注目映画紹介:「焼肉ドラゴン」真木よう子、井上真央、桜庭ななみの演技合戦が見もの 70年代の一家の絆を描く

映画「焼肉ドラゴン」の一場面 (C)2018「焼肉ドラゴン」製作委員会
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映画「焼肉ドラゴン」の一場面 (C)2018「焼肉ドラゴン」製作委員会

 映画「血と骨」(2004年)の脚本担当などで知られる劇作家・演出家の鄭義信(チョン・ウィシン)さんの初長編監督作「焼肉ドラゴン」が22日、TOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開された。1970年代、高度経済成長と大阪万博に沸く関西のとある地方都市を舞台に、小さな焼き肉店「焼肉ドラゴン」を営む一家の絆を濃密に描いた。真木よう子さん、井上真央さん、桜庭ななみさんが3姉妹を演じ、長女の幼なじみ・哲男を大泉洋さんが演じるなど、人気・実力派俳優陣が顔をそろえた。

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 2008年に日本の新国立劇場と韓国のソウル・アート・センターがコラボして製作し、数々の演劇賞を受賞した鄭さん作・演出の人気舞台「焼肉ドラゴン」が原作。

 大阪万博開催の1970(昭和45)年、関西の地方都市で焼き肉店「焼肉ドラゴン」を営む亭主・龍吉(キム・サンホさん)と妻英順(イ・ジョンウンさん)は、静花(真木さん)、梨花(井上さん)、美花(桜庭さん)の3姉妹と一人息子の時生(大江晋平さん)の6人暮らし。龍吉は戦争で故郷と左腕を奪われながらも明るく前向きに生き、焼き肉店は、静花の幼なじみの哲男(大泉さん)ら常連客たちでにぎわっていた。しかし店にも時代の波が押し寄せ、立ち退きを迫られて……という内容。

 片親の違うきょうだいの微妙な関係性。唯一両親が同じ長女(真木さん)と次女(井上さん)は哲男を巡る複雑な愛憎関係にあり、4人はそれぞれに悩みと愛に飢えた部分を抱えている。

 口数少なく、働き者の龍吉は子供たちを大きな愛で包み込む。その存在感で見せる愛情は、スクリーンからはみ出るほど大きかった。英順は口うるさく気性は激しいが、その裏には4人への確かな愛情があり、夫への尊敬のまなざしがある。決して裕福ではなく、それぞれ独立してバラバラで暮らすことになっても、愛と絆で結ばれた家族。これが本物の家族の絆というものだろう。

 真木さん、井上さん、桜庭さんの演技合戦は見もの。北海道出身の大泉さんの関西弁は新鮮だった。これが映画デビューだという大江さんは、マッシュルームカットの髪形もあいまって個性が際立つ。今後が楽しみだ。(細田尚子/MANTAN)

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