SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第1話 再出発!集う麦わらの一味!
11月3日(日)放送分
特撮ドラマ「仮面ライダーセイバー」と「機界戦隊ゼンカイジャー」(共にテレビ朝日系)の映画「セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記」(田崎竜太監督)が公開中。映画は、放送開始50周年を迎えた仮面ライダーシリーズと、現在が45作品目というスーパー戦隊シリーズのダブルアニバーサリー作。そんな記念すべき作品に出演している仮面ライダー1号/本郷猛役の藤岡弘、さんと、仮面ライダーセイバー/神山飛羽真役の内藤秀一郎さんに、共演しての印象やヒーローとしての心構えを聞くと共に、“レジェンド”から“現役”に向けて継承してほしいことも語ってもらった。
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歴代の仮面ライダーとスーパー戦隊が垣根を越えて共闘する今作への出演にあたり、藤岡さんは「撮影に入る前、石ノ森(章太郎)先生が私の夢枕に立ち、私にほほ笑みながらうれしそうな顔で語りかけようとしていた」という経験があったと明かす。「あまりにも身近すぎてたまらなくなり、そのままそれが映像の中で表現されている。決して私の思いや作られたものではなく、そのままの気持ちが出てしまっているので、私にとって特別な意味のある作品になった」と今作への思い入れが強くなったという。
そして、「1971年4月3日に第1回の初代仮面ライダーが放送されてから50年の節目の時に、まさか先生が夢の中に出てくるとは想像もしていなかった。4月3日に出てきたというのが、私の中では忘れることのできない思い出になりました。いろんな意味において、一つ私の区切りというかな。そういう感じです」と感慨深げな表情を浮かべる。
そんな藤岡さんは、「豪華な今までの50年間のヒーローたちが総結集。50年もヒーローが続いてきて今も続いているのはすごいこと」と切り出し、「元祖・初代仮面ライダー1号の私から始まり、それぞれの時代のヒーローが与えた影響力は多大なものがあり、改めてヒーローもの、仮面ライダーのすごさを感じながら映画をやらせていただいた。これからも仮面ライダーはまだまだ続くだろうという思いの中、結集したライダーとの競演を楽しませていただいた」と語る。
一方、内藤さんは、「50年分の仮面ライダー、そして45作品分のスーパー戦隊、そのトップに自分が立つということが不安で、最初は自信がなかった」と当時の心境を明かし、「1年間、仮面ライダーセイバーとして演じさせていただき、不安を持ちながらトップに立つのは失礼だしダメなことだと思い、その気持ちを捨てて『自分は仮面ライダーなんだ』『トップに立つのは自分なんだ』としっかり自分に言い聞かせ、切り替えてクランクインしました」とコメント。
気持ちを整えてから臨んだ撮影では、「全員が集合しているところで自分がトップに立った時は、ちょっと足が震えていました。やっぱり緊張しました」と苦笑いで振り返る。
レジェンドヒーローを演じる藤岡さんと共演し、内藤さんは、「藤岡さんが放つせりふの言い方なのかな。藤岡さんが真に思っている熱い思いがせりふにも全部乗っていて」と驚き、「そのシーンでウルウルきちゃいけないし、感情に浸ったりもしちゃいけないのですが、そのせりふを遠くから聞いていてすごく感動しました」と話す。
さらに、「自分とのやり取りでもないのに、芝居を見てかっこいいなって。それと同時に、仮面ライダーといえばもうレジェンドは藤岡さん以外ありえないので、終始ずっと感動していました」と目を輝かせながら話す。
藤岡さんに内藤さんの印象を聞くと、「新しい時代を担っていく若者は可能性というか、未来はいろいろと変化していくだろうけど、仮面ライダーをやってまた新しい時代を作ろうとしている。やっぱりすごくうれしいですね」と新たな後輩ライダー俳優の登場ににっこり。「暗中模索の中でみんな必死になって頑張っていた昭和の時代を思い出すと、令和の若者は満たされたような現状ではあるけど、また違った“壁”を越えていかなければいけない大変な時代でもある。そこで若者が一生懸命頑張ろうとしている姿に夢を感じますね」と時代性の違いについて言及。
そして、「昭和の時の我々の世代の原点を、またのぞいてみてほしいなという思いもある。いろんなものを背負いながら(ヒーローとして)いってもらえたらという感はありますね」と語る。
うなずきつつ聞いていた内藤さんは、「1号ライダーのフォルムが好きで、1号ライダーに一番リアリティーを感じています。人の心に寄りそう力というか雰囲気というか、それも藤岡さんが演じているからだと思うのですが、そういうものはすごく感じる」と切り出し、「時代が進んでライダーも変化していますが、大事にしたいのは1号ライダーのカッコよさや生き方。僕はセイバーですけど、1号ライダーも大事にしたい」と偉大なる先輩への敬意を口にする。
1号ライダーと現役ライダーの対談ということで、藤岡さんに“先輩ライダー”として“後輩ライダー”である内藤さんに、伝えたいことや受け継いでほしいことを聞いた。
