名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
荒木飛呂彦さんの人気マンガ「ジョジョの奇妙な冒険」の第6部原作のアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」が12月1日からNetflixで世界独占配信される。主人公・空条徐倫を演じるのが、人気声優のファイルーズあいさんだ。ファイルーズさんは、「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの大ファンで、中でも第6部「ストーンオーシャン」の徐倫との出会いが声優を志したきっかけでもあるという。徐倫は「一番の憧れ」「私にとっては世界で一番素晴らしい人物」といい、「ジョジョ」への情熱を持って収録に臨んだが、大好きだからこその「難しさ」もあった。ファイルーズさんが「ジョジョ」の名ぜりふを交えながら同作への熱い思いを語った。
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「ジョジョの奇妙な冒険」は、1986年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載が始まった人気マンガ。数世代にわたる個性的な悪人たちとの戦いを描いた壮大なストーリーや独特の擬音を用いた表現、独特な立ちポーズなどが人気を博している。テレビアニメは、第1部「ファントムブラッド」と第2部「戦闘潮流」が原作の第1シーズンが2012年10月~2013年4月、第3部「スターダストクルセイダース」が原作の第2シーズンが2014年4~9月、2015年1~6月、第4部「ダイヤモンドは砕けない」が原作の第3シーズンが2016年4~12月、第5部「黄金の風」が原作の第4シーズンが2018年10月~2019年7月に放送された。
第6部「ストーンオーシャン」はシリーズ初の女性主人公で、空条承太郎の娘・空条徐倫が、無実の罪で刑務所に収監され、脱獄しようとする……というストーリー。Netflixで先行配信され、2022年1月7日からTOKYO MX、MBS、BS11ほかで順次放送される。
ファイルーズさんは、第6部のアニメ化が発表される以前から「ジョジョ」愛を語ってきたこともあり、アニメ化と空条徐倫役での出演が発表された際に話題となった。ファイルーズさんと「ジョジョ」との出会いは中学生の時だった。
「中学生の時からインターネットをよく見るようになって、動画サイトのコメントで『オラオラオラ』『無駄無駄』『だが断る』というワードをみんなが使っているからなんだろう?と気になって調べたら、『ジョジョの奇妙な冒険』というマンガが元ネタだと知ったんです。初めて絵を見た時に『ズキュウウウン』ときてしまって!」
ファイルーズさんは、エジプト人の父、日本人の母を持ち、当時は自身のルーツに悩んでいた時期だったという。
「『ジョジョ』に興味を持ってマンガを買いに行った時に置いてあったのが、『ストーンオーシャン』だったんです。最初はこれが『ジョジョの奇妙な冒険』の1巻なのかなと勘違いしていたんですけど、なんとなくこの徐倫という女の子が格好いいなと。その当時、自分のルーツのことでいろいろ悩んでいた時期だったので、徐倫にすごく勇気をもらったんです。だから、徐倫のことをもっと知りたいと思って調べたら、これは第6部の1巻ということを知って、ちょっとずつお小遣いを貯めて、第1部『ファントムブラッド』から読んでいきました」
その後、高校1年生になったファイルーズさんは「ジョジョの奇妙な冒険」の朗読会に参加し、それが声優の道を志すきっかけとなった。
「その頃は学校に行くのもつらかった時期で、ネットで『ジョジョ』が好きな友達を増やしていって、ある時、スカイプでやっている朗読会に誘われたんです。朗読会では、すごく褒めてもらえて(笑い)。朗読をすることで自分も『ジョジョ』の世界のキャラクターになったみたいで、すごく力をもらえたんです。何でも乗り越えられる勇気をもらえた。だから、私に一番エネルギー、勇気をくれた徐倫のそばにいられる、支えるキャラクターができたら、私の人生って意味があったと思えると、声優になろうって決めたんです」
