ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
「週刊少年マガジン」(講談社)で連載中の春場ねぎさんのラブコメディーマンガ「五等分の花嫁」の企画「5つ子と全国47都道府県デート企画」。「五等分の花嫁 キャラクターブック」シリーズの発売を記念して、2019年11月から2020年3月にかけて、各都道府県のJRの駅にポスターを提出する企画で、ポスターは各県各5種類、全235種類にもおよぶ。21日に、ヒロインの五つ子の三女・三玖の「関東・甲信越編」がスタートしたことも話題になっている。制作を担当したビーワークスのディレクター、同社のデザイナー、「週刊少年マガジン」公式ツイッターの“中の人”、講談社の宣伝担当が、235種類ものポスターを制作した画期的かつ壮大な企画について語り合った。
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宣伝担当 最初は北海道、東北、関東……と日本全国を5地域に分けて、各地域で5種類のポスターを5カ月連続掲出しようと考えていました。とことん「5」にこだわりました。準備期間もあまりなかったので、とりあえずは北海道用に5種分のポスターを作るところから始まりました。
ディレクター 一応、一花のタイミングで全体の構想はありました(各県5種類とはいかないまでも)。細かなところを打ち合わせる時間もなく、大至急、北海道のポスターを作りました。本当にギリギリでした(笑い)。
宣伝担当 そう(笑い)。で、北海道のめどが立ったころ、「東北はどうしよう?」って話になりました。北海道は県としては一、地域としても一……。じゃあ、東北は6県で一地域だけど、どうすると。東北として1カウントするなら、北海道同様に5種あればいい。それが各県となると……。東北には6県×5種の30種。日本全国では……。47都道府県ですからね、235種類ということになります。とんでもない数字ですよ。しかもちょうど年末でお正月進行でしたから無理だろうと。ところがビーワークスさんが「やる!」って言うんだもん(笑い)。
ディレクター やるからには各県網羅したいじゃないですか(笑い)。
宣伝担当 今だから言えますけど、私は「できません!」って言ってほしかったです(笑い)。
宣伝担当 この企画のコンセプトは「地域密着」です。「僕たちの街に五つ子がいる」という企画にしたかった。
ディレクター ビーワークスは(2019年夏に)「五等分の花嫁 山手線ジャック」という施策にも関わらせていただいたのですが、地方在住の方が「東京ばっかり!」とおっしゃっているのをSNSで何度も見かけました。それがすごく心に引っかかっていました。全国の人に愛されている作品なのにどうしても都心部ばかりになってしまう……。だから今回の「各都道府県で実施」というお話はうれしかったです。
デザイナー 大変なことは重々承知でしたが(笑い)。全国の皆様に身近に感じていただけるのなら、ぜひやらせてくださいという感じでした。「キャラクターブック発売中!」という普通の告知ポスターでもよかったんですが、より、地域密着感を出すにはどうすればいいだろうとディレクターと悩みました。
宣伝担当 ちょっと宣伝させてください。山手線ジャックの広告デザインは「キャラクターブック 一花」で、現在進行中の「全国47都道府県デート」の広告デザインは3月発売の「キャラクターブック 五月」で紹介する予定です。こちらもよろしく(笑い)。
中の人 企画自体を「デート」にしたのは何か狙いがあったのでしょうか?
ディレクター まず企画の目的は5人のヒロインの可愛さを伝えることでした。作中で印象に残っていたのがヒロインが告白するシーンで、恋をしているヒロインがすごく可愛くて、このシーンをベースに広告を作っていこうと考えました。でもよく考えたら人っていきなり告白しないじゃないですか。好きな人に告白するってとても勇気がいることだし……。そこで、じゃあ一日デートしたら?と思いつき、「告白したいけどどうしよう」って緊張する場面や、好きな人に可愛い水着を見てもらいたい乙女心とか、一緒にほっこりお茶をする場面も描けます。1枚でも可愛いけど、5枚集めれば一つのストーリーになってさらに可愛く、ヒロインの魅力を伝えられるかなと。
中の人 出来上がったポスターを見て、「女の子の方言って可愛い!」と悶絶(もんぜつ)しました。このせりふはどなたが考えているのでしょう?
