年末に行われる「NHK紅白歌合戦」に4年連続となる出場を決め、「第63回 輝く!日本レコード大賞(レコ大)」でも大賞候補となる「優秀作品賞」に選出された4人組音楽ユニット「純烈」。今年は精力的にコンサートを実施したほか、「LINEオープンチャット」で公式トークルーム「純烈部屋」を開設、主演映画「スーパー戦闘 純烈ジャー」(佛田洋監督)も公開するなど活躍の幅を広げたが、コロナ禍ではコンサートを中止し、強みであった“ファンとの距離が近い”という個性も封印しなければならなくなるなど苦難の道のりで、「『純烈』が最悪、もうできなくなる」とも考えたという。純烈の4人に、コロナ禍で考えたことや、「紅白歌合戦」「レコ大」などへの意気込みを聞いた。
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酒井一圭さん(以下、酒井さん) 2020年の1月後半には、社会全体がパニック状態だったので「もうコンサートをやってる場合じゃない」という状況で……。僕らのお客さんの中心は、僕らよりも年上の人が多いので「これはもうあかんな」と思いました。それでマネジャーと相談して、純烈メンバーには「2020年の1年間は多分無理だと思う」という見通しを自分が伝えました。全部、流す方向で……。「やりたい」という人がいても、危険やと思ったんですね。だから2月末には、なしにしようと決めました。純烈はすごく小規模で運営しているので、人間が壊れちゃうと思ったんです。
酒井さん 延期や中止、チケットの返金などいろんなことで、次から次へとネガティブな「ごめんなさい、ごめんなさい」をお互いに言い合うような状況になると思ったんですね。だったら、「もう1年間なしにしよう」と。だけど「なし」にした時点でスケジュールが空いちゃうので、どういうふうにまた仕事ができるようになるのかは見えないけど、いろんな仮説を立てながら打ち合わせを始める、という形を取りました。世界中が、一瞬は「人類滅亡」ぐらいのイメージを持ったじゃないですか。だから僕も「純烈が最悪、もうできなくなる」と思ったんです。でも、前向きに生きなきゃいけないので、まずは純烈の“バラ売り”をしよう、と考えました。
酒井さん 4人でのステージは絶対無理なので、どこか呼んでくれるところや、何か働き口がある人は、可能性があるのであればいこう、という体制を取って。スタッフ同士だったり、演者同士だったり、いろんな出会いがある中で、それぞれがだんだん広がっていきました。紅白にも出させていただいていましたけど、「いくらでも忘れられる存在である」という考えが根付いちゃっているんです。だから、なんとか忘れられないように、「『純烈ものがたり』~スーパー銭湯が泣いている~」というドラマだったり、「純烈ジャー」の映画「スーパー戦闘 純烈ジャー」だったり……なんとか名前を残そう、と。だからコロナ禍では、生き残ること、なんとか感染しないようにすることに右往左往しながら、メンバーもスタッフも一丸となりました。
酒井さん 今年はめちゃくちゃステージをやっているんです。もうビビるぐらいやっていて。たぶん移動とか、日本最高峰だと思います(笑い)。いつも羽田か東京駅にいるから。娯楽が少ない中で純烈がわざわざ東京から来るのであれば、絶対見にいきたい、というリアルな地方の現場をずっと旅させていただいて、今日に至っています。こっちが「ありがとう」なんですけど、向こうも「ありがとう」という空間。客席は、最近は8割、10割で開催できるようになりましたけど、席には一切降りずにやっていました。
酒井さん 純烈はYouTubeもあまり積極的にはやっていなくて。ファンはおばちゃん中心なので、ネット関連は一生懸命やってもなかなか数字は出てこないだろうな、と敬遠していたんです。だから僕らは全然分かんなかったんですけど、でもやったことがないことに飛びついて遊んでみる、というのが純烈のスタイルなので(笑い)。今もどんな雰囲気か分からなくて「おっさんがLINEしているだけやん」とも思うんだけど、お客さんがニコニコしているから、「ああ、これでいいんだな」と。
後上翔太さん(以下、後上さん) ファンの方に「日常のLINEのやりとりをのぞいてもらう」ということでオッケーなんですよね、という気持ちで、スタンプを連打しています(笑い)。
白川裕二郎さん(以下、白川さん) アクリル板を挟んでの写真撮影会などで、このLINEの話をして、「見ていて楽しい」と言われたり、「もっと裕ちゃんもどんどん参加してね」と言われたり……。僕はやり方もよく分からないんですけど、ちょっとずつでも増やしていこうかなと思っています。
小田井涼平さん(以下、小田井さん) 僕は「ファンの方と触れ合っている」というよりは、「僕らから一方的に触らせている」という感覚で今までやっていたんです。動物園で動物と触れ合えるところでは、人間から触りにいきますけど、僕は「動物側から触らせにいっている」感覚でやっていて(笑い)。
それはともかく、ある意味、純烈が今までやってきたことを、一回見直すタイミングだったのかな、と感じています。それは悪いことではなくて、やっぱり、触れ合いが多いグループゆえの、ファン同士のトラブルとか細かいいざこざのようなものもたくさんあったので、一度冷静に考える時期だったのかな、という感覚で捉えていました。だから、あまりネガティブには思っていないんです。
後上さん 紅白に出させていただいたり、レコ大で優秀作品賞を3年連続でいただいたりしているんですが、それはスタッフさんやファンのみんなと一緒に取ったもの、という感覚の方が強いです。ファンのみなさんが受賞した賞で、ファンのみなさんに起こった現実だという気持ちもあるので、「ありがとう」と同じぐらい「おめでとうございます」という気持ちが大きいかなあ。年末は、「みなさんを代表して行ってきます」という思いが一番大きいですね。
酒井さん 「うれしい、やったー!」というのは最初の出場時のことで、もう4年になると「ホッとした」という気持ちの方が強いですね。これでまた全国を回れる、これでお仕事できるな、という気持ちです(笑い)。あとは、応援していただいている方のおかげで、その人たちが自分たちより喜んでくれるので、「ああよかった」という思いですね。本番は生放送ですが、失敗を恐れずに、ハプニングが起こったら笑って……そういうのが楽しみですね。
白川さん 最初の方は緊張していたレコ大、紅白ですけど、だんだんと場数を踏んで、ゆっくりと景色を見られるようになっていって……。お祭りみたいなものだと思うので、自分たちが思いっきり楽しんで、それを見てくれるみなさんにも楽しんでいただければと思います。
小田井さん 紅白に関しては、ファンの方に喜んでもらうというのはもちろんそうなんですが、基本的には自分が一年やってきたことに対するご褒美という感覚なので、自分が楽しむ、というのがまず第一。自分が楽しんだうえで、お客さんにも楽しんでもらおうという感覚で、今年も楽しみたいと思います。あと、思いの丈を吐き出すとすれば……やっぱり僕らは営業メインのグループなので、ステージの数をこなしてうんぬんという感じなんです。だから紅白とかレコ大に出ることが翌年の営業に関わってくる(笑い)。せっかく出られたのに、年が明けてコロナで全部(ステージが)飛んだらまったく意味がないので、本当に「オミクロン株だけは勘弁してくれ」と言いたいです(笑い)。
酒井さん 来年は、本当に純烈もスタッフも気合が入っておりまして、全国を回りまくります! 今までのマックスになるんじゃないかな、というぐらいステージの予定が組まれているので、ペース配分を考えながら、最後まで完走できるように頑張りたいと思います。