わたしの宝物
第6話 生まれ変わったら本当の親子になれるかな・・・
11月21日(木)放送分
女優の松井愛莉さんが主演を務める動画配信サービス「FOD」のオリジナルドラマ「エロい彼氏が私を魅(まど)わす」(毎週金曜深夜0時)が配信中だ。結婚を目前に控えた主人公・仁美(松井さん)が、偶然出会った婚約者とはタイプの異なる男性に心揺れ動く姿を描くラブコメディー。仁美の婚約相手で、エリート証券マンの圭吾を演じる俳優の結木滉星さんに、大好きだという野島伸司作品のイメージや役作り、デビュー10周年を控えての心境や今後について聞いた。
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ドラマは、野島伸司さん脚本のオリジナル作品。野島さんが脚本を手がけたドラマ「プライド」(フジテレビ系、2004年)が「大好きで何回も見たことがある」と話す結木さんは、「『プライド』を見るたびに(野島作品に)出たいと思っていたので、今回願いがかなってすごくうれしい。これを機にまた野島さんの作品に出られたら」と今作への出演を喜ぶ。
野島作品の好きなところを聞くと、「野島さんが描く恋愛には“クセ”がある。今回もそうですけど、設定的には振り切ったようなかたちに感じられても、見入ってしまう。そこには何かしらリアルが詰まっているからなのだろうなと思って、そういうところが好きですね」という。
また独自の視点や独特の言い回しが話題になることも多いが、「野島さんの世界観というのがあって、せりふ一つとっても面白い。普段の生活では『こうは言わないでしょう』みたいな言い回しもあり、そこはこれまでにない感覚というか、その本当の意味や本質を捉えるのはすごく難しかった」と話すも、「そのぶん勉強になりましたし、参加できて良かったなと思う部分ですね」と充実感を口にする。
結木さんが演じる圭吾は、高収入で高学歴、優しくて見た目も良いという、誰もがうらやむようなエリート証券マン。ところが、婚約者の仁美に突然別の気になる男性が現れ……という役どころだ。
役作りでは、「最初の方は完璧でプライドが高く、誰もが結婚したいと思うような爽やかさなどを意識していた」といい、「仁美の気になる人が現れたという一言をきっかけに、徐々に崩れていく。それまで作り上げてきた圭吾という人間像がどんどん崩れて人間くさくなっていくところは圭吾としての見どころ。そこのギャップは演じていて楽しかった」と撮影を振り返る。
ギャップを出すためにこだわったポイントについて、「せりふの言い回しや言い方。圭吾のせりふが強いので、例えば棒読みでせりふを言うだけでも悪いヤツに見えてくる」とコメント。「いわゆる悪者みたいな芝居よりは、ナチュラルに余裕があってという方向性に持っていった方が相手にも響くし、見ている人にも嫌だなって思わせられるかなと思った。あえて自然な形でやりました」と演技の狙いを説明する。
ドラマでは、仁美が自分の気持ちを圭吾に正直に打ち明けたことで騒動が起きるが、恋人や家族が隠しごとなく何でも話し合うという考え方には、「個人的にはすべてを言わなくていいと思っている」と持論を語る。「家族にも秘密はあるし、恋人にも秘密はあって当然だし、その上で良い関係性が築ければいいのでは。(仁美と圭吾のように)ここまでバカ正直に話す必要はないなと思っています」と話す。
続けて、「仁美は何でも言っちゃいますが、言わなくていいことは言わなくていいですし、優しさで言わないうそもあっていいかなと思う。いかに相手を傷つけないかというか、相手がそれを言われてどう思うかを考えて発信することが優しさかなと思います」と相手を思いやる大切さを語る。
ドラマ「主夫メゾン」で主夫役を演じた際のインタビューで、役を通じて結婚観に変化があったことを語ってくれた結木さん。今作でも結婚がテーマの一つになっているが、「結婚観という意味では全然違いますね(笑い)。主夫役では、当たり前な日常って幸せだなと感じましたが、今回の圭吾役をやってみてと、野島さんの作品だからかもしれませんがすごくギャップがある」と分析。「だからといって結婚したくないとは思わないですし、むしろ結婚願望はあります。ただそこまであせらず、自分のタイミングでゆっくりできたら」と話す。
自身とは異なるタイプの人物を演じたことで、「やっぱり女性には優しくしようと思いました」とちゃめっ気たっぷりに言い、「僕も女性に対しての向き合い方がサバサバしている部分はあって、はっきり言っちゃうタイプ。ただ圭吾に比べたら全然マシ(笑い)。だから、このままでいいかなと思いました」と圭吾役から学んだという。
もうすぐデビュー10周年を迎える結木さんに、ここまでの活動を振り返ってもらうと、「あっという間だったかもしれないですね」としみじみ。「10年やってきて、『やめたい』とか『やっていけない』と思うことの方が多かったです」と率直な心境を明かす。
一方、俳優として真摯(しんし)に向き合う日々を通して、「コロナ禍があって、仕事のありがたみに気づいてからはやっぱり向き合い方が変わった」といい、「仕事があることに対しての感謝というのが強くなりました。今、純粋に楽しんでできているのは一つ、10年目ぐらいにして良かったことだなとは思います」と俳優業への感謝と喜びを口にする。
今後の俳優人生に向けてのプランを聞くと、「常に『いつやめてもいい』と正直思っている」と切り出し、「それは本当にやり切ったというか、もういいやって思った時にしかやめたくない、ということ。そう思うまではずっと続けていきたい」と言葉の真意を語り、真っすぐ前を見つめる。
やりたいと思える役や作品がある限り俳優を続けていくと話す結木さんは、「役がある限りいろいろやりたい」と演技の幅を広げるような役どころを熱望し、「真ん中のポジションというものも、徐々に徐々に経験していけたらいいなとは思っています」と意気込みを語った。(取材・文・撮影:遠藤政樹)
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