LDHの「EXILE TRIBE」とアジア最大級の国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」がコラボした映画「CINEMA FIGHTERS(シネマファイターズ)」が公開中だ。EXILE HIROさんがエグゼクティブ・プロデューサー、俳優の別所哲也さんが企画・プロデュースを担当し、EXILE TRIBEの曲をモチーフにしたショートフィルム6編で構成されており、AKIRAさんや山田孝之さんら豪華キャストが出演している。そのうちの一編「終着の場所」(常盤司郎監督)に出演した劇団EXILEの町田啓太さんに話を聞いた。
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町田さんが出演する「終着の場所」は、「三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE」の曲「花火」を基に映像化したもので、遠距離恋愛中の2人に起きる出来事を描いている。東京のホテルで働く北川俊介を演じた町田さんは、制服姿を披露しているが、「大丈夫かな、コスプレにならないかな、と思ってやっていました」と笑いつつも、「監督が(俊介の)イメージに合いそうだなというので僕に声をかけてくださったと思いますので、監督の中でできているものに、僕が入らせてもらったという感じです」と役作りについて明かす。
ショートフィルムということで、「(長編映画やドラマなど)普段とアプローチは一緒ですけど、(ショートフィルムは尺が)より短い分、もっと掘っていかないと伝わらないことが多いだろうなって」と演じる前に感じていたと話し、「長編ほどは、登場人物の心の動きなどでゆったりとはできませんから、(シーンとシーンの)間に何があったとかはたくさん考えるようにはしました」とショートフィルムならではの取り組み方を語る。
映画では遠距離恋愛中の恋人・小河加奈子(玄理さん)に会いに行く電車の中、携帯電話でメッセージのやり取りをする場面を中心に、物語は進んでいく。
待ち合わせ場所までSNSでやり取りするというのは“今どき感”があり、登場人物の心情の変化を如実に表している印象を受けるが、実は、「SNSのメッセージは台本に書かれていたりもしましたが、リアルに打って返ってきて、打って返ってきてという感じじゃなく全部フリーでした」と町田さんは明かし、「全部、想像でやって、そこもちゃんと準備をしていかないとやばいぞ……と思っていました」と決まった動きではなかったと振り返る。
俊介の心情については、「分かるな……という話は監督ともしていて。たしかにそうですねって」と言い、その理由を「もう仕方ないです。(俊介が加奈子を)好きだから」と笑顔を浮かべる。
やり取りをしている中、加奈子から「話したいことがある」というメッセージが届き、連絡が途絶えてしまうことから物語が動き出す。町田さん自身、相手に言えないようなことがあった場合、「なるべく話したい。秘密をずっと隠しているぐらいなら、話しちゃいたい」方だという。
逆に相手が自分に秘密のようなことがあるとしても、「言われたいです」と言い、「(隠し事は)それでもあるとは思いますが、できる限り言えるような関係だったら一番いいのかな」と考えを語る。
さらに、「お互いに、そういうのは言うのもつらいじゃないですか。よかれと思って言わないこともありますけど、自分も相手も何か話したら気持ちも聞けるし、そういうので深まることってあると思う」と持論を語り、「言った方がいいかなと僕は思います」と改めて表明する。
昨年を振り返り町田さんは、「作風が全然違うものにかなりチャレンジさせていただけたなという感覚はあります」と切り出し、「今作のように音楽をショートムービー化したり、トランスジェンダーが題材のNHKドラマ(『女子的生活』)もそう。話が深かったり、僕がすごく興味があることにもチャレンジさせていただけた年で、本当にありがたい年だなと思いました」と感謝する。
そんな充実した1年を採点してもらうと、「100点と言いたいですけど、多分50点ぐらいだと思います」と意外と厳しめの自己評価を下し、「思い返したら『ああー』っていうこともあって。でも、やり切ったはやり切ったので0点ではないですけど、なんか『どうだったんだろう?』っていつも感じます」とストイックな一面をのぞかせる。
自身を厳しく省みる理由を、「やらせていただけたことに対しては、100点に近いのですが、ただ自分がそれに追いつけていたかというと、まだ分からないなというのはあったので」と説明し、「今年は1点でも上げられるようにしたいですし、今後、『100点です』と言えるぐらいに一生かけてなりたい。いつか言えたら(笑い)」と思いをはせる。
今作については「『花火』をモチーフにしているというのが一番大きく、それを作品化するというのがすごいチャレンジだなと思いましたし、新しいなと思って」と町田さんは驚きつつ、「もともと楽曲が好きだったのもありますけど、それがこういうふうになっていくんだという発見と驚き、それが一番大きかったです」と印象深かったことを振り返る。
映画と音楽の関係性についても、「ほかの作品でも音楽が印象的とか、そういうのってすごくあると思うんです。ドラマでも主題歌がカッコよかったなって覚えたりしますから」と言い、「音楽を基に映画化した作品ですが、音楽は本当に大事、音楽の力ってすごいなと改めて思いました」としみじみ語る。
クライマックスは余韻を残す内容だが、「現場でやっているときは、もう電車が過ぎた後、線路を飛び越えていきたくなりました(笑い)」と明かし、「年齢によっても感じ方は変わると思いますし、同い年くらいだとどうなんだろうとか、その人の恋愛観が出ると思う。カップルで見にいったら、その人の恋愛観がポジティブなのかマイナス思考なのかとか、いろいろ分かるかもしれません」とちゃめっ気たっぷりにアピール。
2018年もドラマに映画と出演作が多数控えているが、「来たものを一生懸命にというのが大事なんですけど、もう30歳も近くてアラサーなので、今できるすべてを投影できる作品ができたらいいなって。それが一番です」と目標を掲げ、「一つの作品で出し尽くしたい、しぼり尽くしたいみたいな。毎回そうなんですけど、より作風がディープだったり全然救いのない話とかもやってみたい」と目を輝かせる。
挑戦したいのは「時代劇」と「韓国映画」と言い、「時代劇はずっとやりたいと思っていて、日本人なら一度はやってみたいというのはあります。韓国映画は、基本的に好きなので(笑い)。やってみたいです」と笑顔で語った。
<プロフィル>
まちだ・けいた 1990年7月4日生まれ、群馬県出身。 2010年8月に行われた「第3回劇団EXILEオーディション」に合格し、同年12月に「ろくでなしBLUES」で舞台デビュー。舞台「SADAKO~誕生悲話」で主演を務めたほか、15年には「スキマスキ」で映画初主演を飾る。主な出演作に、連続ドラマ「ペテロの葬列」(TBS系)、NHK連続テレビ小説「花子とアン」、「スミカスミレ 45歳若返った女」(テレビ朝日系)、映画「劇場霊」(15年)、「HiGH&LOW」シリーズ(16~17年)など。18年は出演した映画「OVER DRIVE」の公開を控える。
(取材・文・撮影:遠藤政樹)
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