すると内藤さんの目を真っすぐ見つめた藤岡さん。「愛と正義と勇気とそして夢、希望、感動、これを子供たちに送り続けるヒーローであってほしい。どのような状況の中でも決して逃げない、負けない、あきらめないという精神と挑戦する勇気、そしてそれに伴う己自身を成長させていく責任を持ったヒーロー、そして心と体を強くするため一生懸命自分を磨こうと努力する。そういうヒーローであってほしい」」と言葉をかける。
続けて、「そういうことを背負い、心の中の自分と戦いながら、与える影響力を考えて子供たちを絶対失望させちゃいけない。みんなに夢と希望を持たせる存在としてヒーローをやっていく己でありたい、そう思えるよう自分を磨いてもらいたい」とアドバイス。
さらに、「ヒーローをやるということは、それなりの重い荷を背負わされたんだよ。それだけ大きな与える影響と使命がある」と前置きし、「子供たちに光を、希望を、どんなことにも負けずに逃げないで突き進む勇気をヒーローが見せてくれる。そこから得たものによって、子供は人生を左右する影響を受けて人生に立ち向かっていく。そのきっかけを作るのがヒーロー。それを背負ったと思って頑張ってもらいたというのが私の思い」と藤岡さんが口にすると、内藤さんは深々と頭を下げた。
また、子供たちへの影響を大切にする藤岡さんは「一生、子供たちと共に自分も成長しないと。子供たちは『ああいうふうになりたい』『ああいうふうに生きよう』『あの人だって頑張っている』と思い、ずっと見続けているから」とコメント。「そういうメッセージを心ある皆さん、多くの関係者やスタッフによって、50年間発信し続けてきた記録はすごいこと。その象徴として、縁があって使命があって役と出会っていることを考えると、ただの出会いじゃない。意味のある出会いだと思っていいと思う」と自身にも内藤さんに言い聞かせるように話す。
そして、「子供の心にどのように映るかということを考えたらいい。ヒーローを追っかけているうちに失望させちゃったら、もう終わりだよ」と警鐘を鳴らしつつ、「50年前に25歳だった私は、まだ戦い続けている。自分と戦っている。そうやってきたらいつの間にか時はたったけど、そう思うと感慨深い。後輩たちに『時代に流されるな』『おい違うぞ』って言いたくなる場合もあるし、“親心”のような思いもある。そういう感じで今一生懸命戦っているヒーローたちを見ています」とやさしいまなざしを内藤さんに向ける。
ここまで神妙な表情で聞いていた内藤さんは、話し出そうとするも「すみません……」と言葉を詰まらせ、感極まった様子で涙をこぼした。
その姿を見た藤岡さんは、「彼は感性がある。こういう青年がいい。心情が揺れ動く青年は好きだな。こういう青年こそがヒーローになる資格がある」と感激し、「悲しみ、苦しみ、痛み、そして心揺れ動き葛藤し悩み、いろんなことを想像しながらがいい。彼を見るとヒーローらしい」と絶賛。
そんな藤岡さんも、「俺も青春はそうだった。内藤、負けるなよ。俺も君以上に見えないところで泣いていた。嗚咽(おえつ)と葛藤、それでもひるまない気持ちを奮い立たせてという歴史を歩んできた。心配しなくていいぞ。俺はそういう君が好きだな」と自身の体験を交えて語り、内藤さんを“親心”たっぷりの言葉で包んだ。
藤岡さんの話を聞き、「藤岡さんと出会えたことがうれしい。今もらった言葉を忘れず……自分の今の気持ちを言葉にするのがちょっと難しくて」と言葉を絞り出した内藤さん。
すると、藤岡さんは「弱い者や人生の泳ぎ方が下手な者、いろいろいると思うけど、僕はその一人だった。ヒーローはそういう人たちも一生懸命頑張って乗り越えていく力を与えることができる」と持論を口にする。
その理由として、「1号ライダーの原点は、ショッカーに悪魔の軍団として改造され、脳改造の一歩手前で逃げて助かった改造人間。二度と人間に戻れない孤独な戦士だった。ヒーローといっても栄光のヒーローじゃない。改造されてしまって戻れない悲しみと苦しみを背負って歩み続け、孤独に戦わなきゃいけない」といい、「そう思ったらヒーローといったって、原点の最初はそうだった。これが石ノ森先生の狙いだったと私は思う」と自身が演じた1号ライダーの世界観を引き合いに説明する。
そして、「見えないところで戦い続ける子供たち、青年たちにエールを送るようなヒーローになってほしい。コツコツと、どんなことがあっても逃げないで頑張る。そういう勇気をもらえるようなヒーローを目指してくれ」と内藤さんに熱いメッセージ。
内藤さんは深くうなずき、「この意志を、次の仮面ライダーになる人にちゃんと伝えられるように残りの期間を励みます。ライダーが終わってからも、今言われたこと、役者として当たり前のこと、人に何かを与えるって必要なことだと思う。また藤岡さんに会ったときに一言、『頑張っているな』と言ってもらえるように頑張ります」と力強く“約束”。藤岡さんは、「これからの君の成長が楽しみ。俺も楽しみが増えた。応援するから頑張れよ」と優しくエールを送った。(取材・文・撮影:遠藤政樹)
※田崎竜太監督の崎はたつさき
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