高校1年生で声優を志したファイルーズさんにとって、空条徐倫役は「12年間追い続けてきた夢」だった。「私にとっては世界で一番素晴らしい人物を演じさせていただく機会をくださったことに“『ありがとう』……それしか言う言葉がみつからない……”です。これは第7部『STEEL BALL RUN』のジョニィ・ジョースターの言葉なので、よろしくお願いします」と思いを語る。
「ジョジョ」シリーズはこれまで第1~5部までアニメ化され、話題を集めてきた中で、「ここで私が中途半端なことをすると、この先『ジョジョ』を好きになってくれた人の中で徐倫が中途半端な印象になってしまう。それだけは絶対に嫌だった」という強い思いがあり、原作と台本入念に読み込み、収録の準備を徹底したという。
第1話の収録は、「徐倫のせりふを口に出したことで、私は本当に徐倫になれたんだなと改めて実感して涙が出そうになりました。泣くと声が変わるので泣けませんでしたけど」と振り返る。また、中学生の時から原作を読み込んでいるだけに「難しさ」もあったという。
「徐倫は、歴代主人公の中でも精神の成長が描かれているキャラクターで、だからこそ、私の中ではラストの仕上がっている徐倫、覚悟が決まりまくっている徐倫の印象が一番強く心に残っていて。その状態で第1話を演じてしまったので、監督に『まだ覚悟を決めないで。この時はまだ不良娘だから』って(笑い)。肩の力がずっと入ってしまって、いい意味で『やれやれ』感、脱力感を出すのが難しかったです」
ファイルーズさんは、「トロピカル~ジュ!プリキュア」のキュアサマー/夏海まなつ役、「ダンベル何キロ持てる?」の紗倉ひびき役など人気作でも主人公を演じてきた。徐倫役は「高い声の元気なキャラがいままで多かったので、役者としても初めての試みでした」と挑戦になったという。
「徐倫だから格好よくしなきゃと意識するあまり、ただ声を低くするようになっちゃいけないなと思って、その調整も結構苦労しました。毎回毎回試行錯誤していますし、声を張った時に可愛くならないようにしなきゃいけないなとか、意識しています」
「ストーンオーシャン」では、徐倫をはじめ、女性キャラクターが多く登場する。「可愛くならないように」とファイルーズさんが話すように、収録では音響監督の岩浪美和さんから「ジョジョに萌(も)えはいらない」というディレクションもあったという。
「テストでちょっとお上品さが残っていたら『もっと下品に』『もっと汚い感じで』とディレクションされていて、そこで『ジョジョだな』ってすごく感じました。ほかのキャストの方が、最初は猫をかぶっているキャラクターを可愛らしく演じてらっしゃった時には岩浪さんから『それでは普通に可愛く聞こえてしまう。ジョジョに萌えはいらないから』と名言が出まして。その言葉を聞いて、私は信頼しかないなと。“『信頼』だよ”となりました。これは第5部のポルポの言葉です」
ファイルーズさんは、「ストーンオーシャン」では「徐倫のたくましい姿をみてほしい」と見どころを語る。
「女性であそこまで泥臭い戦いをするキャラクターは、今までいなかったと思いますし、私自身、同じ女性でも守られるだけじゃなくて、自分を奮い立たせて戦って、こんなに強くなれるんだとひしひしと感じました。女性だからという理由で悔しい思いをしたことがある女性ってたくさんいると思うんです。私もその一人なので、徐倫みたいに強くなれたら、どんなことでも乗り越えられると、たくさん勇気をもらいました。最初はめそめそしていた不良娘だからこそ、共感できる方もすごく多いと思います。徐倫のたくましい姿を見て、そこからたくさん勇気をもらって、新しい自分になれる。ぜひ一緒にこの感動を共有できたらなと思います」
自身の人生を変えたとも言える「ジョジョの奇妙な冒険」に熱い情熱と愛を持って臨んだファイルーズさん。キャスト、スタッフの作品への思いは並々ならぬもので「同じ思いで作ってくださっている方たちの作品がよくならないわけがないんです!」と力を込める。ファイルーズさん演じる徐倫から勇気をもらえるに違いない。
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