女優の広瀬すずさん主演の映画「一度死んでみた」(浜崎慎治監督)が、3月20日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開される。広瀬さんが反抗期のデスメタル(死や猟奇趣味を題材にしたヘビーメタル)女子に扮(ふん)し、コメディー映画で新境地を開拓。堤真一さん演じる父親キャラも強烈なら、吉沢亮さん演じる存在感ゼロの秘書も別の意味で強烈。この3人が軸となり、大いに笑って、ほろりとさせられる物語が展開していく。
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売れないデスメタルバンドのボーカルを担当している女子大生の野畑七瀬(広瀬さん)は、製薬会社を経営する父・計(はかる=堤さん)が大嫌い。ライブで「一度死んでくれ~!」とシャウトすることで、その思いを発散していた。
ところが、計が本当に死んでしまう。実は、計は会社が開発していた若返り薬を飲み、2日間だけ仮死状態に陥ったのだ。ライバル会社がこの騒動に便乗し、計を火葬してしまおうと企む。いくら大嫌いな父でも、死なれては困る。七瀬は、計の秘書・松岡(吉沢さん)と共に、計を生き返らせようと奔走(ほんそう)するが……。ほかに、リリー・フランキーさん、小澤征悦さん、嶋田久作さん、木村多江さん、松田翔太さんらが出演している。
髪をピンクに染めた広瀬さんが、デスメタルバンドのボーカルよろしく、冒頭の会社面接シーンから、やたら語尾の「です」を強調して反抗的な態度をとったり、大嫌いな父に消臭スプレーを噴射したりとぶっちぎりの演技を見せる。そんな娘にちょっぴり寂しさを感じながらも、怒るでもなく温かく見守る研究オタクの計。演じる堤さんの奇人ぶりも見事なハマりよう。存在感がまるでないことから「ゴースト」の異名をとる松岡を、吉沢さんが飄々(ひょうひょう)と演じ、さらなる笑いをプラスしている。
監督は、au「三太郎」シリーズなどを手掛けるCMディレクターの浜崎さん。脚本は、ソフトバンク「白戸家」シリーズなどで知られるCMプランナーでクリエーティブディレクターの澤本嘉光さん。さすが、短時間で人々の心をつかむことを必要とされるCMの制作者が顔をそろえただけあって、その手腕を発揮し、見る人を飽きさせない仕掛けを用意している。その一つがキャスティング。一流の俳優を、「えっ、ここにも。えっ、あそこにも」と、それこそ“無駄使い”と思われるほどぜいたくに登場させ、それだけでも、にやにや笑いが止まらない。
死んだ父を生き返らせるために奮闘する娘が、大嫌いだった父の優しさや本心に気付いていく。物語の面白さはもとより、伏線の張り方や見せ方、落としどころまで、万事に抜かりがない。コメディーパワー全開だが、実際には家族愛をうたったヒューマン作だ。(りんたいこ/フリーライター)
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