足に関する基礎知識と靴合わせの技能を習得し、足の疾病予防の観点から正しく合った靴を販売するシューフィッティングの専門家」と定義している。
職務は多岐にわたり、「顧客の足に関する情報を正確に把握し、フィッティングしようとする靴の製法、特徴、内容などを正しく評価する」「フィッティングにおいて足と靴との間に若干のズレを認めた場合は、フィット感を高めるため靴内に微調整を施す」「履き始めて一定期間を経過した後、必要があればアフターケアーを施す」など。もちろんドラマの村野のように「現場で得た情報をメーカーにフィードバックし、靴の改良に助言する」も含まれる。一方で「医師法に抵触する言辞や行為」は禁じられているという。
「FHA」が養成し、認定したシューフィッターは約3800人。その多くが全国のデパートやシューズショップなどで活躍しているといい、そのうち380人が「バチェラー」と呼ばれる上級シューフィッター。バチェラーはより高度で専門的な知識と靴合わせのテクニックを兼ね備えた「プロ中のプロ」という。また、劇中の村野のようなスポーツシューズを専門にしている人間は「スポーツシューフィッター」と呼ばれ、こちらは「日本フットウェア技術協会」などが認定しているようだ。
19日放送のドラマ第5話では、村野が「アトランティス」時代から目をかけ、フォーム改良に取り組み復活を目指すランナーの茂木(竹内涼真さん)が、「こはぜ屋」の新シューズ「陸王」を履くかどうかがついに描かれる。「陸王」の成功により「こはぜ屋」は再生するのかと共に、村野という“信念のベテラン・シューヒッター”の仕事ぶりにもより一層、注目したい。
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