アニメ「夜明け告げるルーのうた」「映像研には手を出すな!」などの湯浅政明監督が手がける劇場版アニメ「犬王」の新たな特報映像がYouTubeで公開された。運命の出会いを果たした異形の能楽師・犬王と盲目の琵琶法師・友魚が、琵琶の音と力強い歌声で民衆に熱狂を巻き起こす様子が描かれている。
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「犬王」は、作家の古川日出男さんが「平家物語」を現代語訳した「平家物語 犬王の巻」(河出書房新社)が原作。マンガ家の松本大洋さんがキャラクター原案、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」「アンナチュラル」などの野木亜紀子さんが脚本を担当する。大友良英さんが音楽を手がける。ロックバンド「女王蜂」のボーカル・アヴちゃんが犬王、俳優の森山未來さんが友魚の声優を務める。
古川さんは「これは映画のモンスターである。スクリーンがこれほど怪物的にうごめき出すのを、私はおそらく初めて見た。しかも、それらの『うごめき』はポップで、悲劇的なはずなのに徹底して楽天的で、要するに痛快な『しいたげられた者たちの反撃』なのだ。映像だけではない。音楽も、それからキャラクターたちの声も全部蠢動(しゅんどう
)している。私は、原作の小説を書いたはずなのだけれども、そうした事実はすっかり失念してしまって、スクリーンに映し出される『世界』に唖然とさせられている。にもかかわらず、身体は反応してしまっていて、揺らされている。私はシェークさせられている。一体これはなんなのか、と私は素直に思った。そして、回答はこのコメントの最初に記した。これは映画のモンスターである。これはアニメーションのモンスターである。これは音楽アニメーションのモンスターである」とコメント。
野木さんは「湯浅監督の鬼才たるゆえんを『どうだ!』と見せつけられ、ただただ驚がくするばかり。千尾のイルカが連なって、デッカい鯨が立ち昇る。ぽかんと見上げたこの私、遠い昔のあの場所で犬王の舞台を目撃した幸運な一人になってしまった。泣きたくなるようなアヴちゃんの艶やかな咆哮(ほうこう)、腹に響く森山氏の確かな歌声、いつまでも何度でも聴きたくなる、麻薬のような音の波。帰り道は『♪デッカいく~じら~』と口ずさむこと請け合い。映画館で見ておけばよかったー!と後悔しないよう、彼らの失われた物語を、奪われた物語を、目撃する一人になってください」と話している。
同作は、南北朝~室町期に活躍し、世阿弥と人気を二分した能楽師・犬王、盲目の琵琶法師・友魚の友情が描かれる。1月22日にムビチケカードが発売され、特典として松本さんの描きおろしアートのクリアファイルが付く。2022年初夏公開。
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