スーパー戦隊シリーズの46作目「暴太郎(あばたろう)戦隊ドンブラザーズ」(テレビ朝日系、毎週日曜午前9時半)が3月6日から放送される。おとぎ話「桃太郎」がモチーフの本作で、戦隊史上初の男性ピンクとなるキジブラザー/雉野つよしを演じているのが鈴木浩文さん。選ばれた経緯や心境、役作りのこだわり、役者としての目標などを聞いた。
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「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」は、おとぎ話「桃太郎」がモチーフで、“レッド”ドンモモタロウが、お供の“ブルー”サルブラザー、“ブラック”イヌブラザー、“ピンク”キジブラザー、さらに“イエロー”オニシスターと共に、人間の消去をもくろむ敵「脳人(ノート)」に立ち向かうというストーリー。「鳥人戦隊ジェットマン」(1991~92年)や「仮面ライダーアギト」(2001~02年)など数々の特撮作品を手掛けてきた井上敏樹さんが脚本を担当する。
1975年にスタートしたスーパー戦隊シリーズの歴史で初めて、男性キャストがレギュラーでピンクの戦士を演じることについて、当の鈴木さんからは「あまりプレッシャーみたいなものがありません」という意外な言葉が飛び出した。
「他の現場で、例えば『医者役です』などと言われた場合と同じような感覚で、今回『ピンクのヒーローです』と言われたような心境なので、プレッシャーがないというか、いつもと同じようなプレッシャーを感じています」と冷静に理由を説明しつつ、「初めて男性がピンクをやる感情みたいなものは、この先この世界で僕しか味わえないのだと思うとうれしい」と笑みを浮かべる。
ちなみに、ピンク色が好きかを聞くと、「2択で言えば好きです」と微妙な回答。「(メンバーの)5人で好きな色の話をした際、僕以外、全員自分のカラーを言っていたんですよ。僕は赤って言っちゃいました(笑い)」と明かし、「ピンクを選ぶ文化で育っていなかったのですが、ピンクに選ばれてからはピンクの小物が目につくようになったり、サインを書く時にピンクを使ったり、なじみ深くなってきています」と話す。
鈴木さんは1988年11月3日生まれの33歳で、大学卒業後に銀行員として働くも2年で退職し、俳優の道へ進んだ経歴の持ち主。そんな鈴木さんが演じるつよしも同じ33歳で、普通の生活を送る妻帯者という役どころだ。「他のメンバーはみんな何かしらちょっと変わっているところがあって、若くしてマンガ大賞を取ったりなど突出した部分があるけど、つよしは本当に何にもない」と切り出し、「演じるときは人間味ある部分をしっかり出そうと思っている」と役作りに言及する。
スーツアクターの高田将司さんが演じているキジブラザーへのアフレコでは「ふんっ!」「ハッ!」などのかけ声をせりふとして言うことにこだわり、「普通の人がヒーローに変身したら、多分こういうことになるだろうという部分を表現するため、せりふで戦おうと意識してやっています」と説明する。
チームの中では最年長だが、「最初は現場でもしかしたら若い子たちで集まって……と思っていたら、やっぱりヒーローをやる子たちはそんなことはなかった。フレンドリーに接してくれて、5人仲良くやっています」とチームワークの良さを明かす。
男性5人組の演劇ユニット「CoZaTo×(コザト)」として活動するほか、TikTok(ティックトック)のドラマ制作チーム「ごっこ倶楽部」のメンバーとしても活躍している鈴木さん。ドンブラザーズでの1年間の撮影を通し、俳優としてどう成長していきたいかを聞くと、「ようやく役者としてのスタートに立てたという思いがあるので、1年後には自分の名前で仕事が取れるような俳優になりたい。いろんな役をやりたい」と目標を口にする。
やってみたい役を聞いてみると「全部やりたいので特別これがやりたいという役がない」と前置きしつつ、「『CoZaTo×』を『TEAM NACS』の皆さんみたいにしたい。5人でCMに出たりバラエティーを作ったり舞台をやったりとか、5人で売れるのが一番の目標です。『5人で』というのはありますね」と力強く語る。「中でも安田顕さんみたいになりたい」と思いをはせる。
「つよしはどこにでもいる人だし、今の僕にも当てはまる。そういう人でもヒーローになれるし、みんな誰かのヒーローになれるはず」と語る鈴木さん。「自分に自信がない人でも、例えば電車で席を譲るなど身近なことで人に優しくできる人も僕はヒーローだと思うし、人に優しさをあげられる人がヒーローなのかなと思います。そういう一番身近なヒーローっぽく、つよしも作りたい」と自身の役になぞらえて説明する。
顔合わせの時に製作陣から、「君たちは46年目のヒーローだ。45年続いてきて46年目だけど、君たち次第では47年目がないかもしれないから」とハッパをかけられた。
「(スーパー戦隊は)毎年あるものだと思っていたけど、僕らの力不足で先輩たちの顔に泥を塗ったり47年目に続くはずだった人たちの夢や希望もなくなっちゃったりするかもしれない。そう考えたら、1年間をクリアするという感覚ではなく、これで失敗したら終わりぐらいの気持ちで毎回臨み、1年後にはみんなですてきな1年だったと思えるようにしていきたい」と意気込んでいた。(取材・文・撮影:遠藤政樹)