放課後カルテ
第7話 お前が学校に来ようが来まいがどうでもいい
11月23日(土)放送分
24日からWOWOWでスタートするドラマ「連続ドラマW 絶叫」(水田成英監督)は、一人の平凡な女性が、生きるために保険金殺人に手を染めていく姿を描いていく。主人公の鈴木陽子を演じる女優の尾野真千子さんに、役作りや今回の陽子を演じての収穫、さらに10年後の自分について聞いた。
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尾野さんは、芝居に自身の経験を反映させるという。今回の陽子も「経験でしかないです」と言い切る。ただし、「人は殺してませんよ(笑い)」と否定した上で、「それと似た気持ちを持ったことはないわけじゃないです。下積み時代とかお金がなかった時代って、すべての人を憎いと思いましたし、陽子に似た感覚はきっとあったと思うんです」と正直な気持ちを打ち明ける。その一方で、演じながら、「うそをついているところもあります。自分の中でこんな気持ちかなと解釈して、作って演じているところもあります」と役へのアプローチを説明する。
陽子を演じることでの収穫を問うと、「まだ撮影が始まったばかりなので、その気持ちは後々分かってくることの気がしますね」とした上で、「(陽子が経験する)生命保険のセールスレディーのノルマの厳しさだったり、親に対してこういう感情ってあるんだなとか、いろんな収穫はありますよね」と話す。
ただ、「共感しての収穫はない」という。つまり、「(役の気持ちを)分かった上でそれを収穫するのではなく、こんな気持ちもあるんだという自分の気持ちの中にないもの」として収穫するのだという。「そうでないと、次に生かせないんです。結局、また違う台本であり得ないことが起こったときに、あり得ないですよってつっぱねちゃうんです。でも、こうやっていろいろ重ねることによって、あり得るかもしれないなって、自分の中で勉強していくんです」と演技との向き合い方を語る。
陽子は、母からは愛されず、父は借金を抱え失踪し、恋愛もうまくいかない……と、ずっと一人で生きてきた。尾野さん自身は「一人を邪魔されたくないという気持ちはあります。だけど、寂しがり屋です」と明かす。そのため撮影現場でも、「みんながいるところに行く」そうで、楽屋に一人でこもることもないという。
ただ、考えごとをしたいときは、一人で旅行をしたり、ドライブに出かけたりするという。このインタビューが行われる少し前にも、伊豆までドライブしてきたそうで、「一人でぷらっと行って、神社にお参りして帰ってきました」と話す。
ちなみに、ドライブの際は「行きも帰りも必ず寄る」というほど、「サービスエリアが好き」だそうで、今回も途中、サービスエリアに寄り、「ネギトロ丼を食べて来ました。贅沢(ぜいたく)してうどん付きで(笑い)」と明かした。
ドラマは、陽子の8歳から30代半ばまでを、回想シーンを交えながらほぼ10年おきに描いていく。尾野さんは陽子の20代以降を演じるが、年齢による演じ分けは、「自分ではほとんど何もしてないです。衣装やメークを変えてもらったら自分も変わるだろうという甘い考えで挑んでいます(笑い)」としつつ、「一番頑張ってくれているのはメークさんと衣装さんです」と感謝する。
10年前には想像もしていなかった道を進むことになる陽子。そこで尾野さんにも自身の10年後を想像してもらうと、「10年後? あんまり想像しませんね。昔だったら、結婚してとかいろんなことを考えましたけど、最近は、どうやって年をとるのかなっていう感じです。でも、何になりたいとか、何をしたいとかいうのはないですね」と話し、一呼吸ついてから、「だから、10年後は楽しみにしています。明日も楽しみにしているぐらいなので」と笑顔で答えた。
ドラマは、葉真中顕さんによる同名小説。発端は、アパートの一室で見つかった女性の遺体だった。遺体は鈴木陽子、36歳のものと分かるが、現場に立ち会った刑事の奥貫綾乃は、部屋の状況に違和感を覚え、陽子の生い立ちを探り始める。すると、陽子の、父の失踪に始まり、借金、風俗嬢、保険金殺人と、壮絶な道のりが浮かび上がってくるというストーリー。綾乃を小西真奈美さんが演じるほか、安田顕さん、酒井若菜さん、要潤さん、麻生祐未さんらが出演する。24日からWOWOWプライムで毎週日曜午後10時に放送。全4話で、第1話は無料放送。
(取材・文・撮影/りんたいこ)
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