ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」シリーズの「宇宙戦艦ヤマト 2199」「宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち」の総集編「『宇宙戦艦ヤマト』という時代 西暦2202年の選択」が6月11日に上映される。総集編は、1969年の人類月面着陸から2042年の火星到達、2202年のガトランティス戦役まで人類とヤマトの航海の歴史をまとめ、真田志郎の視点で語られるドキュメンタリー風の映像作品となった。「2202」のシリーズ構成を務め、総集編の構成、監修、脚本を担当した福井晴敏さん、福井さんと共に脚本を担当した皆川ゆかさんに、総集編について聞いた。
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福井さん ファンの方がブルーレイを持っている時代に総集編を作る意味は?と考えた時、ファンが喜ぶ要素を足すというのもありますが、まだファンではない人も見られる乗船タラップになればという思いがありました。1969年、人類が月面に到達した時代、現代社会の地続きとして「宇宙戦艦ヤマト」のドキュメンタリーを作ろうとしました。膨大な量の「2199」「2202」をドラマでつなぐのはそもそも不可能です。悩まずにすぐにドキュメンタリーにすると決めました。「ガンダム」でも総集編をいくつか作っていて、その時も語りとドラマが交互になるという流れに手応えがあったんです。
皆川さん 総集編は誰がやるんだろう?と思っていたところ、「真田さんの資料をまとめてほしい」とお願いされたんです、「2199」「2202」の真田さんの心の動きをまとめた資料を作りました。それを持って会議に参加したら「なんで呼ばれたか分かる? 脚本をやってよ」と。まとめていた時、脚本を書く人は大変だろうな……と思っていたのですが(笑い)。
福井さん 「2199」「2202」をカット単位でバラして、どこでどういうせりふだったのかを資料として作っていただきました。総集編を作るにはお知恵を借りないとダメだと最初から思っていました。真田が語るドキュメンタリーとなった時、「2202」のことは分かっていますが、「2199」の真田の心の動きを資料としてまとめていただき、みんなで共有しようとしたんです。共有も何もこの人(皆川さん)が書いたらいいじゃん!となった。
皆川さん 膨大なせりふを抽出して、こういう風に思っていたのではないか?とレジュメとして見て、流れが分かるようにしました。せりふ、場面の大きな流れをまとめました。
福井さん 皆川さんの著書に「評伝シャア・アズナブル」があるけど、あれのようなものですね。どこかで出せたら面白いかも。
皆川さん 「評伝真田志郎」が作れるかもしれませんね。エクセルでこの日は何日目で……と計算したり、ヤマトが一回ワープすると……と計算したんです。自分で小説を書く時もやっているのですが、人が作ったものを読み解いていくと、作った時の考え方が見えてくるんですよね。「2199」だと、冥王星に行って帰ってくるとこれくらいの日数、スピードなのか!と見えてきたり。
福井さん 基本的に皆川さんに脚本を書いてもらって、私が調整しました。
皆川さん 福井さんがまとめてくれるならやる!と参加させていただきました。セッションみたいでしたね。
福井さん 書いてもらっている間は口だけ出して、やりとりをして、上がったものを調整しました。これ以上、切れない……となっていたところで、引き受けました。お願いする段階で手応えがありましたが、思った通りでした。ほかの人だとこんなにスムーズにはいかなかったはずです。
皆川さん 福井さんは軸がぶれないので、安心感がありました。最初は90分の予定だったので、どうやったら収まるのか?と映像としての段取りがよく分からなかった。自分でつないで見たら、2時間半とか3時間になるんです。1分をムックの1ページと考えて、90ページに収める……と考えるようになりました。そこまで難しかったです。
皆川さん 「2202」の上映の前にこれまでのあらすじを紹介していましたけど、それをつなぐだけで1時間半くらいになる。どうするの!?となりました。
福井さん 最初は切りに切って2時間半でした。その後は、音楽を基準に考えていました。このシーンは、この曲で乗り切る!と決め、いやが応でも音楽の尺に収まるようにしました。例えば、ヤマトがガミラス星に突っ込んで、イスカンダルに向かうというクライマックスを順で追ったら大変になるけど、BGMの「元祖ヤマトのテーマ」の尺の中で全部やろうとすれば……と決めていきました。ディレクターの佐藤(敦紀)さんは予告編を作るプロなんで、そこがすごくうまいんですよ。
