スウェーデン発の家具メーカー「イケア」が、開催中の日本最大のゲーム展示会「東京ゲームショウ2021」に初出展し、話題を集めている。北欧テイストの家具ブランドとして知られるイケアがどうしてゲームショウに出展したのか。そこにはコロナ禍で生まれた新たな市場と、アフターコロナを見据えた戦略があった。
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東京ゲームショウは、例年幕張メッセで開催されていたが、コロナ禍に見舞われた昨年は、オンラインのみの開催となった。今年はオンラインに加え、プレス、インフルエンサー向けに幕張メッセでも小規模ながらブースを構えて開催されている。
イケアがブースで展示しているのは、いわゆる「ゲーミングチェア」をはじめとしたゲーミング家具とアクセサリーだ。従来の黒を基調としたゲーミング家具に加え、白をベースにしたイケアらしいラインアップも用意されている。
同社のゲーミング家具は、ゲーミングブランドの「Republic of Gamers(ROG)」と共同開発。長時間座ってプレーすることを考慮して、上位モデルではヘッドレストも細かく調整できるほか、アームレストも高さだけでなく角度まで微調整できるなど、従来の同社のチェアよりも細かいカスタマイズが可能になっている。また、ゲーミングデスクも、PC、ゲーム機からの排熱を考えたメッシュ部分を備え、多くなりがちなケーブルの配線整理を考えたネット上の配線トレーを設けるなど、ゲーマー向けならではの仕様になっている。
どうしてゲーミング家具市場に参入したのか。イケア・ジャパンの宇治野慎吾さんは、最初にコロナ禍に伴うリモートワーク需要があったと話す。リモートワーク需要で大きく売り上げを伸ばした同社が、家での快適な過ごし方の一環として注目したのがゲーミング家具だった。アフターコロナではリモートワークも減少するとみられるが、ゲーミング家具の需要はアフターコロナに影響しにくいと思われるところも大きかったという。
ゲーミング家具市場におけるイケアならではの長所は「価格」と「デザイン性」だ。4999円という安さで話題を読んだゲーミングチェア「フーヴドスぺラレ」以外のラインアップも手ごろな価格のものが多い。ゲーミングチェアのボリュームゾーンは3~4万円だが同社の商品は1~2万円安いという。
また、従来のゲーミング家具は色や形などの主張が強いものも多く、どうしても部屋全体から浮いてしまうことも多かった。しかし、北欧家具の人気ブランドでもあるイケアの家具ということで、比較的他の家具ともマッチしやすいし、イケアの家具でそろえている部屋であればさらに相性がいい。平日はリモートワーク、休日は同じ部屋でゲームを楽しむという場合はリモートワークの家具としても活用できるだろう。
今年4月に、中国に続いて世界で2番目に日本でゲーミング家具の販売を開始したイケア。今後も新製品をリリースしていくといい、今やおなじみになった北欧家具と同様に、ゲーミング家具市場の拡大にも貢献しそうだ。
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