わけあり主人公と不良品ロボットが出会い、大冒険の先で人生の宝物を見つけ出す映画「TANG タング」(三木孝浩監督、8月11日公開)。本作で主人公の春日井健を演じたのが二宮和也さんだ。健はある理由から自分の夢を諦め、人生を一歩も進めずにいたが、ロボットのタングと出会い、次第に昔の自分を取り戻していく。健と同じように、二宮さんにも「苦手だったけど向き合って得られたもの」があったという。「皆さんに作り上げてもらっている」と語る役作りなど、本作と絡めて仕事に対する姿勢を聞いた。
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映画は、ベルリン国際映画祭で「映画化したい一冊」に選ばれた、デボラ・インストールさんの小説「ロボット・イン・ザ・ガーデン」(小学館文庫)が原作。無職で人生迷子中の健は、いつまでも現実と向き合わないまま日々を過ごしていた。そんなある日、健の前に“タング”と名乗るロボットが突然現れる。妻の絵美(満島ひかりさん)の怒りを買い、家を追い出されてしまった健は、タングを製造元に持ち込めば、絵美の欲しがっていた最新型ロボットと交換できると知る。ささいなことから幕を開けた2人の旅は、やがて大冒険へとつながり……と展開する。
今回演じた健について、自分とは真逆の性格だという二宮さん。「僕自身、思ったことは言うし、やるかやらないかもはっきりしているタイプ。自分と反対の動きをしていけば、健のキャラクターになっていったのかなと思います」と振り返る。
「というのも、今回は監督に細かく演出をつけていただいたので、僕が何かを考えるよりも、監督の指示になるべく早くレスポンスしていくことを意識していました。現場を止めないように、というのが自分の中のテーマでもあったので、役作りよりも求められたことにちゃんと応えられるように準備していました」
二宮さんは「僕、演じる役に共感したことってあまりないんですよ。そもそも自分に興味がないから、どういう人なのかってほとんど考えたことがなくて」と明かす。
「例えば妻の絵美から見たらこうだけど、タングから見るとこうで……というのが健。姉の野村桜子(市川実日子さん)に『健はだらしないからね』と言われているから、だらしない人間だと分かるように、僕は皆さんで作り上げていただいたものに乗っかっているというか。どの作品もそうですが、共演している皆さんに作り上げてもらっている部分が大きいです」
「あとは見てくださる方々に、関係性をどのように見せていくか。声がうわずっているから緊張しているのかなとか、動きが大げさになっているからうそをついているのかなとか。数十年生きているキャラクターに対して、2、3個の項目で性格を説明するのは難しい。その場面の感情を表現するのが一番だと思っています」と語った。
タングとの出会いを通して、自身にとっての壁を乗り越えていく健。二宮さんにも「苦手だったけど向き合って得られたもの」はあったのだろうか。
質問に対し、二宮さんは「この仕事自体が結構苦手な分野だったと思います」と話し始めた。「子供のころから人とコミュニケーションを取ったり、集団行動をするのもあまり得意じゃなくて。それが仕事になって、気づけば四半世紀も続けているんですが、もしこの仕事に初めからもっと興味があったら、もうある程度、答えみたいなものが出てきているんじゃないかなって。でも、僕はようやく今になって、キャラクターの思いや、見てくださる方の思いまで考えられるようになってきた。苦手だったからこそ、長く続けられているんだと思います」
俳優としてはもちろん、音楽、バラエティー、YouTubeなど、幅広い分野で活動しているが、仕事に関しては「あんまり悩んだことがない」のだという。
「新しいことに挑戦するときって、自分で覚えなきゃいけないことがたくさんあったり、大変じゃないですか。でも、僕たちにはしっかりと教えてくださる方がいたので、『怖くてできない』で終わらずに済んだ。周囲の支えがあったから、新しいことも面白がって学べました。年齢を重ねていくと、なかなか新しいこととの出会い自体も少なくなりますが、それが今でも定期的にあるのはすごくありがたいです」と語った。
二宮さんは映画について「この作品は0から1に進む物語ではなくて、0に戻る物語。壊れた物を直して進むのではなく、ちゃんとスタート位置に戻ってくることができた、というのをゴールにしたいと考えていました」と思いを告白。
「コロナ禍で生活しづらい状況が続き、みんなで前を向いて歩いて行こうというのも、さすがにしんどくなってきた自分がいて。今は頑張りすぎず、失敗しても必ず0に戻れると思いながら時間を過ごしてもいいんじゃないかなというのが、見てくださる方にも伝わったらうれしいです。まぶしすぎず、熱すぎない、温かな映画になっています」
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