ダンダダン
第12話「呪いの家へレッツゴー」
12月19日(木)放送分
アニメ業界で今、熱い視線が注がれている小説家の野崎まどさん。「[映]アムリタ」「know」などの話題作を発表してきた人気小説家で、劇場版アニメ「HELLO WORLD」やテレビアニメ「正解するカド」の脚本を担当したことも話題だ。さらに「読む劇薬」ともいわれ、過激かつ衝撃的な描写も多い小説「バビロン」がテレビアニメ化され、10月から放送されている。野崎さんの魅力とは……。
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「バビロン」は、東京地検特捜部検事・正崎善(せいざき・ぜん)が製薬会社の不正事件を追う中で大きな陰謀に巻き込まれる姿を描く。人間の生死、正義や悪とは何か?という壮大なテーマに挑んだ。同作の編集を担当する講談社タイガ編集長の河北壮平さんは、野崎さんの魅力を「まどさんは、常人にはない発想で作品を書かれています。文芸界に衝撃を与えた才能で、デビュー当時から既に業界内で注目されていました」と語る。
常人にはない発想から作品が生まれているが、世間とズレているわけではない。アニメ「バビロン」を企画したツインエンジンの山本幸治プロデューサーは「実際にお会いして、この人は常人ではない!という印象です。常人とズレているわけではなく、理屈がしっかりしている。全てに理由があるんです」と説明する。
「正解するカド」「HELLO WORLD」は、最後の最後まで何が起こるか分からない展開が話題になった。「正解するカド」を手がけた東映アニメーションの野口光一プロデューサーは、同作について「奇想天外なキャラクターが動いて、誰も想像できなかったオチがある。野崎まどワールドになっている」と話したことがあった。
「HELLO WORLD」を手がけた伊藤智彦監督は「とがっています。ひねくれています。オレもひねくれ者なので相性がいいんですよ(笑い)。今回は、そこまでひねくれないようにしましたが、どこかで出てしまうところはあるかもしれませんね。野崎さんのSF感をアニメとして落とし込んだものを見てみたかった。着地できたかな?と思っています」とコメント。
常人ではないが、常人とズレているわけではない。そのバランス感覚が絶妙なのかもしれない。
アニメ業界からは既に熱い視線が集まっていることもあり、映像化に向いている作家なのだろう……と考えてしまうが、山本プロデューサーは「向いていないんじゃないですか?(苦笑)」とも話す。
「第二の伊藤計劃を探すというポジションと考えているような人も多いようです。よく言われていることですが、伊藤さんはカメラを置いて精密に描写する……と映画監督のような目線で書いている。まどさんはもっとぶっ飛んだコンセプトで、幅が広すぎて収めるのが難しい。そこが、強みでもあるのですが。これだけぶっ飛んでいる作品を映像にできるのは、ハリウッド大作か日本の深夜アニメくらいかもしれません」
河北さんは「小説に限らない才能。どんどん新しいことをやっていく。器が決まらないんです」「いずれ実写もあるかもしれません。業界内の注目度はめちゃくちゃ高い。噴火寸前、ブレーク前夜で、ここからさらに広がっていくはずです」「近い将来、野崎まど原作、脚本、監督の作品があってもおかしくないですね」と語る。
「器が決まらない」だけに、何が起こるか分からない。今後も想像を超える作品で驚かしてくれそうだ。
※注:野崎まどさんの「崎」は立つ崎(たつさき)
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