坂本浩一監督:「格好いい」を追求する特撮魂 常にアップデートする「ウルトラマン」

「ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀」の坂本浩一監督
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「ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀」の坂本浩一監督

 特撮ドラマ「ウルトラマン」シリーズの新作「ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀」が、11月22日からYouTubeで配信される。同作の監督を務めるのが、「ウルトラマン」シリーズはもちろん、「仮面ライダー」シリーズ、「スーパー戦隊」シリーズを手掛けてきた“特撮アクションの申し子”坂本浩一さんだ。坂本監督は「ウルトラマン」シリーズの魅力を「ヒーローたちが古くならずに常にアップデートされている」と感じているという。新作の見どころ、作品作りの上で大切にしている“特撮魂”について語った。

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 ◇ウルトラヒーローの「ファンが夢見た展開」 新たなアクションも

 「ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀」は、2019年にYouTubeで配信され、話題となった「ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ」の続編。前作に登場して話題となったウルトラマンリブットの過去が描かれる第1章、現行作品では悪役として登場するウルトラマンベリアルとウルトラマントレギアの過去が描かれる第2章、ウルトラマンゼロやタイガ、ゼットが登場する第3章の3部構成で「ファンが夢見た展開」をコンセプトに描かれる。

 坂本監督は、前作はニュージェネレーションヒーローズが大集結して共闘する「お祭り企画」だったといい、新作は「さらにスケールを大きくしていくためにアクションだけでなく、ストーリーを充実させた」とこだわりを語る。

 「初代ウルトラマンが放送されてから来年で55周年と、ウルトラマンシリーズの歴史はすごく長い。その中でまだ描かれていない部分、ファンが見たかったけれどまだ映像化されていない部分がたくさんあります。それらを映像化できるのであれば、ウルトラマンの歴史にまた新しい1ページが加わるし、ファンの方々も喜んでくれるんじゃないか。だから、どこか一つに焦点を置くのではなくて、3つの違う話で構成しました。すでにベースがあるストーリーのディティールを作り込んだり、そこから広がる可能性を提示したいと思いました」

 新作では、世代を超えて数多くのウルトラヒーローが登場する。ウルトラヒーローたちの過去の関係性を深掘りしていくと共に、アクションでも新たな試みがあった。

 「第1章に登場するウルトラマンパワードとウルトラマングレートは、海外で作られたウルトラマンです。パワードはアメリカ、グレートはオーストラリアで作られていて、当時はスーツアクターも現地の人がやっているので、日本人が考えるウルトラマンとは雰囲気が違います。なので、当時の動きをそのまま再現してしまうと時代的にそぐわない部分などもあるので、どう今風にアレンジしていくかはこだわりましたね。グレートは空手、パワードは張り手などの相撲のような動きが多かったので、当時の格闘スタイルを踏襲しながらも今風にアレンジしました」

 初代ウルトラマンを含むウルトラ6兄弟が登場する第2章では「光線技と格闘のバランスをこれまでのシリーズの演出とは変えた」と話す。

 「これまでの戦い方では、ウルトラマンたちが戦って、最後に光線を打つというパターンで、格闘と光線技が分かれていた印象です。今回は戦いながら光線を打つという新しいスタイルのアクションも取り入れました。僕はウルトラ6兄弟のどんぴしゃ世代なので、構えを見るだけで『格好いい!』と思ってしまう。子供の頃に好きだったヒーローを演出できることがうれしくて、『このヒーローで、こういうアクションをやってみたい』というファン目線なところもあると思います(笑い)」

 ◇「常にアップデートされる」ウルトラヒーローの魅力

 さまざまな特撮作品に関わる坂本監督は、「ウルトラマン」シリーズならではの魅力を「古くならない存在」と表現する。それがほかの特撮ヒーローとウルトラヒーローの違いだという。

 「約55年前にデビューした初代ウルトラマンを、今の子供たちみんなが知っている。しかも、そのウルトラマンがまだ現役で、ショーやテレビで活躍しているのはすごいこと。ヒーローが古くならず常にアップデートされているし、そのヒーローと触れ合える機会があることが、『ウルトラマン』シリーズが長く愛されている理由だと思います」

 坂本監督は、ウルトラヒーローには神格化された存在と身近な存在の2パターンがあり、キャラクターとして「柔軟性がある」と説明する。

 「神様的な存在、人間とは全く違った存在としてのウルトラマンもあるし、ニュージェネレーションヒーローズのようなヒーロー自身が言葉を話してドラマを進行させるパターンもあります。昔のウルトラマンはしゃべらなかったですからね。作品を誰に向けるかによって、どんな存在として描くかが変わってきます。ウルトラマンのキャラクターはすごく柔軟性があると思うんです。また、ヒーロー同士の師弟関係、親子関係も絶妙に絡まり合っていて、シリーズを通してつながっているのも魅力ですね。マーベルやスター・ウォーズに対抗できる日本の大きなコンテンツだと思います」

 ◇「格好いい」は本能 日本の特撮の「生の迫力」

 「特撮が大好き」と語り、アメリカでアクションを学んだ経験を作品作りにも取り入れている坂本監督。特撮に懸ける“特撮魂”とは……。

 「何かを『格好いい』と思うことは、人間の本能的なものだと思うんです。子供は親が教えなくても、ヒーローを『格好いい』と感じて、それを見たがる。特撮ヒーローには、人間が持つ本能をかき立てられるような格好よさがあると思うんです。子供たちはヒーローを見て興奮して、教えなくても自然に体が動いてマネしようとする。何かしら人間の本能に与えるような刺激がヒーローにあるんだなと。だから、僕が演出する時は、子供だけじゃなくて、大人も含めて、本能を刺激できるようなヒーローの格好よさをどう表現すればいいのかを一番意識しています」

 アクション、ストーリー、撮り方と全てにおいて「格好よさ」を追求しているという坂本監督。日本の特撮ならではの魅力を「生の迫力」と感じているという。

 「海外に目を向けると、コスチュームを着た実写のヒーローはなかなかいないんです。最近はマーベルやDC作品が有名ですが、CGの割合も多く、特撮とは違います。スーツアクターが入ってパフォーマンスすることによって、子供たちは現実にいる生のヒーローの熱量を感じられる。もちろん僕たちもCG技術は使いますが、子供たちの心を引きつける一番の要は生の迫力だと思うので、そこにこだわって作っています。日本独自の文化であると思いますし、日本の特撮のすごさだと感じます」

 さらに「表情」にも頼らず動きだけで表現するスーツアクターの力も日本の特撮を支えているという。

 「元々スーツアクターの起源は歌舞伎だと言われていて、表情がないところを動きや体の角度などで、感情を表します。日本の伝統文化として認められてもいいんじゃないかと。スーツアクターの方々の日々の努力と技量によって、特撮は支えられているのだと思います」

 世代を問わず多くのファンに特撮ヒーローの魅力を届ける坂本監督。「ファンの方が喜んでくれるように」と情熱をかけた「ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀」の熱い展開に注目したい。

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