ディレクター 私です。最初は、標準語で書いたセリフを各土地の出身の方に渡して「方言に訳してもらえますか」とお願いしていました。ところが「うち方言ないから」って言われちゃうんですよ(笑い)。発音すれば方言らしくなるのかもしれませんが、先に標準語で見せてしまうと標準語に引っ張られてしまうようです。結局、私が方言を調べて、見よう見まねで書いたものを各土地の方に監修してもらうようになりました。
中の人 それは想像するより大変! 同じ県でも方言が分かれることもありますよね?
ディレクター そうなんです! 同じ県でも地域によって方言が違うなんてことが全国的にしょっちゅうある。北海道の函館を想定して作ったら、札幌の人に「北海道めっちゃ広いから函館も札幌も旭川も方言違うからね」って注意されたり(笑い)。青森も方言が三つあったり…。でも県を一くくりにして「方言使っているよ」じゃなくて、できるだけポスターを掲出する地域に合わせて、その場所の方言を使うようにしています。
中の人 SNS経由で読者から「方言が違う」とツッコミをいただきます(笑い)。
ディレクター 調べてはいるのですが……。「ごめんなさいいいいいい!」って思っています。
宣伝担当 言い訳になっちゃいますが、ポスターの掲出場所を選べない地域もあるんです。東京・大阪は掲出する駅を選べますが、地方だと選べないエリアがある。ある駅に掲出しようと思っても広告の空き枠がなかったりして、予定していた場所と違う駅に掲出するしかなくて……。読者の方から「内容と場所が合ってない!」とご指摘を受けました(笑い)。タイミングによっては希望している駅に空きがなくて、やむを得ず別の場所になることもあります。事前に分かった場合はアイデアを考え直したり……。
中の人 そんなハプニングもあるんですね! 全国の皆様、こういう経緯がありますので、どうかお手柔らかに……(笑い)。方言だけじゃなく、ご当地グルメや地域特有のスポットも出てきますよね。これも調べるだけで膨大な量かと思います。
ディレクター まず、各県でキーワードを50個ぐらい書き出します。ご当地グルメ、スイーツ、デートスポット……。そこからデートの流れを考えています。「●●で待ち合わせして、●●でスイーツ食べて……といった感じです。でもやっぱり、その土地に住んでいる人じゃないと分からないことが多くて……。ネットで出てきたご当地スイーツを使っていたら、監修してくれた方に「実際に地元民が食べているのはこっち!」と別のスイーツを教えていただくことも。「これにしてほしい!」という熱い要望をいただくこともあります(笑い)。皆さん、地元愛に満ちています。
中の人 私は「週刊少年マガジン」のSNSを担当しているのですが、「五等分の花嫁」の読者はツイッターへの書き込みに愛があふれています。この企画は「#五等分47デート」というハッシュタグでキャンペーンを展開していますが、皆さんは本件についてエゴサしていますか?
デザイナー 時々しちゃいます。気になっちゃいますよね(笑い)。
ディレクター まだ見つけられていないポスターがあると、「お願い見つけてー! あのポスターを見つけてー!」って思っちゃいます(笑い)。例えば、福島県の水着バージョン(スパリゾートハワイアンズ)がいつまでたってもSNSにアップされなくて……。水着だから問題があったのかもしれないとヒヤヒヤしました。見つけた時はホッとしましたね。
宣伝担当 「早く見つけて!」って思うよね(笑い)。こちらもどの駅のどの場所に掲出してあるか分からない地域があるので。読者の方がSNSにハッシュタグつけて上げてくれて、やっと「あ! ちゃんと掲出されてる!」って分かるんですよ。だから皆さんドンドン写真上げて教えてほしいです。出てないと不安になっちゃうから(笑い)。
ディレクター あとは、この企画を通してファンの方々がSNS上で協力し合っているのを見てほっこりしています。「これ見つけたよ!」「東北はあと一枚だ!」とか。「この地域は任せろ!」とか。
中の人 私も「第一発見者!」ってつぶやきを見つけてうれしくなりました(笑い)。公式から「いいね!」とするわけにいかないので、心の中で「いいね!」って念を送りました。
中の人 こうやってポスターを並べてみると、サイズが違うものもありますね。
宣伝担当 気がついてくれましたか? 掲出場所によってサイズが変わるんです。
デザイナー 基本的にはB0で作っているんですけど、掲出場所によっては指定サイズが違うので、その都度、作り変えています。サイズだけじゃなくて、「同じパターンを使い回している」という機械的な印象にしたくなかったので、全種類なるべくパターンがかぶらないようにしています。量産する場合はテンプレートを作って絵をはめていくことが多いのですが、今回はテンプレート化せずにこだわりました。
中の人 とはいえ、これだけの数を作るとなるとどうしてもかぶってしまいませんか?
