わたしの宝物
第5話 手に入れた幸せとバレた嘘・・・修羅場が始まる
11月14日(木)放送分
女優の清原果耶さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「おかえりモネ」(総合、月~土曜午前8時ほか)がいよいよ最終週を迎える。劇中ではこれまで、ヒロイン・百音(清原さん)が気象に携わり、人々のために活動していく横で、同級生の“りょーちん”こと亮(永瀬廉さん)とその父・新次(浅野忠信さん)がつらい過去を背負って生きる姿が描かれてきた。最終週を前に、ようやく“自分の道”を歩めるようになった亮と、永瀬さんが同役で体現してきた繊細な揺れ動きを振り返りたい。
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亮は高校卒業後から漁師見習いとして海の仕事を始め、24歳になって周囲からも仕事ぶりを認められるようになっていた。かつては新次も漁師として働いていたが、東日本大震災の津波で船が流され、さらには妻の美波(坂井真紀さん)が行方不明になってしまったことで離職。月日が流れても立ち直れずにいた。
第22週「嵐の気仙沼」(10月11~15日)、第23週「大人たちの決着」(18~22日)では、ついに亮が「自分の船を持ちたい」と、銀行員である百音の父・耕治(内野聖陽さん)に資金繰りを相談するまでに成長。その裏には、新次にもう一度船に戻ってほしいという思いがあった。
一方、亮の気持ちに気付きながらも、話し合いを避けてきた新次。しかし、亮が船を買うための資金を稼ごうと出た海で危険に見舞われたことをきっかけに、百音にも背中を押され、向き合うことを決意。耕治も含めて話す場を設ける。
そこで亮は、一緒に船に乗ってほしいと伝えるが、新次は「元に戻ることがいいとは限らない」「俺が漁師を続けるのは美波がいることが前提」だと断る。さらには、亮が危機にさらされた際、美波に「亮を連れて行くな」と祈っていたといい、自分の中で美波が“向こう側”にいると再認識したことを明かす。新次は美波の死亡届提出を決め、その見舞金を亮の漁船購入に充ててほしいと耕治に依頼。亮には「お前の人生を生きろ」と告げたのだった……。
亮は震災で母がいなくなってから、大切な人を再び失う怖さが常に心のどこかにあり、他人を頼ったり、自分が幸せになることを遠ざけてきた。特に、百音たち幼なじみや百音の妹・未知(蒔田彩珠さん)に対しては、心配されても「大丈夫」の一点張り。友達以上の感情を抱く百音には本音を漏らすものの、必要以上に踏み込まれることには、やはりためらいがあるようだった。
そんな亮だが、身近な大人の前では“子供の顔”を見せていた。印象的だったのは、第17回(6月8日放送)に登場したワンシーン。居酒屋で酔い潰れた新次を迎えに行った帰り、偶然耕治と出くわした亮は、必死に店員に頭を下げていたときと打って変わり、途端に不安げな表情になったのだ。
特に、新次の前ではそれが顕著だった。第39回(7月8日放送)、新次が長年抱えたきた美波への苦悩を明かす場面では、新次を励まそうと、美波がかつてよく歌っていた曲を涙ながらに歌い、第113回(10月20日放送)では眉を下げ、瞳をうるませながら新次に「一緒に船に乗ってほしい」と懇願。ここまで本心のままに喜怒哀楽を表す相手は、やはり新次だけだったように思う。
10代から20代中盤まで、約10年ほどを描いてきた本作。その中で亮はいつだって新次の前では“子供”で、やはり実の父こそが、息子なりのわがまま、隠していた本音をぶつけられる存在であることを感じさせた。永瀬さんの繊細な表情の演技は、亮と新次、切っても切れない親子という関係に、より説得力をもたらしていたのではないだろうか。
そして、いよいよ迎える最終週。“自分の道”を歩み始めた亮の未来とは……。これまでの葛藤を乗り越えた亮の姿を、最後まで見届けたい。
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2024年11月15日 22:00時点
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