名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
谷川流さんの人気ライトノベル「涼宮ハルヒ」シリーズの完全新作「涼宮ハルヒの直観」が、11月25日にスニーカー文庫(KADOKAWA)から発売される。約9年半ぶりの新刊ということから、ネット上で大きな話題を集めた。ブランクをものともせず、どうしてここまで盛り上がったのか。アニメコラムニストの小新井涼さんが独自の視点で分析する。
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先月末、ライトノベル「涼宮ハルヒ」シリーズの9年半ぶりとなる新作「涼宮ハルヒの直観」の発売が発表され、大いに話題となりました。
シリーズ1作目のタイトルである「涼宮ハルヒの憂鬱」といえば、2006年のアニメ化以降、楽曲やエンディングのダンスなども話題となり、アニメ・ラノベファンにとどまらず、一般的にまで知名度を広げた2000年代後半を代表する作品です。アニメをきっかけに原作に手を伸ばすファンも急増し、今では原作も全世界累計発行部数2000万部を超えるラノベ界の超人気作となっています。とはいえ、前回の新作発売からのブランクはおよそ10年。それだけの期間が空いてしまったにもかかわらず、いまだに本作が続編発売の報にここまで盛り上がったのは一体なぜでしょうか。
まず原因として挙げられるのは、続刊を待つファンによる“ちゃんとまだ続いている”という大きな安心感だと思います。
実は「涼宮ハルヒ」シリーズは、前巻(涼宮ハルヒの驚愕)の発売(2011年)も、前々巻(涼宮ハルヒの分裂、2007年)から4年のブランクがあり、その時でさえ「もう続刊は出ないのでは」と、ファンから心配されていました。ところが今回は9年半と、さらにその倍以上の時間がかかったのです。
書き下ろしがほとんどである本シリーズは、雑誌で連載されるマンガなどと違い「待てば必ず続きが読める」という保証はありませんし、世の中には、同様にいつまでも続刊が出ずにフェードアウトして未完のまま、というタイトルもあふれています。そんな中、続刊を信じるファンでさえ心配してしまうブランクを経ての新刊発売は、彼らにとっても青天の霹靂(へきれき)となったのでしょう。そう考えると、ちょっとしたお祭り騒ぎになるほど反応してしまうのも無理はありません。
もう一つの原因として、今回の発表には、恐らく上記の原作ファンのみならず、原作のラノベを読んでいない(特に続刊を気にかけてはいなかった)人からの反響も多かったことが挙げられます。そしてそこには、原作人気が高まるきっかけともなった本作のアニメが、“2000年代後半に残した功績”が、関係しているのではないでしょうか。
放送当時話題になった演出の妙や、その後知名度を一気に上げることになった京都アニメーションによる瑞々しい描写などのアニメ作品としての功績はもちろん、本作は、同じころにサービスを開始したYouTubeやニコニコ動画、SNS(当時は主にmixiなど)の文化をけん引し、おおよそ“ハルヒ以前”と“ハルヒ以後”にも分けられる、今に通ずる“Web 2.0以降のアニメファン文化”の第一波を作った存在でもありました。もちろん全てを本作ばかりが率いていたわけではありませんが、“MAD”や“踊ってみた”や“オフ会”、そうした文化がコアなアニメファン内にとどまらず“ライトオタク”層を生み出したり……と、「涼宮ハルヒ」は通ってきたアニメファンにとって、そのタイトルと共に思い起こされる当時の記憶が数多く存在するという意味でも、2000年代後半を代表する特別な作品なのです。
そうしたファン文化への功績による多少の“思い出補正”的なところも手伝って、2020年の今になって発表された“「涼宮ハルヒ」新作発売”の報は、原作のラノベを読んでいない人にとっても、本作を通ってきた人には思わず注目・反応してしまうニュースとなったのではないでしょうか。
9年半ものブランクを挟んでいるにもかかわらず、今回のニュースがこれだけ話題になったのは、こうして、原作を待ち望んでいたファンも、原作未読者も関係なく、本作を通ったことがある人が思わず反応したことが、大きなポイントとなったのだと思います。それに加えて、2017年のアニサマにSOS団がサプライズで出演したり、ステイホーム期間にアニメ出演キャストによる「#お家で全力ハレ晴レユカイ」が話題になったりと、原作の動きがない中でも近年作品関連の盛り上がりがあり、熱量が上がっていたことも関連していそうです。
さらに当時を知っているファンがSNSで盛り上がったことで、当時を知らない若いアニメファンの興味を引いたことも、盛り上がりが加速した要因だと思います。新作が出るたびにファンが増えるというあたりは、エヴァにも通じるところがあるかもしれませんね。
ブームを生んだアニメ化自体、既に15年近く前だとはいえ、本作はいまだに新しいファンも増え続け、何よりこれだけ根強い支持と、今でもタイトルを聞くと思わず反応してしまうほどアニメファンへの影響力を持っていることが、今回のニュースからもよく分かります。作品の中に戻れば、今も当時の続きからSOS団の学生生活が続いているように、「涼宮ハルヒ」シリーズは、まだしばらく古びることなく、新たな展開があるたびにこうした盛り上がりを見せ続ける作品となっていくのではないでしょうか。
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2024年12月23日 00:00時点
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