皆川さん 佐藤マジックで乗り切れる!と最初から思っていました。気持ちのいい映像になるだろうと。
福井さん 情報量が多いので、ずっと見ていると疲れるんですけどね。
皆川さん 今の時代は、ブルーレイも配信もあるので、映画館で気持ちよく見てもらって、後でじっくり見ていただきたいですね。
福井さん 「ヤマト」は我々の世代からすると伝説だけど、若い人は、ヤマトがなぜ宇宙を飛んでいるんだ!?と思うかもしれません。昔の「ヤマト」は戦後日本の総括、批評があった。これは絵空事ではない!ということを伝えたかったんです。現実の歴史からスタートする際、“宇宙”と“戦艦”のどちらを取るか?という選択がありました。戦艦を取るなら、第二次大戦で戦艦大和が沈没したところから、宇宙に目を向けるなら宇宙開発から描く。戦艦の方は、第二次大戦を皆さんが納得する形で作るのは難しいところがあります。戦争ものとしてフォーカスされてしまうかもしれませんし。そこで、宇宙に目を向け、アポロのシーンからスタートする作りになりました。昔の「ヤマト」は、矛盾もあるけど、リメークシリーズはつじつまが合うように作っています。「2199」は、スタッフが綿密に世界を作ってくれています。それも分かるようにしたかった。
皆川さん (設定アドバイザーの)玉盛(順一朗)さんがすごかったですね。目からうろこが落ちるようなところがありました。
福井さん “第二次世界大戦終結二百年祭”で戦艦大和を復元するという発想は僕らの頭からは出てきませんでした。実際には戦艦大和は粉々になっている。じゃあなぜ戦艦大和がアニメの中にあるのか? 新規で見る人は気になるはずです。玉盛さんに相談したら、その場でアイデアを出していただけました。使われている材質は違っても戦艦大和のネジ一本でもヤマトに取り入れられている。
皆川さん 戦艦大和は沖縄に行けなかったけど、ヤマトはイスカンダルに行って帰ってくる。そういうものを背負っている船なんです。「2199」も関連性を匂わせています。そこを大切にしたかった。
福井 波動砲を打っちゃいけない話を作っておいてなんですけど、あの形のものからビームが出る姿は、問答無用であらゆるものを黙らせますよね。絵の魅力のすごさを改めて感じました。
皆川さん ヤマトの発進はアガりますよね。あの音楽もアガります。
福井さん 音楽の力も大きいですよね。
福井さん 第1作が放送されたのは、戦後30年なんですね。今から30年前は1990年、最近な気がしますよね。第1作放送当時は、30年前の戦争の総括だった。今の我々がバブル経済とは何だったのか?を考えるのと同じような距離感なんです。令和の時代にやることの意味を明確に出さないといけない。昔の「ヤマト」は、戦争はいけないという常識の中で、ヤマトを飛ばすことの自己矛盾を主人公に語らせました。親や兄弟を殺され、仕返しした後に残った感情が「愛し合うべきだった」というものだった。あの時代に抜け落ちていたことを描き、そこが多くの人に支持されました。今のご時世は、次から次にひどいことが起き、来年あたり宇宙人が来ても驚かない。分かりやすいコンテンツばかりになっています。心や体が傷つき、癒やしを求めている。でも、本来考えないといけないこともあります。こんなに傷ついている!ということを作品の中で語り、共有する。それが昔の「ヤマト」のやったことの今の時代の答えなのかもしれません。古代進は、常識的な青年ですが、普通に生きることが難しくなってしまいます。誰も傷ついているこの時代の気分を表現できれば、あのラストに意味が出てくるのかもしれません。
皆川さん 30年たって「2202」の頃は大変だったねと笑って言えるようになるといいですよね。その時に作られる「ヤマト」は、また違う切り口になるかもしれません。
皆川さん 私は設定とかであれこれ文句を言って、福井さんたちを困らせる立場なんです(笑い)。
福井さん 「2205」で、これまで伏せられていたある秘密が明らかになります。設定だけではなく、物語の根幹に関わるところです。
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2024年11月22日 05:00時点
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