人気アニメ「機動戦士ガンダム」シリーズの生みの親として知られる富野由悠季監督が5日、宝塚大学東京メディア芸術学部(東京都新宿区)で特別講演を行い、第91回アカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞した「スパイダーマン:スパイダーバース」(ボブ・ペルシケッティ監督、ピーター・ラムジー監督、ロドニー・ロスマン監督)について語った。
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富野監督は、映画や動画は「芸能として楽しめるものでなければいけない。芸能の考え方をアニメの世界の人には持っていただきたい」と話し、「芸能はお芝居だし、踊りだし、みんながパッと見て楽しめなければいけない」と持論を展開。さらに、現在のアニメについて「デジタルオンパレードになったアクションシーンを見ていてもそれほど面白くないでしょ? というのは、いろいろなことをみんなでやり尽くしているんです」と説明し、「『全部をやり尽くしてどうなるの?』ということの必殺兵器が最近のアニメでありました。『スパイダーマン:スパイダーバース』です」と語った。
同作について、「あれはすごく変なアニメで、今年のアカデミー賞(第91回アカデミー賞)で長編アニメーション賞を受賞している作品なんです。一見実写にも見えるアニメで、かなりいろいろなことを実験的にやっています。なんでアカデミー賞をとったのか1週間ぐらい考えました。アメリカの映画人にしてみれば、この作品は、アメリカの映画人にとって、初めて一般の小屋で『子供向けじゃない』ということで上映したアニメじゃないか。作品評はしませんが、技術論を含めて、本当に苦労して作ったんだろうという制作者の心意気も分かります」と説明した。
「アニメの仕事をやるんだったら、あれを追い抜け、あれを潰せ。そういうアイデアを今後考えてほしい。僕がジョージ・ルーカスの『スター・ウォーズ』を追い抜くぞというような感じです。あれを追い抜くような作品を作ってくれたらありがたい」と受講者に呼びかけていた。
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