アニメ「エヴァンゲリオン」シリーズなどの貞本義行さんがキャラクターデザインを手がけたことも話題のオリジナルアニメ「GREAT PRETENDER(グレートプリテンダー)」。「91Days」「鬼灯の冷徹」などの鏑木ひろさんが監督を務め、「進撃の巨人」「甲鉄城のカバネリ」などのWIT STUDIOが制作するなど豪華スタッフが集結した。豪華なスタッフの中で異色なのが、ドラマ「リーガルハイ」「コンフィデンスマンJP」などの古沢良太さんが脚本を手がけたことだ。古沢さんがテレビアニメシリーズに参加するのは初めて。古沢さんにアニメと実写の脚本の違いなどについて聞いた。
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「GREAT PRETENDER」は、自称・日本一の天才詐欺師の枝村が、マフィアさえ手玉に取るコンフィデンスマンのローランにだまされたことをきっかけに、世界を舞台に“コン・ゲーム”に巻き込まれる……というストーリー。フジテレビの深夜アニメ枠「+Ultra(プラスウルトラ)」で7月8日から順次スタート。NetflixでCASE1~3が配信中。
古沢さんは、WIT STUDIOの和田丈嗣プロデューサーから「オリジナルアニメを作りませんか?」とオファーがあり、「GREAT PRETENDER」に参加することになった。古沢さんが提案したのは「詐欺師の物語」だった。
「『スティング』『ペテン師とサギ師/だまされてリビエラ』も好きだったし、脚本家なら一度は詐欺師ものに挑戦したいと思っていたんですが、難易度が高いんですね。映画でも傑作と呼ばれるものはなかなかない。チャンレンジはしたかったけど、ずっと踏み込めずにいたんです。ただ、アニメということだったらリアリティーを吹っ飛ばしてできるかも……と考えたんです」
詐欺師ものはなぜ難しいのだろうか?
「見ている人をだますことがすごく難しい。詐欺師は悪人なので、義賊っぽく正義の味方にするのもあんまりよろしくないし、悪すぎたら好きになってもらえない。今回は、貞本さんの絵も素晴らしいですし、スタッフの方々に助けられています」
古沢さんはドラマ「コンフィデンスマンJP」でも詐欺師ものを手がけている。「GREAT PRETENDER」との関係も気になるところだ。
「『GREAT PRETENDER』と『コンフィデンスマンJP』は別作品ですけど、企画が先に始まったのは『GREAT PRETENDER』でした。アニメとドラマでは作り方が違うので、ほぼ途中から同時進行だったのですが。僕という同じ幹から派生しているけど、別作品で別のストーリー。親戚関係みたいなものでしょうか。『コンフィデンスマンJP』も一流のスタッフ、キャストが集まってくれたので、素晴らしい作品になりました」
古沢さんは「最近はほとんどアニメを見ていませんが……」というが、子供の頃はロボットアニメに夢中になっていた。子供の頃に見たアニメの影響を受けたところもあるという。
「子供の頃、テレビっ子だったので、1970、80年代くらいまでのアニメはかなり見ています。ガンダム、マジンガーZ、グレンダイザー、コン・バトラーV、ライディーン、ダイモス、イデオン、ダンバイン、ザブングル、マクロス……とロボットアニメはほぼ見ていますし、タツノコプロのタイムボカンシリーズも好きでした。ドラマの脚本を書く時に、このキャラはシャアだな……とアニメのキャラの関係性を考えることもあります。シャアのせりふ回しにも影響を受けていますし」
テレビアニメシリーズに参加するのは初めてということもあり「新人になったような気持ち」だったという古沢さん。数々のドラマ、映画の脚本も手がけてきたが、アニメとは脚本の書き方は違うのだろうか?
「基本的には、アニメも実写も同じように書いていました。ただ、実写ではできないことをやろうとしました。世界中のいろいろなところを舞台にできますし、例えば飛行機のレースなんかも実写ではなかなかできないですね。アニメでも飛行機のレースは大変だというお話があって、そうなんだ……とやってみるまで分からないこともありました」
アニメと実写では会話シーンの描かれ方にも違いがあるという。
「会話シーンの違いは意外でした。現実では、会話でただしゃべるシーンはなかなかないので、食事しながら会話をするシーンをつい書いてしまうのですが、アニメでは作画のカロリーが高くなってしまう。歩きながら会話するのもカロリーが高い。だから、車の中で移動しながら会話するシーンにしたり……。実写は逆なんですよね。車で撮ろうとしたら、道路の使用許可をとらないといけないですし」
「GREAT PRETENDER」には「開放感のある話にしたかったんです。狭いところに閉じこもっていないで、やりたいようにやればいいんだ!と。鬱屈したこともあるかもしれないけど、暗い雲をはらって、いろいろなところでいろいろな冒険を楽しんでいただきたかった」と思いを込めた。詐欺師たちの爽快かつ痛快な“冒険”が注目される。
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