ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
ベネッセコーポレーションの幼児教育教材「こどもちゃれんじ」の人気キャラクターのしまじろうが活躍する劇場版アニメ「映画しまじろう『しまじろうと そらとぶふね』」(河村友宏監督、公開中)。2013年から毎年公開され、子供が生まれて初めて見る“ファーストシネマ”の一翼を担ってきたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨年2月28日の公開を延期。作品の演出を変更するなどさまざまな対策を取って約1年後となる今年3月12日に公開されたが、そこには幼児向け作品ならではの製作サイドの心遣いと、映画館サイドの配慮があった。
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ドーナツが大好きで明るく元気、好奇心旺盛な男の子、しまじろうと個性的な仲間たちの活躍を描く「映画しまじろう」シリーズ。2013年の映画「しまじろうとフフのだいぼうけん~すくえ!七色の花~」から2019年まで毎年公開され、友情、親子愛などをテーマに子供たちの心をつかんできた。通算8本目となる本作は、しまじろうと仲間たちが、雨が降らなくて困っているグリーンウッドの人々のために、空から雨を降らせる「空飛ぶ船」作りを手伝うというストーリーだ。
「映画しまじろう」シリーズの特徴が、“ファーストシネマ”を前提に子供のことを第一に考えた施策の数々だ。真っ暗な中で静かに鑑賞するという従来の映画と異なり、劇場内が真っ暗になることはなく、上映時間も途中休憩ありの約60分間と、飽きっぽい子供の視聴にちょうどいい長さになっている。さらに場内で泣いている子供に配慮するよう劇中で呼びかけるなど、細かいところまで心を砕いている。さらに、スクリーンのしまじろうたちを声を上げて応援する、いわゆる“応援上映”の要素もシリーズの魅力になっている。
しかし、今回の「しまじろうと そらとぶふね」は、コロナ禍の幼児への影響を配慮して、公開前日の昨年2月27日に急きょ延期を決定。ベネッセコーポレーションしまじろう映画担当の安野英子さんによると、感染リスクを徹底的に抑えること、鑑賞にあたって来場者に不安を感じさせない形で上映することを最優先に考えたという。さらに、子供の発達をふまえたしまじろうの映画ならではの楽しみを担保する上で、映画への参加要素は必須。声を出さないでも楽しめる参加の仕方として、拍手での応援や手拍子でのリズム遊びというスタイルに本編を再編集した。
一方、コロナ禍で大ダメージを受けた映画館。座席や施設のアルコール消毒、換気などを徹底しているが、セントラルシネマ宮崎の渡邉悠樹支配人は「おおよそ半分くらいは回復」、コロナワールドシネマ事業部の松野淳さんは「7割程」とそれぞれ現状について分析。いまだ厳しい状態であることをうかがわせる。
そんな中、「しまじろう」のようなキッズ・ファミリー向け映画の公開にあたって、映画館ではさらなる努力を行った。セントラルシネマ宮崎やミッドランドシネマ名古屋空港では、「しまじろう」の来場者には2才未満の乳幼児と一緒に来場する家族も多いことから、他の来場者と必ず1席以上の間隔を空けた状態で鑑賞できる「ゆったりシアター」を導入。ミッドランドシネマ名古屋空港の森裕介支配人は「販売できる席が減ってしまうのは劇場にとって難しい判断ではありましたが、エンタメから遠ざかっていたファミリー層にレジャーとして映画館を認知してもらうきっかけになればという思いで実験的に導入しました」と語る。コロナワールドでも「しまじろう」を「げんきシネマ」と位置づけ、感染対策を強化するとともに家族での鑑賞をサポートしている。
「大人は感染リスクを自覚し、自己防衛策を踏まえた行動ができますが、小さな子どもにはそれができません」と話す安野さん。「無邪気な子供たちの心理・行動を予測したうえで、感染リスクにつながるような要素を徹底的になくし、おうちの方の不安要素をなくすこと、そのうえでエンターテインメント性は損なわないようにすることに気を付けました」と今回の「しまじろう」への対応を振り返る。
安野さんは「子供にとっては、お出かけして、映画館という映画に集中できる環境で、大好きなおうちの方と一緒に同じ映像を見て過ごすひとときは、家ではできない特別な体験。映画館という特別な空間で同じ映画を一緒に楽しむという体験は、親子それぞれの心に残る思い出となるはず」と話す。製作サイドと映画館サイドの二重の感染対策で新しい“ファーストシネマ”の場が作り出されている。
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