“坂道シリーズ”と呼ばれるアイドルグループ「乃木坂46」「櫻坂46」「日向坂46」の新作シングルが、いずれもセンターに新顔を起用したことが話題を呼んでいる。乃木坂46は賀喜遥香さん、櫻坂46は田村保乃さん、日向坂46は金村美玖さんと、“初センター”となった3人がけん引するシングルは、これまでにないイメージをグループにもたらしている。一般的な知名度はまだこれからともいえる3人の新センターの歩みを振り返ると共に、新たな可能性をうかがわせる新曲の魅力を探る。
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乃木坂46の最新シングル「君に叱られた」でセンターを務めるのは、2018年にグループに加入した4期生の賀喜さん。24枚目のシングル「夜明けまで強がらなくてもいい」以降すべてのシングルで選抜入りを果たすなど、若手ながらすでに人気メンバーの1人として活躍している。
そんな賀喜さんがとりわけ脚光を浴びたのは、昨年3月発表の25枚目シングルのカップリング曲「I see…」だ。賀喜さんがセンターを務めた同曲は、YouTubeでの公開から約3カ月で再生回数は1000万回に到達。昨年のグループを代表する楽曲となった。
今回、賀喜さんがセンターを務める最新シングルも、「I see…」と同じ2人組音楽ユニット「youth case(ユース ケース)」が手がけた。ポップな曲調がどこか「I see…」とも通ずる同曲のMVには「かっきー(賀喜さんの愛称)にピッタリ」「元気、爽やかな曲調がとても(賀喜さんに)似合う」などのコメントが多数寄せられている。「インフルエンサー」「シンクロニシティ」など「クール」「儚(はかな)い」印象の楽曲イメージが強い乃木坂46だが、“ニューヒロイン”の誕生で、新たな魅力を構築していくだろう。
それまでのイメージと正反対のパフォーマンスで存在感を発揮したのが、櫻坂46の最新シングル「流れ弾」でセンターを務める田村さんだ。2018年にグループの2期生(当時は「欅坂46」)としてデビューした田村さんは、8月に発売されたファースト写真集「一歩目」(小学館)も話題の美女で、冠番組の企画で、共に活動するメンバーから「彼女にしたいメンバー」第1位に選ばれるなど、キュートなルックスと、どこか漂う親近感が持ち味だ。
ところが、「流れ弾」では、そんな田村さんが普段との“ギャップ”を遺憾なく発揮している。激しいパフォーマンスが特徴の櫻坂46のセンターに抜てきされただけあって、ダンスの格好良さは言わずもがなだが、MVの序盤で見せる“狂気”的ともいえる表情や、すらりとした手足で繰り出す後半部分の開放的なダンスのキレなどは普段の田村さんとのギャップを特に印象づけた。
また、22歳の“大人の女性”の田村さんがセンターを務めたことで、スタイリッシュでセクシーな印象も生まれた。欅坂46時代からくる「未完成ゆえの“不安定さ”」のイメージだけでなく、「大人ならではの苦悩」を感じ取ったファンもいただろう。田村さんのセンター就任は、グループにより重層的な輝きをもたらすのかもしれない。
日向坂46の最新シングル「ってか」でセンターを務めるのは、2017年にグループの2期生(当時は「けやき坂46」)としてデビューした金村さん。透明感のある“美人顔”で、女性ファッション誌「bis」(光文社)のレギュラーモデルを務めており、バラエティーやラジオでは、明るくはつらつとしたキャラクターを見せている。
しかし、パフォーマンスになると、今年3月に高校を卒業したばかりとは思えない、ぐっと大人っぽい姿を見せる。最近では、音楽特番の企画で「BTS(防弾少年団)」のヒット曲「Butter」の完コピダンスを披露した「ダンス選抜」にも選ばれるなど、ダンスのキレに定評がある。
最新シングルは、日向坂46のイメージでもある「可愛らしさ」を残しつつも、ダンスはキレキレで、曲調は「クール」。金村さんがそのパフォーマンスをけん引し、グループの新たな一面を引き出したといえるだろう。
冠番組内でのセンター発表時、3人ともが不安を口にしていた印象が強かったが、ファンの反響を見るに、その評価は上々。3人が拓(ひら)くグループの“新境地”に期待したい。