デザイナー そうならないように、「寄り」「引き」でリズムを出しています。5枚でデートが完結するんですけど、その中で人物に寄ったり引いたりで全体のバランスを見ています。どうしても同じような印象になりがちなので、「さっき見たポスターとは違うパターンだ」と気が付いてもらえるように。あとは、どれか1枚に5人全員が入っているバージョンを作っています。
ディレクター 1枚だけではなく、複数のコマで構成されているものもあります。マンガ原作の作品なので、どこかにマンガ感を出したくてコマ割りのような演出をしています。コマで割ることによって話の展開も面白くできますし、見た目的にもバリエーションが無限に広がります。
中の人 コマ、選ぶの大変じゃないですか!?
ディレクター めちゃくちゃ大変です! 例えば「照れている横顔がほしい」と思っても、ほかのコマと違和感なくつながるちょうどいいコマが見つからないとか、よくあります(笑い)。当初、とりあえず可愛いコマをストックしてから始めたのですが、やっているうちにピンポイントで欲しい表情やポージングが出てきますから。何回読み返したか分からないぐらい原作を読みあさりました。
中の人 分かります。私もSNS広告を作ったりするので、常に「ちょうどよいコマ」を求めてコミックスを読みあさっています(笑い)。
宣伝担当 最初の北海道は、まだ企画の序盤だったので全5種類あることが知れ渡っていなかった。だから見つけた方にとって「5種類ある。いや、サイズ違いを入れると7種類だ!」ということがサプライズになりました。東北は第2弾でしたが、ここで初めて「地域ごとじゃなくて都道府県ごとに5種掲出」ということがサプライズに。そうなると、関東でも何かサプライズを入れなければならない気がしてね(笑い)。さあどうしようかと。
中の人 まさに、この記事が出るころから関東地域の掲出が開始されます。
宣伝担当 そうです。関東掲出は1月21日から。ネタバレになっちゃうので全ては言えないですが、ちょっとした仕掛けを用意しています。ある県のビジュアルに、本来はここにあってはいけないものが含まれています。ちょっとした違和感といいますか。これ以上は言えませんが(笑い)。ヒントは「三玖」です。誰か気が付いてほしいなあ(笑い)。
デザイナー そういえば東京の掲出駅が、渋谷、新宿、池袋という大きい駅ではなく、普段はポスターを掲出しない駅になっているのは何か理由があるんですか?
宣伝担当 もちろん! その理由は……。「三玖」としか言えません。
中の人 気が付いた人はぜひ「#五等分47デート」をつけてつぶやいてくださいね! 公式から「いいね!」はできませんが、心の中で「いいね!」って念を送りますから。
ディレクター 引っかけもありますからね(笑い)。詳しくは言えないですけど。引っかからないようにしていただければ!
宣伝担当 仕掛けを作るのも面白いですね。ただ、一回やり出すと最後まで仕掛けを作り続けなくちゃならないから……。西日本の回でもまた大変なことを始めてしまいましたけども(笑い)。
デザイナー 予想よりも大変な企画ではありますが、その分、反響も大きくて楽しんでいます。各地域の地元企業さんにご協力いただくなど、当初は想定していなかった動きも出てきました。エゴサをして元気をいただいているので、ぜひ写真をアップしてください。
ディレクター 企画が進めば進むほど、各地域にお住まいの方からの情報提供が徐々に増えています。眺めていると旅行に行きたくなっちゃいました(笑い)。北海道、東北、関東は終わってしまいましたが、関西以南にお住まいで情報をお持ちの方はぜひご提供ください!
宣伝担当 特にほしい地域は?
ディレクター 沖縄です!
中の人 沖縄県民の方、おられましたら @shonenmagazine1まで情報提供お願いします! もしかするとポスターに採用させていただくかもしれません。ただし、「いいね」はできません(笑い)。
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